音SHIPS  ?注目アーティストの友だち巡り・ZOMBIE-CHANG編? 音SHIPS  ?注目アーティストの友だち巡り・ZOMBIE-CHANG編?

音SHIPS
?注目アーティストの友だち巡り・ZOMBIE-CHANG編?

毎号、ゲストの方にお友だちを紹介いただき、注目アーティストを数珠つなぎにしていく本企画。第12弾となる今号は、蓮沼執太さんの紹介でZOMBIE-CHANG(ゾンビー・チャング)/メイリンさんが登場。彼女の音楽性を一言で表現するのは難しく、ローファイ・エレクトロ、ニューウェーブ、テクノポップなど、さまざまに表現される捉えどころのないサウンド。さらに、最近はモデルとしも活動するなど、幅を広げているイット・ガールでもあります。何はともあれ、とびきりキュートな彼女のインタビューをどうぞ!

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スクールカーストでいえば、ヤンキーのひとつ下のグループ

??今日はよろしくお願いします。まずは、ご紹介いただいた蓮沼さんとの出会いについて聞かせてください。

メイリン(ZOMBIE-CHANG) ある日突然メールが来て。当時は蓮沼さんのことを存じていなかったんですけど、お会いしたらムーミン谷の世界にいる人みたいな方で(笑)。森林とか、木の根っこみたいな感じで心温まる感じ。一緒に曲を作ったんですけど、ものすごいスピードでトラックが送られてきて、あっという間に曲ができて。蓮沼さんの周りにいる方たちもムーミン谷みたいな人たちで、すごく好きになりました。

??ムーミン谷(笑)。 この前、取材させていただいた印象では、軽く毒もある感じで。随所にピリッと痺れる感じは、どこかスナフキン的でもありますよね。

メイリン 確かに! そこも面白いですよね。

??現在、音楽プロジェクトではZOMBIE-CHANGとして活動されていますが、メイリンは本名ですか?

メイリン 本名ですよ、漢字で書くと「明玲」。おじいちゃんが中国人で、中華街の近くに住んでいました。でも、中学校は磯子区だったんで不良が多かったんです。

??私も横浜なのでわかりますけど、磯子はなかなかハードな街ですよね(笑)。でも、その時代の悪いってどんな感じでしたか?

メイリン ボンタンとか特攻服とか。わりとクラシックでした。

??えっ、まだ20代前半ですよね? じゃあ、トイレの便器が割れていたり。

メイリン はい、それはもう。床にタンが吐かれていたり・・・。今はどうなのかわからないですけど。

??あははは。そこではヤンキーだったんですか?

メイリン いやいや。スクールカーストでいえば、ヤンキーのひとつ下のグループみたいな感じで。その立ち位置って中途半端なので、恐い先輩に呼び出されたりもして。

??そういうのありますよね、カバンがちょっと派手だとか。

メイリン まさにそう(笑)。パンク好きだったので、鋲とかを打っていたんですけど。それで目をつけられたり。

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パンク精神も好きだったんですけど、DIYなところにより魅かれたんです

??やっぱり、しかもパンクだったんですね。音楽に関しては、いつくらいから自分で選んで聴くようになったんですか?

メイリン ちゃんと自分で選ぶようになったのは、中1くらい。そこでパンクミュージックにハマって、友だちもできて、さらにいろいろ聴くようになって。当時の自分にとってライブハウスは非現実的でした。知らない人同士がモッシュして、ぶつかりあったりしている様子が。

??その頃は、どんなアーティストが。

メイリン う?ん、The Casualties(カジュアリティーズ)とか・・・。なんだろう、ピストルズとかよりも、偶発的に生まれたヘタウマな感じのバンドが好きでした。パンク精神も好きだったんですけど、DIYなところにより魅かれたんです。

??カジュアリティーズはヴィジュアルもかっこいいですもんね。音楽はもちろん、そのスタイルにも親和性を感じたんですね。

メイリン そうですね、見た目は派手だけど鋲を自分で打っていたり、モノを大事にしている感じが。ちゃんと世間に考えを持って行動しているし、メッセージ性もあるからすごいなぁと思って。当時、自分は周囲に合わせたりしていたので、そういう部分に魅かれたんです。

??その後の高校時代は?

メイリン 公立のヤンキー中学から私立の高校に行っちゃって、そのギャップに苦しみました。中学の頃はみんな思ったことをはっきり言うし、先輩なら呼び出して殴るとかだったので。もちろん、それも怖くて嫌なんですけど、何が不満なのかわかりやすかった。でも、私立は直接言わないぶん、裏でコソコソみたいなところを見てしまって、私には難しいなって。それで途中で辞めてしまったんですよ。パンクミュージックにハマってこじらせていたので、「世の中クソくらえ!」みたいなところもあって。親に言わずに退学届を出したら、なぜかそれで退学できちゃって。

??えっ!? 親の許可なしに退学できちゃったんですか?

