Tableware
食卓の名脇役
幼い頃から実家のダイニングテーブルには、あるお菓子がいつも置いてあった。棒状のビスケットで、その名も「アスパラガス」(さほど形が似ているようには思わないが……)。手でつまんで食べると、ぽりぽりという歯触りの良さと練り込まれた胡麻の香ばしさがやみつきになってしまう。お茶のとき家族でひとつ、またひとつとつまんでいるうちに無くなって、気づくと誰かが補充している、そんな存在だった。
ふと思い立ち、初めて自分で買ってみた。そして先日我が家にやってきたキルナージャーに入れて、ダイニングテーブルの上に出しておくことに。すると、朝コーヒーを飲むときのおともに、また夕飯前の小腹が減ったときに麦茶とつまんだり、はたまた急なお客様があったときのお茶菓子としてその場で取り出して紅茶に添えるのもさりげなくて(それも懐かしい味だからたいてい喜んでもらえる)すっかり気に入ってしまった。
密封できるからしけることもないし、なんてことのない平凡なお菓子なのに、このぽってりとしたハンドメイドのジャーに入れるだけで、まるでイギリスの郷土菓子めいた愛らしい雰囲気を醸し出す。すっかり我が家の食卓の名脇役になってしまった。