『映画ドラえもんのび太の宝島』デザインTシャツ発売記念！今井一暁監督インタビュー

2018 SPRING

2018年3月3日、映画ドラえもんシリーズ38作目となる『映画ドラえもんのび太の宝島』が公開されました。SHIPS KIDSでは前作に引き続き、映画ドラえもんデザインTシャツを発売しています。そこで今回は、映画ドラえもん初監督を務めた今井一暁監督にスペシャルインタビューを実施！今作への思いから、可愛いと話題のコスチュームについてまで、たっぷりお聞きしてきました。

テレビアニメ版『ドラえもん』の演出を2005年から手がけてきた今井監督。映画シリーズの監督を務めたのは今回が初で、オファーを受けたときは嬉しさと同じくらいのプレッシャーも感じたといいます。脚本は『君の名は。』の企画プロデュースを務めた川村元気さん、主題歌・挿入歌は星野源さん、ゲスト声優に大泉洋さん・長澤まさみさん・サバンナ高橋茂雄さんを迎えた超豪華キャストにも注目が集まる今作は、監督のどのような着想から誕生したのでしょうか。

「父と子」というテーマは、ずっとブレずに僕の中にありました

――映画ドラえもん初監督、おめでとうございます！監督を務めることが決まったときはどういう心境でしたか？

今井監督（以下、今井）：まさか自分がドラえもんの映画をやることになるとは、という感じでした。ファミリー向けアニメ作品の作画や演出にはずっと携わっていて、いつか劇場作品の監督をやりたいとは思っていましたが、それがあの国民的アニメになるなんて！という。すごく嬉しかったですし、これはチャレンジすべきだろうと即座に思いましたが、同時に「これでドジったら最後だな…」というプレッシャーもかなりありましたね（笑）

――テレビアニメシリーズの演出にはずっと携わっていらっしゃいますが、ドラえもんはもともとお好きだったのですか？

今井：子どもの頃は毎週観ていました。もちろん好きでしたけど、意識的に観ていたというよりは、気づいたら自然と毎週の習慣になっていたという感じ。それだけ日常に溶け込んでいたんですよね。だからこそ、今こうして僕が制作側に立っているのは、つくづく不思議なご縁だなぁと思います。

――今作は川村元気さんが脚本を務めたということでも注目されていますが、ストーリーはどのように企画していったのですか。

今井：スティーブンソンの冒険小説『宝島』をベースにするという大もとの企画は川村さんが作っていて、そこから一緒に話し合いながらシナリオを考えていきました。最初に決まった大まかなプロットは、「宝物を探す海洋冒険物であること」と「目指す宝島には秘密が隠されていること」。あと、クイズというオウム型ロボットが出てくるのですが、そのアイデアも最初にありましたね。

――宝探しのワクワク感に加えて、親子の絆にグッとくる場面もたくさんありました。

今井：そうですね。映画にテーマが絶対必要かと言われると何とも言えないんですが、あえてテーマとして挙げるなら「父と子」というのは、制作中もずっとブレずに僕の中にありました。僕には5歳の息子がいるんですけど、仕事が忙しくて育児や家事を妻任せにしてしまうことが多くて。妻もバリバリ働いているので、お互いにバランスよく分担していかなきゃいけないとは思いつつも、なかなかできていないという葛藤がここ最近ずっとあるんですよね。そんな「父」としての立場から、子どもとの関係性とか、もし奥さんがいなくなったときに僕たち男はどうなるんだろうとか、いろいろ考えていたことが結果的に映画の軸になりました。

――映画制作を通じて、ご自身なりの答えは見つかりましたか？

今井：どうでしょうね…、制作に没頭すればするほど、家庭を顧みることが難しい状態が続いたので（笑）。落ち着いたら妻には「ひと通りのことはしばらく僕がやるから仕事に専念して」と言いたいと思います。

のび太くんのように「人の喜びや痛みがわかる」人になることを、忘れちゃいけない

――どの作品もそうですが、今作は特にのび太くんの「優しさ」や「真の強さ」を感じました。

今井：それも今作で描きたかったことのひとつです。のび太くんって、基本的には「ダメなやつ」という設定じゃないですか。でも、『のび太の結婚前夜』という映画の中でしずかちゃんのパパが語るセリフが僕は大好きで。結婚を迷う娘に対して、「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。」と優しく言うんです。僕の子どものまわりも、最近は英語を習ったりプログラミングを勉強したりする子が増えていて、それももちろん大事なんですけど、のび太くんのように「人の喜びや痛みがわかる」人になることをまずは忘れちゃいけないと思うんですよね。なので、そこは力を入れて描きたかったところです。

――特にお気に入りのシーンはありますか？

今井：うーん、いっぱいありますが、強いて挙げるなら「嵐のシーン」ですね。今作に登場するフロックという男の子は、メカニックとして立派に働いていたり、ジャイアンにも歯向かえたり、のび太とは対照的な少年として描いたキャラクター。でも優秀なだけに独善的というか、和を乱してしまうところがあって。それでみんながバラバラになっているときに、のび太くんが非力ながらも率先してみんなをひとつにしようと頑張るんです。

――のび太くんの行動で全員の心がひとつになっていく、とても印象的なシーンでした。

今井：みんなで力を合わせないと前に進まない帆船を、一丸となって動かして目的地を目指す。のび太くんやみんなの心の強さが際立つ重要なシーンだと思っています。

セーラー服をモチーフにした、可愛いコスチュームもポイント

――今回SHIPS KIDSからは、3種類の映画ドラえもんデザインTシャツが登場しています。ご覧になってみてどうですか？

今井：これはいいですね。特にこの波のデザインのものが、色合いもきれいで好きです。息子にぜひ着せたいし、何なら僕も着たい（笑）。大人サイズはないんですか？

――残念ながらキッズサイズのみで…（笑）。今作はキャラクターのコスチュームもとても可愛いですが、キャラクターデザイナーの方と相談しながら決めていったのですか？

今井：「セーラー服をモチーフにしたい」と最初に言ったのは川村さんだったと思います。セーラー服を着たイギリスの小さい子どもみたいに、可愛いイメージのコスチュームにできたらと思って、そこからキャラクターデザイナーの亀田さんに具体的に仕上げてもらいました。コスチュームは今作のポイントでもあるので、ぜひ注目してほしいですね。フロックも、妹のセーラも、セーラー服に由来した名前なんです。

――しずかちゃんがスカート姿でないのが新鮮でした！

今井：船の上で働く船員のイメージなのにスカートはどうなんだろうと思って、最初はズボンを考えていたんです。それを最終的に亀田さんが、かぼちゃパンツのような可愛らしいデザインに仕上げてくれました。今回はミニドラが18年ぶりに映画作品に登場するんですけど、水兵さんっぽいボーダーのデザインで、セーラー帽をかぶっていたりして、それも可愛く仕上がっていると思いますよ。全編を通してカラフルな画になっているので、ご家族で楽しんで観ていただけたらと思います。