SHIPS WOMENJOURNAL
モード誌を中心に活躍されるスタイリスト飯島朋子さん、今季の SHIPS のビジュアルでもテーマ「Attractive Tradition」を表現していただきました。そんな飯島さんにとっての「トラッドとは?」をインタビュー。ご自身の解釈によるトラッドな私物とともに紹介します。
Updated 2024.5.22
スタイリスト

飯島朋子

Tomoko Iijima
神奈川県生まれ。2000年独立。雑誌『madame FIGARO japon』『SPUR』『GINZA』など、数々のファッション誌や広告などで活躍中。
A New Definition of Trad
with Tomoko Iijima

自分の個性を表現する
着続けた服こそがトラッド

私にとってトラッドとは、ブランドの歴史や伝統みたいな、世間一般の価値基準では全然ありません。今は自由であることを大切にする時代。つまり身体やキャラクターに合った、個性を表現できるものこそトラッド。だから当然、歳を取れば取るほど増えてきます。それは守りに入ることではなくて、試行錯誤を繰り返した先に辿り着くスタイルです。似合うかどうかわからないものでも挑戦してみる。結果、失敗かもしれないけど「やっぱり着ないんだ私は」という結論を得ることも近道。そうやって自分に言い訳しながら、買い物をしているのですが。

でも、それに気付いたのは40 歳を過ぎてから。30 代の頃はもっと服のキャラクターで選んでました。20 代はアグレッシブに服を遊び、30 代はファッション業界の見えない何かに縛られていた気がします。「こうでなきゃいけない」とか「人がこうだから自分は」みたいに、どこかで人を意識していたような。でも、今はいい意味で周りが見えなくなって、気持ちが楽になり「それ、イージーっぽいよね」って言われる機会も増えました。着続けることでその服たちはトラッドになると思います。

数えきれないシャツと黒靴が
私のスタイルを作った

私らしい服を挙げるとすれば、シャツと黒い靴。多分、そうイメージされているみたい。シャツは着ていればカジュアルにもフォーマルにもなるからすごく便利だなって思います。靴は私の幅広の足に合うワイドな木型のデザインが好み。いかにも女性らしい、華奢な靴は一切ないかも。シャツは 100 枚以上、靴は......怖くて数えてません。周りからみれば全部一緒じゃんって言われるだろうけど、自分の中ではすべて微妙に違うから。

私が好きなのは、アルバム『Horse』のジャケットのパティ・スミス。白シャツとジャケットにジーンズのスタイルは永遠の憧れです。ご本人に会ったときは、全然そんなストイックなイメージではなかったのですが(笑)
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飯島さんを形成する
10 のトラッドなもの

1 / 10
Trench Coat

ドリス ヴァン ノッテンの
トレンチコート

トレンチコートが好きで20 着以上は持っていますが、このワイドなシルエットが気に入って2 年くらい着続けています。ダボっと着てもおしゃれに見えるのが、ドリスかな。デザイナーが描いている(であろう)女性像が好きでした。
2 / 10
Navy Jacket

エルメスの
ネイビージャケット

おそらくクリストフ・ルメール期のエルメスだと思うのですが、5〜6 年前にパリのクリニャンクールの古着店で出会って購入しました。私、セーラーが好きなんです。生地が薄いので、T シャツの上にさらっと羽織る感覚で。
3 / 10
Silk Shirt

ロエベのシルクシャツ

パジャマ型が気に入ったロエベのものです。白シャツって、一枚で着るときちんと見えるし、T シャツなどにレイヤードしたときに前を少し開けたりしてカジュアルに着てもいい。何かしから助けてくれる、すごく万能なアイテムです。
4 / 10
Black Leather Shoes

黒のレザーシューズ

黒い靴は私の定番なので、1 足では語れません。今回は2 足、プラダ(上)とグッチ(下)にしました。好きな基準は私の足の形に合う丸さと厚さ、そしてストラップ。レースアップも大好きだけど「40 代のストラップ」がしっくり来るようになりました。
5 / 10
Tote Bag

L.L.ビーンのトートバッグ

20 代の頃から何回もリピートしているL.L.ビーンは、荷物が多い撮影には必ず使っているかも。地面にガンガン置くから、底面が破れてくるんですよね。もうバッグというより道具。白か黒かネイビーのワントーンでオーダーしています。
6 / 10
Graphic T-shirt

スリードッツの
グラフィックT シャツ

スリードッツとコラボレーションさせていただいたT シャツ。自分の理想のシルエットを肉厚なコットンでかたちにして、仕事でお世話になっている 5 名の写真家の作品を入れました。上は当山礼子さん、下は松原博子さんです。
7 / 10
Sneakers

オートリーのスニーカー

あまりスニーカーを買うことはないのですが、ローテクでハイカットが欲しいなと思って、海外のサイトで見つけました。私、スウェットパンツを穿くことが多いのですが、それに合わせる時用に。レザーの質感もお気に入り。
8 / 10
Sunglasses

サンローランの
サングラス

歳をとって、太陽が眩しく感じるようになりました。シミは目から入る紫外線が一番ダメらしいし、老眼も進みやすいくらい、目を無防備にはできません。このサンローランはメンズらしいのですが、主張のないデザインが好きです。
9 / 10
Fragrance

トバリのフレグランス

もう生産中止になっているみたいですが、ずっと使っている香水。普通に香りを嗅ぐと甘いですが、肌につけるとウッディでスパイシー。海外のモデルからも、よく褒められます。ユニセックスだから、男性にもおすすめしたい!
10 / 10
Silver Jewelry

エルメスの
シルバージュエリー

これはヘアも含めて、アシンメトリーであることにハマっていた30 代後半の頃に購入したエルメスのネックレス。T シャツに合わせて付けることが多い、夏のジュエリーです。ちなみにアクセサリーはゴールドよりもシルバー派。
※全て本人私物
A New Definition of Trad
Photography_Yuichi Sugita
Design & Development_maam.inc
Production_MANUSKRIPT