メイリン 普通できないですよね? そこはいまだに謎ですね。運命だったんですかね。

「I CAN'T GET TO SLEEP」

「I CAN'T GET TO SLEEP」

「憧れの人は?」とよく聞かれるんですけど、憧れとかはないんです

??音楽活動を始めた当初は、ギターの弾き語りだったと聞いていますが。どういうものだったんでしょう。

メイリン 本当はバンドも組みたかったんですけど、集団活動が苦手で。それに、自分が作りたいものに他人の概念が入ってくるのも違うなと思って、ひとりでやっていたんです。

??ギターをかき鳴らして、不満を叫ぶみたいな?

メイリン それですね。思春期にやっていたことなので、いまでは消したい黒歴史です(笑)

??そんな思春期はいつ頃終わりを迎えるのでしょう。

メイリン 退学と同時に家も出たので。そこで自分の悩みや家庭の悩みも解消されて、自分らしさを見つけて抜け出せた感じですかね。

??そこからラップトップミュージックに目覚めたのは?

メイリン ただ自分の感情を吐き出すだけでは伝わらないなと思って。子どもに「あれはダメ、これはダメ」と言ってもわからないじゃないですか。なので、遠回しに伝える手段が欲しかったんです。そう考えたとき、ギターの弾き語りはアパレルショップではかかっていないなと思って。じゃあ何をすればいいかと思ったときに、「電子音だ!」と。それからラップトップミュージックを始めたんです。

??その発想が面白いですね。もっと広く届けるための手段だったんですね。

メイリン もっと広く届けたいし、自分の可能性を狭めるのはイヤだなと思って。いろんなことに挑戦したいんですよ。なので、いろんなことに挑戦できるツールを使ってやっていきたいなと思ったんです。

??電子音を使った音楽は、それまでに何かしら聴いていたんですか?

メイリン それがまったく聴いていなくて・・・。でも、私のなかで考えがあるんです。よく「憧れの人は?」と聞かれるんですけど、憧れとかはないんです。もし好きなバンドに憧れてバンドを始めたら、その人より上には行けないなと思っていて。なので、あまり電子音は聴かないですね。ちょっと遮断している部分はあります。電子音を使ったバンドサウンドは聴きますけど。

「GOODBYE MY LOVE AND TURN AROUND」

曲を作ってる段階でも、完成した段階でも、自分の中ですでに映像がある

??最新アルバムの『GANG!』は、どこか懐かしい感じというか。初期のテクノポップのような気もするし、『可愛いベイビー』のカバーが入っていたり。古い日本の歌謡曲をYouTubeとかでいっぱい見ているのかなって。

メイリン 歌謡曲はすごく好きで、『可愛いベイビー』はお母さんがよくカラオケで歌っていたんです。だから、私の中での可愛いベイビーは、中尾ミエさんの曲を歌っているお母さんの曲で。

??思い出深い1曲だったんですね。

メイリン 昔はカラオケに連れて行かれるのがすごく嫌いで。耳にタコができるほど聞かされてイヤだったんですけど、耳に残っているし、今考えるとかわいらしい曲だなと思ってカバーしたんです。

??ジャケットのデザインやMVをご自身でやられることが多いですが、そういったヴィジュアル面というのは、曲を作っているときから浮かんでるからこそ、自分でやりたい感じですか?

メイリン そうですね。曲を作ってる段階でも、完成した段階でも、自分の中ですでに映像があるんです。だから、なかなか人に丸投げすることができなくて。何度かやったこともあるんですけど、バンドを組めないのと同じ感覚です。なので、自分でディレクションすることが多くて。

??この質問は皆さんに聴いているのですが、音楽はどんなきっかけで生まれるのでしょうか。思い浮かんだ風景を曲にしているとか、最初から五線譜が浮かぶとか、そういう抽象的な話でいいんですけど。

メイリン 場合にもよりますけど。今回のアルバムの中にある『KOURAKUEN』という曲は、写真家の塚本さんとZINE(インディペンデントな雑誌)を作るために、後楽園に行ったんです。そのZINEをもとに作りました。

??それはどういうZINEだったんですか?

メイリン 私は、夕暮れとか、夏のアスファルトが濡れた匂いとか、ノスタルジックなものがすごく好きなんです。だいたいそういうものに動かされて作品を作ったりするんですけど。写真家の塚本さんも独自の世界観があって、ふたりのノスタルジックが合わさったようなZINEで。全編カラー写真なんですけど、霧がかかっているような寂しい感じ。

??『KOURAKUEN』も、どこか昭和歌謡のような懐かしい感じの曲ですよね。

メイリン あの曲の映像は、私の中では白黒で・・・。

??昔の日本映画のようなモダンな女性が登場してきそうですよね。

メイリン そうそう、そういうイメージです。なので、記憶のなかに残っている風景から物語を考えたりすることが多いですね。あとは、自分がした恋から影響を受けるときもあるし。

??でも、そこから生まれる曲は基本的にポップですよね。あまり小難しくしたくないみたいなのがあるんですか?

