Safe & Clean Vol.32 伊豆出身の若きライフセーバーたち Safe & Clean Vol.32 伊豆出身の若きライフセーバーたち

Safe & Clean Vol.32
伊豆出身の若きライフセーバーたち

NPO法人 下田ライフセービングクラブの活動理念に賛同し、1995年からその発展と振興をサポートしているSHIPS。同クラブでは若手の育成にも力を入れている。そこで今回は、地元のジュニアライフセービングプログラム出身者たちに話を訊きながら、ライフセービングの魅力を探った。

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きっかけはジュニアライフセービングプログラム

ーー皆さんはどういうきっかけでライフセービングの世界に足を踏み入れたのですか?

土屋 小学校5年生のときに、習い事で通っていたプールで「ジュニアライフセービングプログラム」の張り紙を見つけて。海が大好きだったので、友だちと参加してみたんです。その後、中学ではバレーボールをやっていたのですが、中2のときに「ライフセービングの大会に出てみない?」と言われて、競技にも興味を持つようになりました。

佐々木 私はみんなより少し遅くて、高校のときに土屋さんから誘われたのがきっかけです。

相澤 僕の場合は姉と兄がジュニアプログラムに参加していたこともあって、小さい頃からライフセーバーの人たちに海で遊んでもらっていたんです。なので、自然な流れで小学校4年生から地元のジュニアライフセービングプログラムに参加して、小6で全国大会に出場したりしていました。

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「競技」の面白さがのめり込むきっかけ

ーー一般的にはライフセーバーというと夏場のパトロールのイメージが強いですけど、子どもの頃からやっている方たちは「競技」の魅力から入るんですね。

相澤 そうですね。下田ライフセービングクラブではパトロールは高校を卒業してから始めることになるので。

土屋 競技は年間を通じて、やったぶんだけ強くなる点が面白いんです。

佐々木 水泳をずっとやっていたのですが、ただ泳ぐことに飽きてしまって・・・。海では同じ波が来ることはないですし、自分で考えながらできるライフセービングの競技に、楽しさを感じるようになりました。

相澤 僕も競技は大好きですが、高校生くらいになると、小学生を教える立場にもなるんです。そうやって子どもたちの安全も考えながら海に入るようになってから、コーチが一人前として扱ってくれるようになった。それが嬉しくてのめり込んでいったとも言えます。自分の練習をしながらも、誰かを守っている達成感や使命感を感じられるのは、他のスポーツでは味わえない点だと思います。なので、昔から早くパトロールがしたいと思っていました。

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初めてのパトロールは戸惑うことばかりだった

ーー実際にパトロールを経験していかがでしたか?

相澤 小さい頃から間近で見てきたはずなのに、最初は何をしたらいいのかわからなくて。自分は天狗になっていたのかもしれないなと思いました(笑)。すべてが新鮮な経験で、常に刺激がある状態。思い通りにならないことばかりで、毎日成長していることがわかるんです。

佐々木 ふたりは白浜ですが、私がパトロールしているのはファミリー層の多い弓ヶ浜なので、どちらかといえばトラブルもあまり無く穏やかなんですけど。それでも、パトロールは競技とはまったく違うということを思い知らされました。

土屋 私がパトロールの拠点として白浜を選んだのは、「白浜でパトロールができれば、どの浜でもできるよ」と先輩に言われたのがキッカケなんです。実際、本当にいろんなお客さんが来られるので、1年目はどう対応していいかわからなかった。でも、ノートを見返してみると、1年目に注意されたことを、翌年は私が後輩に注意していて。それは、「お客様にどうお声がけをすればいいのか」、その対応ひとつで白浜での時間がつまらない思い出になってしまうということなんです。今では海の安全を守るだけでなく、いかにお客さんに楽しんでもらうかを心がけています。

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子どもの頃は楽しい思い出ばかり

ーージュニアプログラムなど、子どもの頃の楽しかった思い出を教えてください。

土屋 夏以外にもクリスマス会とかお楽しみ会があって。そこで大学生のお兄さんお姉さんと遊べるのが楽しかったんです。なので、今はクラブのなかでジュニア部に入って、子どもたちと楽しみながら交流しています。

佐々木 私の場合は高校からなんで、子どもの頃は「楽しそうだな」って見ていました。私もいまはジュニア部なので、自分も楽しみながら「子どもたちを喜ばせたいな」と思っています。

相澤 海の危険性というのを、座学だけでなく身を以て知る経験がたくさんできたので、そこが楽しかったですね。自然の中で遊ぶことが子どもの頃から好きだったんです。

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いつかは伊豆で若手を育成したい

ーー最後に、将来の目標を教えてください。

土屋 今は競技者として結果を出すことが目標ですけど、いずれはコーチとして、下田でジュニアライフセービング活動を普及させていきたいです。

佐々木 私もいずれは地元に帰りたいと考えています。これまで、コーチたちが機材を用意して駅までに迎えに来てくれたり、いろいろと親切にしてくれたので、その恩返しのためにも今は競技を続けて、いずれは指導者として次世代の育成に携わっていきたいたいと思っています。

相澤 先輩たちからよく話を聞いていた、ライフセービングの本場であるオーストラリア(姉妹クラブのマルチドー)に今年の年末にやっと行けそうで。本場のライフセービングを知り、そこで学んだことを地元のみならず日本全国のライフセーバーたちに伝えていきたいですね。まだ具体的にはわからないですけど、今後、自分がライフセーバーとしての活動していく中で、いい影響を与えることができるような、何か大きなことをやってみたいと思っています。

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PROFILE

(1)ライフセービングを始めた歳 (2)主な大会成績

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土屋日向子|Hinako Tsuchiya

(1)小学校5年生
(2)第4回全日本ユースライフセービング選手権大会
 ビーチフラッグス 中学生女子の部 2位
 1kmビーチラン 中学生女子の部 2位
 第5回全日本ユースライフセービング選手権大会
 ビーチフラッグス 中学生女子の部 2位
 ビーチリレー 中学生女子の部 1位
 第6回全日本ユースライフセービング選手権大会
 1kmビーチラン  高校生女子の部 3位
 第7回全日本ユースライフセービング選手権大会
 タップリンリレー 高校生女子の部 3位

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相澤虎大|Kodai Aizawa

(1)小学4年生
(2)第8回全日本ジュニアライフセービング競技会
 ニッパーボードレース 4位
 第5回中日本ライフセービング選手権大会
 オーシャンマン 2位
 第33回全日本学生ライフセービング選手権大会
 オーシャンマン 8位

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佐々木茜|Akane Sasaki

(1)高校2年生
(2)第8回全日本ユースライフセービング選手権
 サーフレース 7位
 ボードレース 5位
 第33回全日本学生ライフセービング選手権
 オーシャンウーマンリレー 3位