春のお出かけには、  映画『しあわせの絵の具』がおすすめ! 春のお出かけには、  映画『しあわせの絵の具』がおすすめ!

春のお出かけには、 映画『しあわせの絵の具』がおすすめ!

カナダでもっとも有名な画家のモード・ルイス。彼女が歩んだ素朴で美しい人生を描き、世界中の映画祭で観客賞を受賞した『しあわせの絵の具』がついに日本公開! 来日した監督のアシュリング・ウォルシュさんにお話を伺いました。

不器用な大人たちへ、人生で大事なことを教えてくれる真実の物語

『しあわせの絵の具 ー愛を描く人 モード・ルイスー』

小さな港町で、カナダの美しい四季と動物を色鮮やかに描き続けた画家モード・ルイス(1903-1970)。その素朴ながら愛らしい絵は、今もオークションで500万円を超える値がつく、カナダで最も愛された画家である。そんな彼女を不器用ながらも献身的にサポートしたのが、夫のエベレット。孤独だった2人が運命的な出会いを経て、夫婦の絆と慎ましくも確かな幸せを手に入れた感動の実話が映画化! わずか4メートル四方の家で絵を描きながら暮らすモードを演じるのは、『シェイプ・オブ・ウォーター』で本年度アカデミー主演女優賞にノミネートされた実力派サリー・ホーキンス。妻への愛と尊敬の念を無骨に隠すエベレットに、『6才のボクが、大人になるまで。』などでアカデミー賞ノミネート常連組のイーサン・ホーク。一風変わった夫婦の愛を繊細に描くのは、『荊の城』のアシュリング・ウォルシュ。絵と夫の愛に包まれたモードの生き方が、「どんな人生でも自由な精神で楽しめば、素晴らしいことが待っている」と教えてくれる感動作が誕生した。

INTERVIEW

春のお出かけには、  映画『しあわせの絵の具』がおすすめ!

脚本を読んですぐに、この映画を撮りたいと思いました

ーーフォーク・アート画家のモード・ルイスと、夫・エベレットを題材にした作品を撮ろうと思ったきっかけを教えてください。

アシュリング・ウォルシュ(以後、ウォルシュ) 彼女を知ったきっかけは、私のエージェントに届いた一冊の脚本なんです。読んですぐに「これを撮りたい!」と思いました。すぐに彼女の作品をネット検索して、クロネコが3匹描かれた絵を見つけました。色彩やフィーリングの素晴らしさに驚いたのを覚えています。その後、彼女の写真を見て「この人が、この身体で描いたのか!」とさらに感動したんです。彼女は幼い頃にリウマチを患い、手足に障害を持っていました。翌朝にはプロデューサーに「私がやりたい」と伝えていました。私は画家を目指して学んでいたこともあったので、いつかは画家の人生を撮りたいと思っていたんです。その夢が叶うチャンスはここしかないと思いました。

ーーストーリーも素晴らしいですが、カナダ東部の田舎町で過ごした夫婦の暮らしやファッションが、臨場感に溢れていて素晴らしかったです。あのパーフェクトな世界はどう作り上げていったのですか。

ウォルシュ 撮影をスタートする前に重要だと思ったのは、メインキャストのふたりと、プロダクションデザイナー(美術)、そして撮影監督でした。この4大要素さえ正しく決まれば、多少何かがあっても大丈夫だと思ったんです。実際、彼らは本当にいい活躍をしてくれて。だからこそ、褒めていただいたような細やかなディテールを実現できたんだと思います。

ーー美術に関して、苦労したところはどこでしょうか。

ウォルシュ プロダクションデザイナーは、私が信頼しているアイルランドのジョン・ハンドさんにお願いしました。でも、彼が初めてカナダに到着したのは9週間前。そこから現地でのスタッフ集めも含め、ゼロから進めなくてはいけないのが大変でした。でも、彼ならば家の建て込みや内装、小道具に至るまで完成させてくれると信じていた。家の建て込みに関しては、実際にモード・ルイスが暮らしていた家が移築されているノバスコシア美術館に何度も通って、写真を撮って、採寸などをしました。

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衣装はヴィンテージ生地で仕立てています

ーーモード・ルイスのファッションは、彼女が実際に着ていたものにインスパイアされているのでしょうか。

ウォルシュ そうです。カナダは昔から通販が主流で、メインヴィジュアルで使われているエプロンは、1940年代の通販カタログでよく流通していたのと同じヴィンテージ生地を使っています。そこからさらにウォッシュをかけて着古したようにしているんです。また、彼女が結婚式で来ていた青いドレスもヴィンテージ生地を使っていて、パターンも当時のものを探して作っています。コートもそうですね。ブローチやボタンといった小物もそう。というのも、映画において衣装はとても重要なんです。役者さんが役に没頭するためにも、衣装が自分の服のように感じられないといけない。そう思っているんです。