メイリン そうですね。なんだかんだ協調性を大事にしているので。世間の人に聴いてもらえないのは悲しいし、認められたいという気持ちもあるので。もちろん、その中にも自分が譲れない部分はあるんですけど。でも、生きていくうえで自分の譲れないところだけじゃダメだし、それは作品においても同じかなって。まぁ、自然にポップなメロディラインになるんですけど。

??ドリフのオープニングのようなリズムが多いですよね。

メイリン そう、そうなんですよ(笑)。すぐそういう感じになるんで。

??クラブで踊るときはどうなんですか?

メイリン よくヘンだと言われます。日本の人にも外国の人にも言われるので、ヘンなんだと思います。でも、クラブに行くようになったのは最近なんですよ。今は踊るって素晴らしいなと思っていて。言葉がなくてもコミュニケーションがとれるし、そこで出会う人もいるし。普段は人見知りなんですけど、みんなと踊りながら時間を共有している感じが、私にとっては非現実的で楽しいんですよね。

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ファッションは、ある時期から普通が一番だなと思うようになった

??話は変わって、ファッションについてもお聞きしたいのですが。これまで、どんな変遷がありましたか?

メイリン 結構すぐにファッションは変わるんですよね。パンク時代は革ジャンに鋲を打ったり、パーカにパッチを貼ったりしていて。でも、ある日突然モテたいと思って、パステルカラーを全面に取り入れたフェアリーな感じになったんです。でも、それってまたモテない方向じゃないですか。そうやってブレながら、ある時期から普通が一番だなと思うようになったんです。でも、昔から古着は好きだったので、カジュアルな古着とか、あんまり飾らない感じになりました。映画に影響されやすいので、そのときに観た主人公をマネすることも多いです。

??最近は誰かに影響されましたか?

メイリン 久しぶりにバンドにハマっていて。La Femme(ラ・ファム)というフランスのバンドなんですけど。最近来日していて、そのライブを観て「めっちゃ素敵!」って。今はその人たちのファッションにちょっと影響されています。

??今日のファッションはKhajuで選んでいただきましたが。

メイリン 黒いトップスもセレクトしたんですけど、このラベンダー色のシャツはすごく自分らしいなって。かわいいし、お花だし、シックだなと思って。あと黄色いパンツと合わせた感じも。

??パキッとした色が、本当にお似合いになりますよね。

メイリン 嬉しい?。パキッとした色が好きでつい選んじゃいます。

??プレスルームでは真っ先に「シャツがいい!」と仰っていましたが、そんな気分だったんですか?

メイリン 古着って1点ものなので、なかなかシャツで合うものがなくて。だから、新品で欲しいなと思うのはシャツなんです。私のマネーライフだとなかなか手が届かないので、早くビッグマネーを得てシャツを買いたいですね。

??あははは。最近はモデルとしても活躍されていますが、今後音楽以外で何かやりたいことはありますか?

メイリン 文章を書きたいと思っていて。歌詞とかを書くので、すごく話したいという気持ちがあるんです。なので、コラムとかエッセイを書きたくて。でも、ありがたいことにそちらもやらせてもらえそうで。

??そうなんですね! 今後読めるであろうエッセイも楽しみにしています。そうだ、最後に聞き忘れたことを。なんで、ZOMBIE-CHANGと名付けたんですか?

メイリン ZOMBIE-CHANGになったのは2年くらい前からなんですけど。その頃、髪の毛をよくヴィヴィッドカラーにしていて。素手で染めていたから、手が真っ青だったんですよ。

??素手で!?

メイリン そうなんです。そのまま飲食店のバイトに行くと、よく「ゾンビみたい」って言われて。字面もかっこいいし、そんな感じで。

??その話が聞けてよかったです(笑)。今日はありがとうございました!

着用クレジット

ブラウス ¥16,000(+tax) / KiiRA
パンツ ¥12,000(+tax) / Khaju
その他私物

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ZOMBIE-CHANG | ゾンビーチャング

ニューウェーヴ女性アーティスト。
ローファイな音源に、なんともクセになるヴォイス。
そのアンバランスさが魅力の、ZOMBIE-CHANG(ゾンビーチャング)。
ボーカル、トラック、パフォーマンス全てメイリンひとりで行う。

?LIVE情報?
6/22(木)
『Erection -10th Anniversary-
スチャダラパー x never young beach x ZOMBIE-CHANG』
OPEN 18:30/START 19:30
入場料:?3500(別途1ドリンク代)
※ 未就学児童は保護者同伴に限り入場可(小学生以上チケット必要)
出演:スチャダラパー/never young beach/ZOMBIE-CHANG