Shawl
幸せのお裾分け
寒い季節の楽しみのひとつは、あたたかな布に包まれること。ウールの布がひとつあれば、膝かけにしたり、肩からくるりと蓑虫のように巻いて本を読んだり、ほんの数分の外出なら部屋着の上に羽織るだけで心強い。とくにこのリトアニアの大きなショールは、糸と糸の間に空気を含んでいるみたいにふわりと軽く、近頃のお気に入りだ。
これを羽織ると、とある老夫婦を思い出す。学生の頃にバルト三国を旅した際、フェリーで隣合わせたリトアニアの老夫婦だ。まだ10月というのに潮風が刺すように冷たい秋の夕暮れ、仲睦まじく穏やかなその夫妻は、聞けば息子夫婦と孫を訪ねに行くところという。読書をするご主人の傍らで、たおやかに編み物をするご夫人。大切そうに編まれる小さなミトンは、孫への贈り物なのだろう。バルトの国々では女性が編み物をする光景をあちこちで目にするが、このミトンは、他のどんなそれよりもあたたかく見えた
なんだか私も誰かのために何かしたい。明日は彼が出張から帰ってくるから、煮込み料理でもしこもうか。ふとひらめいて、ポケットから出したその手でレシピ本を取り出した。
- Pocket shawl ¥11,000 (+tax) / SHIPS DaysBUY