旅のお土産、なに買った? 旅のお土産、なに買った?

旅のお土産、なに買った?

トラベルカルチャー雑誌 『TRANSIT (トランジット)』の林編集長による人気連載の新企画! 「旅のお土産」をテーマに毎号ゲストを招いた対談連載の第1回では、林編集長ご自身がこれまでに買い集めた、旅のお土産を持参していただきました。仕事とプライベート合わせて過去20カ国ほど旅している林さん。彼女はどんなお土産をこれまでに買ってきたのでしょうか。では、早速始めましょう。

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ミャンマーのチャイントンにいる少数民族が耳につけているアクセサリー。自宅では飾りとしてドアなどにかけて使っている。

忙しくても、どうにか時間を見つけてショッピングを楽しむ

??これまでに20カ国近く旅されているようですが、回数ではどこが多いのですか?

 回数でいえばアメリカが多いですかね。その次は、私の大好きなインド。仕事で3回、プライベートで2回の計5回行っています。

??インドが多いというのはさすがです。次号の『TRANSIT』もインド特集なんですよね。

 南インド&スリランカ特集です。でも、南インドにはガンジス川も、バターチキンカレーもタージ・マハールもないんです。北インドとは民族も言葉も違っていて、椰子の木が生えていて緑豊かな場所なんです。住む人たちもおだやかで。そんな場所に、タブラ奏者のU-zhaan(ユザーン)さんと旅しました。彼はカンジーラという楽器を習っていた時期に、チェンナイという南インドの都市に滞在していたんですよ。そんな思い出の地を17年ぶりに訪ねるという企画です。

??それは面白そうですね。

 充実した楽しい取材ができました。でも、男性2人との旅だったのであまりお土産を買う時間がなくて(笑)

??あははは、買い物に興味がない男性は多いですからね。

 女性のフォトグラファーさんと一緒だと、忙しくてもどうにか時間を見つけてショッピングをしたりするんです。もちろん、プライベートだったらゆっくりと買い物を楽しめますけど。

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気になるものが高くなかったら、すぐに買います

??お仕事のときは、買うか否か決断もスピーディなんですね。何かルールを決めていらっしゃいますか?

 う?ん、とりあえず日本では見かけないようなもので気になったものが高くなかったら、すぐに買いますね。もう二度と出会えないかもしれない!って。あと、箱物とかポーチ類は、何かをいれる容器になるなど汎用性が高いのでついつい買いがちです。旅の荷物やお土産を収納して持ち帰れるのもいい。

??確かに、ここにあるものもかごの容れ物が多いですね。

 そうなんです。小物入れにしたり、野菜を保管したり、日常使いができるんですよね。フォルムもかわいいし。

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  • 1ミャンマーで購入した、本来はもち米を入れるケース。マトリョーシカのように中にもうひとつ入っており、自宅では小物入れにしている。
  • 2自宅では野菜入れにしているかご。現地でも野菜の収納などに使われていた。
  • 3筒状のケース。普段はカトラリーを入れている。
  • 4韓国では馬のエサ入れとして使われているカゴ。
  • 5インドでは品質がよく、柄もきれいな布類が多い。
  • 6街角で安く売られているポストカードを見ると、つい買ってしまう。実用性というよりもコレクションとして購入。
  • 7インドやイランで購入したポーチ類。シルクロードで栄えた場所には似たようなデザインや用途のものが多く見受けられる。
  • 8ウッド製のものはマッシャー? 用途がわからないとか。真鍮製のものはキャンドル消し。使い道がわからなくても、かわいいものは買ってしまいがち。
  • 9トルコやイランなどで、おばあちゃんが路上で売っている手編みやレザー製のルームシューズ。現地のホテルや自宅で、防寒アイテムとして使っている。
  • 10ベルリンで購入した、旧東ドイツ時代の紙袋など。雑誌編集者ゆえに、風合いのいい紙類やフォントに萌えてしまう。
  • 11トルコで買った網状のバッグ。普段は玉ねぎやりんご、オレンジなどを入れているとか。現地でも野菜入れとして使われていたという。

センスの良さそうな人に、売っている場所を聞くのが一番

??どんな場所で買うことが多いのですか?

