TRANSIT (トランジット) 林編集長の「旅の お土産、なに買った?」ゲスト:根本絵梨子(フォトグラファー) TRANSIT (トランジット) 林編集長の「旅の お土産、なに買った?」ゲスト:根本絵梨子(フォトグラファー)

TRANSIT (トランジット) 林編集長の「旅の お土産、なに買った?」
ゲスト:根本絵梨子(フォトグラファー)

トラベルカルチャー雑誌 『TRANSIT (トランジット)』の林編集長が、「旅のお土産」をテーマに、毎号ゲストの方と対談する連載企画。今回は、ファッション写真の世界でも活躍するフォトグラファーの根本絵梨子さんが登場。海外のトレッキングについてなど興味深いお話を伺いました。

TRANSIT (トランジット) 林編集長の「旅の お土産、なに買った?」ゲスト:根本絵梨子(フォトグラファー)

建築学科のフィールドワークをきっかけに写真の世界へ

林 根本さんはオーストラリアへの留学経験があるんですよね。

根本 10年ほど前、大学3年生のときに1年休学して写真学校に入学したんです。留学は1年と決めていたので、もろもろの条件が見合うところがオーストラリアだったというだけなんですけど。

林 普真には以前から興味があったんですね。

根本 いや、もともとは建築学科だったんです。建築ってカメラを持ってフィールドワークをすることが多くて、そのうちに写真を撮るのが楽しくなってきて。そんな私を見ていた父が、「実は昔、写真をやっていたんだ」とフィルムの一眼レフをくれたのが大きいですね。そこからさらにハマっていったんです。

林 キッカケが面白いですね。それまでカメラに触れたこともなく?

根本 子どもの頃からフィルムカメラを持っていたり、トイカメラブームのときに遊んだりしていましたけど、意識をしたことはなかったですね。

林 留学する頃は、どんなカメラマンになりたいとかあったのですか?

根本 そういうのはあまりなかったんですよ。友だちや遊びに行った場所など、日常をよく撮っていました。

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東京での忙しい日々が、登山を始めるキッカケに

林 ネパールで山に登ったり、パタゴニアでトレッキングしたり、夏は白馬の山小屋で働きながら写真を撮ったりというイメージが強いでけど、山とか自然にもまだ興味がなかったんですね。

根本 子どもの頃、父親に連れられて毎週のように山に行ったり、保育園もキャンプや化石採りに行くようなところだったので自然には親しんでいたんです。でも、高校生くらいになると誰しも一度は興味が離れるじゃないですか、部活に没頭したり。

林 前回登場してくれた小林昂祐さんも同じようなことを言ってました。

根本 そうなんです。大学は富山にある学校に行ったんですけど、そこでは海にハマッて。再び山に行くようになったのは東京に来てからですね。

林 殺伐とした環境のなかで(笑)

根本 あははは、まさに大変だったアシスタント時代。ふと「山に行きたいな」と呟いたら、幼馴染が「一緒に行く?」って誘ってくれたんです。いきなり2泊3日のテント泊縦走だったんですけど、それがすごく楽しくて。

林 性に合ってたんですね。

根本 フリーランスになって自分の時間ができてからは、休みがあれば山に行くようになりました。

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ガイドとポーターをつければ初心者でも海外トレッキングは可能

林 国外の山に行くようになったのはいつ頃からですか?

根本 初めて行ったのが、一昨年のネパールです。海外の山に行くなんて想像もしてなかったんですけど、行ったら意外に簡単で。

林 ネパールはどこをトレッキングしたんですか?

根本 ランタン谷というところです。最後の丘が5000m近くあるので高山病の危険はありますけど、基本的には誰でも行けると思います。ガイドとポーターもつけましたし。

林 そうそう、海外はガイドやポーターをつけるのが普通なので、日本よりラクに登山ができるといいますよね。

根本 そうなんですよ、ランタン谷は日本の山より歩きやすいと感じたところもあります。期間も移動含めて9日間あれば周れます。ネパールで一番有名なのはエベレスト街道ですけど、ランタン谷もすごく良かったですよ。

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ネパールでのトレッキング中は、毎日のように大好きな「ダルバート」と呼ばれる現地の定食を食べていたとか。ダルは豆のスープで、バートはご飯。それを家で作りたくて、街に戻ってから現地の食器を購入。量り売りで売られていたという。

