この春のおすすめ映画を教えます! この春のおすすめ映画を教えます!

この春のおすすめ映画を教えます!

世界各国でさまざまな問題が吹き上がるなか、映画界も社会派な内容が大きな話題を集めています。しかし、ただシリアスなだけでは面白くありませんよね。そこで、エンターテイメントとして楽しく、観るだけでちょっぴり賢くなれる作品をピックアップしました! どちらもアカデミー賞を受賞している実力派の作品。完成度の高さは折り紙つきです。

『ビールストリートの恋人たち』

バリー・ジェンキンス監督・脚本作品

愛し合う気持ちがあれば、
希望の光は消えない!

1970年代のNYはハーレム。19歳のティシュは、幼馴染である22歳の恋人ファニーとの間に赤ちゃんを身ごもる。しかし、そんな嬉しい知らせを報告する場所はガラス越しの面会室。ファニーは、あまりにも理不尽な罪を着せられ留置所に入れられていたのだ。
現在よりも人種差別が厳しかった時代。小さないざこざで白人警官の怒りを買ったことが原因で、強姦罪の犯人に仕立てられたファニー。しかし、彼らには問題を解決する手段があまりにも少なかった。そんな過酷な状況のなかでも、ティッシュやその家族たちはファニーを助け出すべく奔走していく。そこには幾度もの苦難が・・・。しかし、どんなに絶望的な状況に置かれても、ゆるぎない愛の力があれば前を向いて生きていける。そんな心揺さぶられる魂のストーリー。

70年代のファッションにも注目!

第89回アカデミー賞で作品賞に輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督が、監督・脚本を手掛けた最新作。原作はアメリカの小説家、著作家、劇作家、詩人、随筆家であり、公民権運動にも積極的に参加した偉大なる黒人作家、ジェイムス・ボールドウィン。

撮影は『ムーンライト』で青く美しい月明かりを見事に映し出した、ジェームズ・ラクトン。その圧巻の映像美は、『ビールストリートの恋人たち』においても健在で、さまざまな感情をうまく色彩に溶け込ませていく。

また、衣装においても同じく『ムーンライト』を担当したキャロライン・エスリン=シェイファーが起用された。現在のトレンドにも通じる70年代の黒人スタイルは、ファッション好きにとって見逃せないポイントとなっている。ストーリーだけを追うとシリアスな物語だが、役者たちの名演を含め、一流のスタッフたちによる完璧な仕事っぷりにより、ファッション、音楽、色彩、背景など、生活を彩るヒントが散りばめられている。

全国公開中!

レジーナ・キング(主人公を支える母親役)が、第91回アカデミー賞・助演女優賞を受賞!

『ビールストリートの恋人たち』

●監督:バリー・ジェンキンス
●製作:アデル・ロマンスキー、サラ・マーフィ、バリー・ジェンキンス、デデ・ガードナー
●キャスト:キキ・レイン(ティッシュ・リヴァーズ)、ステファン・ジェームス(”ファニー” アロンゾ・ハント)、レジーナ・キング(シャロン・リヴァース)、テヨナ・パリス(アーネスティン・リヴァーズ)、コールドマン・ドミンゴ(ジョーゼフ・リヴァース)、他。
原題『If Beale Street Could Talk』/製作年:2018年/製作国:アメリカ/配給:ロングライド/上映時間:119分
(c)2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
https://longride.jp/bealestreet/

『バイス』

アダム・マッケイ監督・脚本

政治の実話なのに、
エンタメとして楽しめる作品!

ジョージ・W・ブッシュが大統領だった2001年9月11日、アメリカで同時多発テロ事件がおこる。国の危機ともいえる混乱のなか、大統領を差し置いて対応にあたる副大統領(バイス)のディック・チェイニー。彼はそのまま悪名高きイラク戦争へと国を導くなど、自らの存在感は消しながらブッシュを巧みに操っていく。
本来、副大統領とは大統領が死亡や辞任をした際の代わり程度で、「大統領の死を待つのが仕事」と揶揄される存在。その状況を逆手に取りながら、綿密に権力を掌握していったチェイニーという怪物はいかにして誕生したのか? そんな歴史的な実話を、彼の生い立ちとともに面白おかしく、興味深く描いた社会派エンターテイメント作品。

政治の実話を描いているだけに、登場人物はニュースやテレビなどで日本でもおなじみの面々。しかし、チェイニーをはじめ、ラムズフェルド、ブッシュ、パウエル、ライスなど、皆そっくり。とくにチェイニー役であるクリスチャン・ベールの変貌は驚愕で、役作りにあたって20kgも増量したとか。なお、本作は本年度のアカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。特殊メイクアップにも注目したい。

今も昔も地味キャラ!
ゆえに誰も知らない
チェイニーのトリビア5
酒癖が悪く、逮捕歴あり

若い頃、酒癖が悪かったチェイニーは大統領と同じく、飲酒運転による逮捕歴がある。また、2006年には狩猟中に友人を誤って発砲するという事故も。その当時も酩酊中だったという噂。

同性愛者の娘との関係

チェイニーが属する共和党の有力な支持基盤は、同性愛や同性婚に不寛容とされている。しかし、彼のふたり娘の次女メアリーは、思春期に同性愛者であることをカミングアウト。娘のために政治の世界から離れたこともあるチェイニーだが、常にこの問題は彼を苦しめた。

自らの心臓に対しても用意周到

若い頃から心臓に持病があり、ペースメーカーを入れているチェイニー。そのペースメーカーをハッキングされないよう、ハッキング対策も完璧におこなっていたという。

師匠を部下として起用

チェイニーに政治のイロハを教えたのは、これまた悪名高きドナルド・ラムズフェルド。しかし、ブッシュ政権下でチェイニーが副大統領になると、彼は国務長官にラムズフェルドを起用するよう画策。ネオコン(攻撃的・好戦的なタカ派)をも操るようになる。

自らの野心を夫に託した妻

才女だった妻のリンは、高校時代からの付き合いでろくでなし男のチェイニーに発破をかけ後世させる。選挙戦では演説下手の夫に代わり大衆を引きつけるほど。チェイニーの出世後は、全米人文科学基金の会長やテレビ討論会の司会など、自らも華やかなキャリアを歩んだ。

4月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他、全国公開!

第91回アカデミー賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞!

『バイス』

●監督:アダム・マッケイ
●製作:ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クレイマー、ウィル・フェレル
●キャスト:クリスチャン・ベール(ディック・チェイニー)、エイミー・アダムス(リン・チェイニー)、スティーブ・カレル(ドナルド・ラムズフェルド)、サム・ロックウェル(ジョージ・W・ブッシュ)、タイラー・ペリー(コリン・パウエル)、他。
原題『Vice』/製作年:2018年/製作国 :アメリカ/配給:ロングライド/上映時間:132分
© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.
https://longride.jp/vice/