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ーーファッションや美術の時代考証以外に、実話を映画化するうえでの難しい点はどこでしょう。

ウォルシュ 作品ごとに挑戦するポイントは変わります。今回の題材となったモード・ルイスという人物は、彼女が亡くなる5年前に製作されたカナダのテレビ・ドキュメンタリー番組で有名になった人物なんです。つまり、それ以前のことを知っている人がほとんどいない。その空白ともいえる時間を推測しながら、針に糸を通すような作業をしなくてはいけなかった。彼女が、室内のどの壁にどんなものを最初に描いたのかすら知られていないんです。そこは大きな挑戦でした。

ーーモード・ルイスの才能を発見する、NY在住のサンドラという女性が気になったのですが・・・。

ウォルシュ あれは実在したふたりの女性を組み合わせたキャラクターなんです。ひとりはNYにあったギャラリーのオーナーで、毎夏避暑地として訪れており、彼女の作品を買い付けていました。もうひとりは、地元でギャラリーをオープンした女性。その他にも、モード・ルイスの熱心なサポーターは何人かいたようです。

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何かをやり抜くには自分を信じなければダメ

ーー監督は以前、この映画に対するコメントとして「自分自身を信じたら、どんなことだって克服することができるのよ」と仰っていました。監督もまた、そんな思いで映画製作をここまで続けてこられたのでしょうか。

ウォルシュ そうです。何かをやり抜くには自分を信じなければダメだと思う。ときに長く時間がかかるかもしれない、でも自分ができると信じることが一番大事です。モードを演じたサリー・ホーキンスに聞いても、同じように答えると思いますよ。この映画は私にとってもサリーにとっても、天国からの贈り物のような作品。10年前にこの話があったら、今回の作品とはまた違ったものになっていたと思います。そういった意味では、物事はなるようにしてなるのかなと思います。

SHIPS×Reclaimed Works

モード・ルイスの家を再現!

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SHIPS × Reclaimed Works、モード・ルイスの家を再現!
シップス 渋谷店1階では、2月14日〜28日にて映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』のPOP UP SHOPがオープン。期間中は、モード・ルイスが暮らした家のファサード(建物正面)を輸入古材で表現。また、モードの公式ミュージアムグッズ販売や、映画のイメージに合わせた洋服のディスプレイがおこなわれていた。
なお、3月3日(土)から上映期間中はBunkamuraル・シネマに、同ファサードが移設展示されている。見逃した方はこちらにぜひ!

PROFILE

春のお出かけには、  映画『しあわせの絵の具』がおすすめ!
しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

監督:アシュリング・ウォルシュ 出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク 原題:MAUDIE 2016年/カナダ・アイルランド/英語/116分/DCP/カラー 日本語字幕:牧野琴子 後援:カナダ大使館 アイルランド大使館 配給:松竹 shiawase-enogu.jp ?2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd. 3月3日(土)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、東劇ほか全国ロードショー!

「絵を描きながら、あなたと暮らすのが私の幸せ」
叔母と暮らすモード(サリー・ホーキンス)は、絵を描くことと自由を愛していた。ある日モードは、魚の行商を営むエベレット(イーサン・ホーク)が家政婦を探していることを知り、興味を持つ。モードは自立のため、住み込みの家政婦になろうと決意。彼が暮らす町外れの小屋のドアをノックした。幼い頃から重いリウマチを患い厄介者扱いされてきたモードと、孤児院育ちで学もなく、生きるのに精一杯だったエベレット。はみ出し者同士の同居生活はトラブル続きだった。しかし、モードが作った熱々のチキンシチューを口にして、エベレットは孤独だった心が温まるのを感じる。やがて2人は互いを認めあい、結婚することに。 一方、家の壁に描かれたニワトリの絵ですぐに彼女の才能を見抜いたエベレットの顧客サンドラは、モードに絵の創作を依頼。自分の絵が認められたことが嬉しいモードは、夢中で筆を動かし始めた。壁に、板に、請求書の裏に。そんな彼女を不器用に応援するエベレット。いつしかモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領からも依頼が来て……。

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アシュリング・ウォルシュ
監督

1958年、アイルランド・ダブリン出身。Dun Laoghaire Institute of Art',' Design and Technologyでファインアートを学んだ後、イギリスのthe National Film and Television Schoolで映画制作を学ぶ。卒業後はイギリスを拠点として映画やTVドラマの制作に携わる。03年に制作した映画『Song for a Raggy Boy』が世界の映画賞に14部門受賞、6部門ノミネートされ高い評価を受け?る。主な監督作品は、本作の主演サリー・ホーキンスも出演しているTVドラマ「荊の城」(05)や「An Inspector Calls」(15)など。