音SHIPS −注目アーティストの友だち巡り・UCARY & THE VALENTINE編− 音SHIPS −注目アーティストの友だち巡り・UCARY & THE VALENTINE編−

音SHIPS −注目アーティストの友だち巡り・UCARY & THE VALENTINE編−

毎号、ゲストの方にお友だちを紹介いただき、注目アーティストを数珠つなぎにしていく本企画。第16弾は、GLIM SPANKY(グリムスパンキー)の松尾レミさんからの紹介で、UCARY & THE VALENTINEさんが登場! 妖精のような不思議な佇まいの奥に隠された歴史を伺いました。

音SHIPS −注目アーティストの友だち巡り・UCARY & THE VALENTINE編−

高校卒業とともに、ソロアーティストとして上京

ーー松尾レミさんからのご紹介で、今日はよろしくお願いします。レミさんとはいつからお知り合いなのですか?

UCARY & THE VALENTINE(以後、UCARY) 高校卒業後に上京したんですけど、当時はSMAというソニーの事務所にいて。その頃2回くらいイベントでご一緒させていただいたんです。間近で観たGLIM SPANKYのライブがすごくかっこよくて、こっそりCDを買ったりして。そのつながりでレミさんとはたまにお会いするんです。

ーーどんな点が、かっこいいなと感じましたか?

UCARY やっぱり声ですかね、歌い始めた瞬間にすごいですよね。

ーー小柄な方ですし、普段お話しているときは想像がつかないですよね。UCARYさんの上京はどういうきっかけで?

UCARY もともとは地元の兵庫県でバンドをしていて、解散してからはソロになったんです。お父さんも「音楽をやるなら東京に行きなさい」と言ってくれて。先ほどお話したように、当時はSMAだったこともあって気軽に上京してきました。

ーー現在はフリーランスとして活動されていて、音楽のみならずモデルとしても活躍されています。モデルという仕事はやってみていかがでしたか?

UCARY 表現するのは楽しいですね。自分では選ばない服が着れるのも面白い。お花だらけとかフリフリとか、ラブリーな服が意外に似合うなと思ったり。でも、そればかりになるとミュージシャンが2番手になってしまうので、そこは気をつけています。6月にアルバムが出るので、最近はお話があれば全部受けようかなとは思っていますけど。

Siri

小学校6年生で、HOLEやマリリン・マンソンを愛聴

ーー子どもの頃、家ではどんな音楽がかかる家庭でしたか?

UCARY 父はルーツからダンスホールまでレゲエが好きで、母はQUEENとかDAVID BOWIEとか派手なのが好きですね。でも、お父さんと車に乗ると、いまでも爆音でEarth',' Wind & Fireがかかってます。

ーーそういった両親の影響は大きいと思いますか?

UCARY お父さんはパンクやニューウェーブ、テクノも好きで、レコードがいっぱいあったんですよ。私はそのジャケットを見るのが好きで、音を聴くよりもヴィジュアルの刺激を受けていました。中学生の頃に『NO NEW YORK』のジャケットを見てかっこいいなって、そこからTEENAGE JESUS & THE JERKSを知って感動して。だから影響は受けていますね。

ーー親の影響ではなく、自分で見つけたのは?

UCARY 小学校6年生くらいでHOLEとか、マリリン・マンソンとかEvanescenceにハマって。あとは、Green DayやBlink 182とかもめちゃ好きでした。衝撃的な出会いといえば、中学生の頃にCDショップでつい全曲試聴したCSS。お金が足りなくて、でも離れた隙に売り切れたらイヤなので、お父さんに電話して来てもらって。以来、エレクトロにハマりました。だから、好きなジャンルはないんです。かっこよかったり、かわいかったり、全部好き。

ーーフレッドペリーのサイトでプレイリストを公開されていますよね。その選曲がすごく良かったです。チルな感じで一本筋が通っているのにジャンルの幅が広くて。音楽の情報はどこで仕入れているんですか?

UCARY 音楽を聴くよりも、映画を観ている時間のほうが長いんです。映画って、多ければ10曲程度の音楽を聴けるじゃないですか、それを全部探したり。映画館でこっそり音楽認識アプリを起動したりしてます。

ーーへぇ〜、その掘り方は面白いですね。映画好きはいつからですか?

UCARY 小さいときからですね。親から「アンパンマンとか可愛くないから観ないで」と言われていて、観ているほうが恥ずかしいみたいな状況だったんですよ。その代わりにWOWOWがよく流れていて、残酷なシーンもラブシーンも家族みんなで観ていたんです。だから感覚がおかしくなったのかもしれない、かなりサイコパスな子どもでした(笑)

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中学生でパンクのヴィジュアルに目覚める

ーーあははは。子どもが好きそうなキャラクター系はすべてNGだったんですか?

UCARY ルーニー・テューンズやザ・シンプソンズ、あとはディズニーは大好きで観ていましたね。ディズニー映画はビデオでも持っていましたけど、同じビデオのはずなのに私には毎回内容が違って見えていて。

ーーえっ?

UCARY ヤバイ子どもだったんです。

ーーいわゆる、ぶっとんだ子どもだったんですね。

UCARY 外に出歩くわけでもなく、家でふと気づくと勝手にぶっとんで勝手に終わるみたいな。いま思えば友だちと共有しておけば良かったなって、ぶっとび損ですよ。

ーーあははは、ぶっとび損!! それが高校くらいまで続くわけですよね。

UCARY 中学生でパンクファッションにハマって。ヴィヴィアン・ウエストウッドとかマルコム・マウラーレンのドキュメンタリーを観たらカッコ良すぎちゃって。自分で唇の下に安全ピンで穴を開けてました。でも、口のピアスが全然似合わなくて、似合う場所を探しているうちに穴だらけになってヒゲが生えたみたいになっちゃって・・・。

ーーピアッサーではなく安全ピンで?

