毎号、ゲストの方にお友だちを紹介いただき、注目アーティストを数珠つなぎにしていく本企画。第17弾は、LISACHRIS & THE VALENTINE(ユカリ アンド ザ ヴァレンタイン)さんの紹介で、音楽プロデューサーのLISACHRIS(リサクリス)さんが登場! ディープでありナヴァルな楽曲からは想像がつかない、意外な一面が垣間見れました。
高校時代からプロデューサー気質でした
ーー今回は、UCARY & THE VALENTINE(ユカリ アンド ザ ヴァレンタイン)さんからのご紹介ということで、よろしくお願いします。ユカリさんとははもう長いんですか?
LISACHRIS 友だちが彼女のライブに連れて行ってくれたのが最初で。そこから徐々に仲良くなって、「一緒に曲を作ろう」とオファーをくれたり。ユカリちゃんとはすごく気が合うんです。
ーーユカリさんも「すごく仲良しなんです」と言っていましたよ。
LISACHRIS そうなんだ、うれしい〜。
ーーフィーリングが合う仲間って最高ですよね。
LISACHRIS ユカリちゃんといると、18歳みたいな気持ちになれるんです。彼女は優しくていい子だし、才能もあるしライブも相当すごい。ゆかりちゃんが作る曲はポップだけど、私のトラックで歌うときはガラッと変わるんですよ。
ーー最初にライブで観たときは、どんな印象でしたか?
LISACHRIS 不思議だけど、力強い子だなって。
ーーLISACHRISさんはNYのクイーンズ生まれで、幼少期は海外を転々とされていたと聞いています。
LISACHRIS はい。基本は東京ですけど、生まれてから2歳までがクイーンズ、5〜8歳でロンドン、13〜14歳でNYの隣にあるコネチカット州にいました。
ーーそこでの経験は、自分の好きなモノやコトに影響を与えていると思いますか?
LISACHRIS アメリカよりイギリスに影響されていると思いますね。’99〜’00年あたりのロンドンだったので、景気も良かったんだと思います。その頃、スパイスガールズやエッフェル65がテレビでよく流れていて。そこが音楽の原体験。
ーー幼少期にイギリスの空気を感じていたのは羨ましい。一方、もっとも多感な時期は東京だったんですね。当時はどんな高校生でしたか?
LISACHRIS いま思えば、プロデューサー気質でしたね(笑)。文化祭では、学年の女子を集めてAKBごっこみたいのをやったり、、それも相当イカつくて。みんなすごいかわいいんですけど、最初は仮面をつけて登場させて、いきなり激しいテクパラを踊るような演出にしました。そこからAKBの曲にいくんですけど、転換部分は知り合いのお兄さんに曲をMIXしてもらっていい感じに仕上げたり。そのときから、いろいろこだわっていました。
ru a samurai?
ーー遊びを考えるのが好きだったんですね。
LISACHRIS 高校のときはそうでした。
ーーその頃に聴いていた音楽というのは?
LISACHRIS いろいろ聴いていましたけど、印象に残っているのは、亡くなってしまった大阪出身のTERRY THE AKI-06さん。レゲエとヒップホップが合わさった感じがすごくかっこよくて。あとはパフュームの『GAME』ってアルバムは鬼ハマりましたね。M-floも。
ーーその頃のファッションはどんな感じでしたか。
LISACHRIS ギャルに憧れていたので(笑)。でも、激しく髪を染められなかったから、とりあえずエクステをつけるみたいな。茶パツのロン毛でネイルをしたり。『ポップティーン』をみんなで読んでました。買い物は渋谷に行って。
自分の曲は女っぽいなと思っています
ーー中学から高校まで吹奏楽部にいて、大学からDJをスタートしたんですよね。最初はどういう選曲だったんですか?
LISACHRIS エレクトロですね。
ーーそこからヒップホップのビート系というか、トラップに興味を持つようになったのはいつからのでしょう。
LISACHRIS Flosstradamus(フロストラダムス)の『Roll Up』という曲に、Baauer(バウワー)リミックスがあるんですけど。それが初めてのトラップとの出会いで「これはヤバい!」って。もう「コレやるしかないっしょ」と。そこからだんだんそういう仲間に出会っていって。
ーーLISACHRISさんを初めて知ったのは、かつて在籍されていたYENTOWN(ラップグループ)なんですけど、トラックがドープ過ぎて。作っているのが女性だと知ったときは驚きました。よく言われないですか?
LISACHRIS どうなんだろう。自分の曲は女っぽいなと思っていますけど・・・。
ーー確かに女性的なキラッとしたスパイスは入っていますけど、基本的にはダーティというか。どこか怖さのある楽曲だと思うんです。
LISACHRIS 怖いと言われがちなんですけど、そんなことはまったく思っていなくて。自分ではセクシーだと思っているんですよ。
ーーあぁ〜なるほど。ちなみに、憧れの女性っていらっしゃいますか?