 町の人たちが利用している、生活用品を売っている市場が多いですね。ヨーロッパだと蚤の市とか骨董市に行きます。あとは、気になるアイテムを持っている人に「その素敵な布は、どこで買えるの?」とか聞いちゃいます。数珠繋ぎにしていくと面白いですよ。例えば、あるお店に入ったときにセンスの良さそうな店員さんがいたら、「お気に入りの雑貨店を教えて!」って聞いてみる。そうすると、だいたいハズれがないんです。今度はその雑貨屋さんで、近くの美味しい料理店を聞いたり。旅の恥はかきすてじゃないですけど、勇気を出して1回声をかけてみれば、意外にみんな優しく教えてくれるんです。蚤の市とかは毎週とか毎月で日程が決まっているので、事前に調べて行ったほうがいいと思いますけど。

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機内持ち込みバッグにして日本に持ち帰ったマルシェバッグ。容量が大きいので、さまざまなシーンで使えるのが魅力だとか。

??日用品をお土産にするのはいいですよね。アメリカの巨大スーパーとかも楽しいですし。

 そうなんですよ! 住んでいる人には「普通のスーパーだよ」って言われるんですけど。現地のひとには日常でも、自分にとっては旅。それが面白いなと思っていて。今日持ってきたものはすべて世界の日常。だから使い方もすぐにわかりますし、日本でも普段使いできるんです。それに、それらをお土産として持ち帰ってくると、何だかその旅が続いているようにも思えて、楽しい気持ちになるんです。

??マルシェバッグもかわいいですね。これはやはり南仏で買われたんですか?

 はい、ボルドーの小さな町の旧市街でやっていた市場で買いました。日本では女の子がおしゃれに持っているイメージですけど、向こうはおじさんやおじいちゃんとか男性も普通に使っているのがかわいくて。その使用シーンを思い出としてスナップしたりしました。日本ではピクニックに持って行ったり、急に友だちが部屋に来たときには、散らかっているものをバーッと突っ込んだり(笑)

緯度や標高が近いと同じ植生になるからか、柄や色使いが似ている

??値段交渉はされるんですか?

 アジアではしますね。「3個買うから、もう少し安くして!」程度ですけどね。ヨーロッパではあまりしないかな。

??雑貨や日用品のデザインは、その土地の風景や建築とリンクしているものですか?

 リンクしていますね。伝統的なデザインの多くは、どの国でも自然からインスパイアされているので。緯度や標高が近いと同じ植生になるからか、柄や色使いが似ていたり。研究者ではないので、あくまでも感覚的なんですけど。あと、中国やトルコ、イランなどシルクロード上の土地は昔から交流があったため、同じ柄が存在しますよ。

??そういう見え方は面白いですね。次、プライベートではどこに行きたいですか?

 本当は中央アジアやイスラム圏に行きたいんですけど、いま治安が悪いので。アフガニスタンは本来、かわいい雑貨が多いそうですよ。その他だとポルトガルですかね。まだ行ったことがないのと、ごはんが美味しいと聞いているので。ごはんが美味しいところはまず行きたくなります。

??では、どこかに旅に行かれたら、またお土産を見せてくださいね。

 はい。でも、仕事でこんなに買ってると思われたら、みんなに「いい仕事してるな?」って誤解されそう。ちょっとマズイですね(笑)。

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林 紗代香 | Sayoka Hayashi

編集者。1980年岐阜県生まれ。『NEUTRAL』に創刊時より参加。その後いくつかの雑誌編集部を経て、『TRANSIT』に参加。発刊34号より編集長を務める。最新号『南インド・スリランカ スパイス香る楽園へ』が発売中。
www.transit.ne.jp

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