UCARY ピアッサーは1回1000円とかするじゃないですか。なので、安全ピンを焼いて、唇の裏側に消しゴムを置いて、親には内緒で。

ーー血だらけの娘が部屋から出てきたら、すぐにバレるでしょ(笑)

UCARY 小さい頃は宇宙人に憧れていて。眉毛を隠そうとお母さんのファンデーションを塗ったんです。そうしたら、宇宙人にしか見えなくてかっこ良すぎちゃって。「ママ見て! 宇宙人になったよ」とお披露目したら「気持ち悪い! 取ってきなさい」って。だから眉毛を全部取ったんです。

ーーえっ、ファンデーションでなく?

UCARY あははは。それでめっちゃ怒られるっていう。

ーーなかなかですね。でも、映画がすごく好きなのに音楽の道へ進もうとしたのはなぜですか?

UCARY 中学3年生の終わりに、他の学校の男の子3人とバンドを組んだんです。それがいきなり大人の目に止まって。自分ではハードコアバンドだと思っていたんですけど、どうやらニューウェーブだったみたいで。そのときにいろいろ褒められて、向いているのかなと。でも、歌を唄うのは昔からすごく好きでした。何かを作るのが好きだったんですよね。なので、アートディレクターとかの存在をもっと早く知っていれば、そっちに進んでいたかもしれない。

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6月発売、初のフルアルバムは渾身の一枚

ーー音楽を作るようになったのはいつ頃ですか?

UCARY バンドがきっっけですね。楽譜が読めないのでメロディを口で奏でたものを弾いてもらったり、シンセサイザーを持っていたのである程度自分でも弾いたりしながら作っていました。その後、パソコンを買ってもらってからは、打ち込みで曲を作るようになって。

ーーということは、頭のなかで音楽が鳴っているんですね。

UCARY そうですね。ワンフレーズが思い浮かんだら声に出して録音して、そうすると次々に出てくるんです。それを最後にまとめて再生したらハマったみたいなことが多いです。

ーーその方法だと、制作期間がタイトなときは大変そうですね。

UCARY へっちゃらです。常に書いているんで、あとは整えるだけのデモも1500曲くらいあるんですよ。また、こういう音が欲しいと言われたらその都度思い浮かぶので、お仕事の依頼を受けても大丈夫です。

ーー6月に出るアルバムは、これまでストックされたものの中からどう選んだのですか?

UCARY いまの自分の心境とかではなく、絶対に早く出しておきたいという曲を選んで います。ライブでは散々やっている曲ばかりですし、渾身の初フルアルバムです。

ーーいまは曲ができたらすぐにアップできる時代ですが、そのなかでCDでのアルバムを作ろうと思ったのはなぜでしょう。

UCARY すごく気軽に曲を書いて、気軽にライブのオファーも受けているので。改めて、CDとして残るものを自信を持って出したかったんです。フリーランスでやっているので、舐められたくないという気持ちもありました。それと、やりたいことを「やりたい」と言い続ければ、ちゃんとできるんだぜってことも見せたかった。だから、いまはベストな状態です。

ーーいまは6月のリリースに向けて着々と準備している感じなんですね。

UCARY そうですね、6月末に自主企画でリリースパーティも企画しているので、それも同時進行で動いています。あとは、リリース前にロンドンに行こうかなと思っています。CDを置いて欲しいレコード屋さんや、入りたい事務所とかがあるので。そこは体当たりで行ってみようかと計画しています。

NEW DANCE

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UCARY & THE VALENTINE 1st AlbumHuman Potential

UCARY & THE VALENTINE初となるフルアルバムを2018年6月27日にリリースする。前作"New Dance"から3年の歳月を経て、これまで作り溜めた曲を厳選しUCARY VALENTINEの世界観を詰め込んだ渾身の1枚となった。
また発売日当日2018年6月27日には青山月見ル君想フにて自主企画イベント"Taboo vol.2"が開催され、会場にてHuman Potentialの販売が開始される。
この日からUCARY & THE VALENTINEオフィシャルストアでも販売予定。

UCARY & THE VALENTINE
Human Potential

2018年6月27日(水)発売
2,000円(税込)
全11曲収録

PROFILE

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UCARY & THE VALENTINE | ユーカリ & ザ・バレンタイン

1992年 兵庫県生まれ。
2011年 作詞作曲・Vo.を担当していたTHE DIMを解散し東京に拠点を移す。
2012年 UCARY & THE VALENTINEとしてミニアルバム『Teenage Jesus』を発表。2015年 EP『NEW DANCE』を発表。 2016年 自主レーベル『ANARCHY TECHNO』を立ち上げ、フリーランスとしての活動を始める。
ソロプロジェクトでの音楽制作だけでなく、くるり、銀杏boyz、Art-school、the HIATUS、木村カエラ、QUATTRO、okamoto's、フルカワユタカ、真空ホロウなどさまざまなアーティストのゲストボーカルやバックコーラスとしても活躍。
また、国内外の雑誌やWebでのモデル活動、ANARCHY TECHNOのグッズデザイン。ファッションブランドやアーティストとのコラボレーション、さらにはオリジナルウエアを作るなど多方面で活動中。

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