LISACHRIS ヴィクトリア・ベッカム。あの夫妻に憧れています。
ーーそれはなぜ?
LISACHRIS あくまでもイメージですけど、あれほどまでの美男美女なのに、絶対にふたりとも浮気したことがなさそうで、おとぎ話の姫と王子みたいじゃないですか。お互いに自立をしていてピュアな美しさを感じるし、オシャレでかっこいい。
ーーそうですよね。でも、YENTOWNのイメージとは違って、その答えに動揺してます(笑)。LISACHRISさんは曲を作り始めた頃から、すでにトラップだったんですか?
LISACHRIS 最初はもろヒップホップでした。DAWソフトの「エイブルトン ライブ」と鍵盤で作っていて。
曲を作るときは、「感情」と「言葉」が最初に浮かぶ
ーー曲を作るうえで、吹奏学部でサックスを吹いていたことは有利でした?
LISACHRIS 最初は「機械を操るのがこんなにむずいのか! って、苦戦しました。
ーー曲のイメージはできているのに、うまく操作ができないという感じ?
LISACHRIS そうですね、この作業は機械ありきだなとわかって。「使いこなさないとできない、ヤベェ」と思いました。でも、最初の頃はなんとなくでいい曲ができていたので、今のほうが苦戦してますね。作りたい感じを、どう表現(再現)すればいんだろうって考えることが多いです。
ーー曲作りをするときは、まず何が浮かぶのでしょうか。
LISACHRIS 「感情」と「言葉」ですね。そのふたつは初期衝動的なものなので、作っているうちに生活もそっちに傾いていっちゃうんです。設定した感情や言葉の意味が、自分のなかで理解できた頃に曲ができる感じで。
ーー「言葉」というのはテーマとかタイトルみたいなものですか?
LISACHRIS そうです。キーワードが最初に出てきて、それが感情と直結している。例えば、『Both(ボース)』という曲は「両方欲しい」という切なる感情だったり、あとは『rhetoric(レトリック)』とか。他には、人をイメージして作るときもありますね。アニメのキャラクターとか。
ーーミニアルバムの『Ariake』では、『Lupin』や『ru a samurai』などルパン3世をイメージした曲がありますよね。
LISACHRIS huluにルパン3世がたくさんアップされていた時期があって、そこで知ったんです。次のミニアルバムでは、峰不二子の曲を作っていて。いつかすべてのメンバーの曲を完成させようと思っています。
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Piscesはものを作りをするという「遊び」
ーーモデルの宮本彩菜さんと、Pisces(パイシーズ)というユニットも組んでいますよね。あれはどう始まったのですか?
LISACHRIS 作った曲をSoundCloudにあげたら、彩菜が歌をつけて返してきてくれて。「それいいじゃん!」となったのが最初です。ふたりともMVが好きなので、一緒に撮ろうよっていう流れで。
ーーだから、MVがたくさんあるんですね。
LISACHRIS たくさんあります?
ーーPisces名義で音源をリリースしているわけではないのに、ネット上にはMVがいろいろあって。普通、そういう活動の場合は楽曲だけがアップされるじゃないですか。
LISACHRIS そっか、確かに逆だ(笑)
ーーふたりが集まると、映像を作りたい気持ちのほうが強くなるのかなと思いました。p>
LISACHRIS あぁ〜なるほど〜。本当は一緒に作った曲がまだまだあるんですよ。私はせっかちなほうなんで、もっとMVを撮りたいんですけど。彩菜ちゃんはマイペースなので。映像に関してはふたりで話し合いながら作って、編集作業は彩菜がやってくれる。彼女の家に行って、あぁだこうだ言いながら。
ーー楽しそうですね。
LISACHRIS 相当楽しいですよ。Piscesはものを作りをするという「遊び」なんで。
ーーこの秋冬は、どんなファッションをしたいとかありますか?
LISACHRIS セットアップのジャージかな。あとは、すごく長いブーツとタートルネック。早く着たいですね。
ーー最後に、今後の予定を教えてください。
LISACHRIS EPになるかアルバムになるかわからないですけど、今は楽曲を製作中です。生楽器を入れ始めたので、ライブでも新しいセットで見せていきたいです。
ーー今後、ご自身でサックスを吹くことも?
LISACHRIS 吹きたいですね。作品は年内に出せればと思っています。
ーー本日はどうもありがとうございました。
PROFILE
3月1日生まれのプロデューサー/DJ。
NYのクイーンズで生まれ、ロンドン、東京で育つ。
一聴して誰のものか分かる印象的な楽曲を多数手掛ける音楽プロデューサーとしてAnarchy、Lick-G、Zorn・般若・シンゴ西成らへの楽曲提供や、DJでは国内外のクラブ、ハイブランドからストリートカルチャー、様々なパーティーやショーにブッキングされている。
初となる作品『ARIAKE』EPを今春リリース、今秋、今冬にも作品リリースを予定している。
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