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ネパールの帰国間際、首都のカトマンドゥで小さめのマットを購入。ランタン谷のデザインがなかったためエベレスト柄に。ワッペン屋さんも多く、ステッカー感覚で気に入ったデザインのものをお土産に。

林 今年の2月末から4月までは、パタゴニアに行かれたんですよね。

根本 チリのトーレス・デル・パイネ国立公園で10日間ほどトレッキングをして、そこからアルゼンチンのフィッツ・ロイに移動して2泊3日のテント泊、さらにその近くをトレッキングしてきました。

林 クライマーの聖地といわれるパタゴニアはいかがでしたか?

根本 塔のように切り立った山がたくさんあって、クライマーなら間違いなくゾクゾクするだろうなと思いました。星空と山を撮影するために、夜を見計らって山頂を目指したんですけど、切り立った山の上にヘッドランプの光が見えて「うわっ、人がいる!」みたいな(笑)。最初は星かなと思ったんですけど。

林 旅のなかでとくに良かった場所を教えてください。

根本 トーレス・デル・パイネ国立公園は、写真などでお馴染みの景色が見える表のコース(行程約4日)と、裏コース(行程約10日)があるんです。私は裏コースに行ったんですけど。森がきれいで動物もたくさんいて最高でした。フィッツ・ロイやトーレス・デル・パイネの周囲を歩くコースなのでアップダウンも少なく、感覚的にはロングトレイルですね。途中で氷河が出てきたり、湖が出てきたりして。1日だけ山小屋に泊まったんですけど、ホットシャワーもあって、食事も前菜・メイン・デザートが出てワインもたくさんあって、連泊したいくらい良かったです。

TRANSIT (トランジット) 林編集長の「旅の お土産、なに買った?」ゲスト:根本絵梨子(フォトグラファー)

お土産は現地の物価感覚を把握した旅の最終日に

林 どれくらいの装備で行かれたんですか?

根本 今日持ってきている50Lのバックパックです。重量は20kg程度ですかね。

林 すごくコンパクト! そんな旅でのお土産は、帰る直前に小さなものを買うしかできないですよね。

根本 そうですね、さすがにトレッキング中には買わないです(笑)。到着した初日に街でなんとなく目星をつけて、旅をする間に現地の物価感覚がわかってくるので、帰りに気になったものを相場で買うことが多いです。

林 どういったところで買うことが多いですか?

根本 現地のスーパーに行くのが好きですね。その土地で食べた美味しいものを家でも作ってみたいと思って、調味料を買うことが多い。あとは最近、石にハマってしまって。マズいですよね。

林 石は奥深いですからね。

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マテ茶を飲むためのストロー。アルゼンチンの人たちは、どこに行くにもお湯の入った水筒、コップ、マテ茶、そしてこのストローを持っているとか。そして、電車でもバスでもマテ茶を飲み、それを回し飲みすることで親交を深めていくという。

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チリで購入した鉱石。イヤリングなどのアクセサリーもあるが、原石もつい購入してしまうようになったという。

根本 子どもの頃に化石を採りに行っていたり、実は昔から石が好きだったことを思い出したんです。買った場所で、この石が採れる場所を聞いておいたので、いつかそこに行ってみようと思っています。

林 そういう旅先の選び方も面白いですね。今後、どこか行ってみたい場所はありますか?

根本 モロッコとネパールはもう一度行きたい。行ったことがない場所では、アイスランド、ニュージーランド、グリーンランド、アメリカ・・・たくさんありますね。次はどこに行こうか迷っています。

林 次号、砂漠特集の企画でお仕事をご一緒させていただきましたが、今後もぜひよろしくお願いします!

PROFILE

根本 絵梨子 | Eriko Nemoto

2010-2011年 渡豪
2012年 都内スタジオ勤務
2014年 都内にてアシスタント
2016年 フリーランスで活動開始

林 紗代香 | Sayoka Hayashi

1980年岐阜県生まれ。編集者。『NEUTRAL』に創刊時より参加。その後いくつかの雑誌編集部を経て、『TRANSIT』に参加。発刊第34号より編集長を務める。最新号、ネパール特集が発売中。次号の砂漠特集は6/17(月)に発売される。
http://www.transit.ne.jp/