「どんな靴を履くかで人生は変わる?」スペシャルな靴を履いた女性たちが人生を切り開く、フレンチ・コメディ・ミュージカル映画『ジュリーと恋と靴工場』。その公開を記念したスペシャルインタビューでは、靴をこよなく愛するスタイリストの木津明子さんに、シューズにまつわるお話を伺いました。
『ジュリーと恋と靴工場』
25歳・職なし・金なし・彼氏なしのジュリー。そんな彼女が、やっとの思いでテスト採用されたのは、グローバル化の波により閉鎖寸前の老舗高級靴工場だった。そんな現状を打開すべく、ジュリーと女性靴職人たちは自分たちの存在意義を認めさせるため、ある行動を起こしていく…。機を同じくして、工場に出入りするトラック運転手に強く惹かれるジュリー。彼女の恋の行方は? 工場の存続は? 女性たちの活躍をレトロな映像美で魅せる、フレンチ・コメディ・ミュージカルの登場!
9/23(土・祝)、新宿ピカデリーほか、全国公開。
http://julie-kutsu.com/
靴への思い入れが強いのにはワケがある
??映画『ジュリーと恋と靴工場』の第一印象はいかがでしたか?
木津 主人公の女の子が可愛かったです。あの彼氏も結構タイプですね(笑)。
??主人公は、不況で定職に就けず、恋人にも振られてしまった25歳の女性。そんな彼女が就職へのチャンスを掴んだ先が、高級靴ブランドの工場でした。映画の中でも描かれていますが、靴というのは女性にとって特別な存在だと思うんです。
木津 そうですね。美しい靴を見るとつい心が躍りますし、洋服とはまた違った存在。どちらかといえば時計選びに近いかもしれない。
??フランスでは「どんな靴を履くかで人生が変わる」という考え方があるそうです。また、ヨーロッパには「良い靴を履くと、良いところへ連れて行ってくれる」という諺もあるとか。
木津 靴で人生は変わりますよ。というのも、実は私、小学生の頃から極度の外反母趾でヒールが一切履けないんです。でも、美しいフォルムの靴が大好きで。
??えっ、そうなんですか?
木津 履けないのに、『クリスチャン ルブタン』や『セルジオ ロッシ』を買ってみたり、これまでにかなりのお金を注ぎ込んできました。造形美に惚れて、つい購入してしまうんです。もちろん、「何か特別な日に履くんじゃないか」「いつか履ける日がくるんじゃないか」という淡い期待もあって。そんな日は来ないとわかって、最近その多くを処分してしまったんですけど…。
??そのぶん、靴への思い入れが誰よりも強いんですね。
木津 それはありますね。かつては思いが強すぎて、ヒールの高い靴ばかりスタイリングで選んでいた時期がありました。女優さんが楽屋に戻ってくると、すぐに靴を脱いでしまうんですよ。「何故だろう?」と思って試しに履いてみるとものすごい急坂で(笑)。これは気をつけないといけないなと思いました。
靴にはその人がなりたい自分が反映されている
??靴への愛を、女優さんやモデルさんに代弁してもらっているのかもしれないですね。スタイリストは天職ともいえる。
木津 救われた部分はあるかもしれない。でも、自分がヒールを履けたらこんなカジュアルな服装をしていなかっただろうし、こんな面白い系キャラで生きていなかったと思う。もしかしたら違う人と結婚していたかも(笑)。一年中、サンダルかスニーカーですからね。本当の自分は、ヒールを履いて颯爽と歩くいいオンナ系だったはず! そう考えると、「靴にはその人がなりたい自分が反映されている」のかもしれない。
??それはあるかもしれないですね。そんな木津さんにとって、勝負靴って何かありますか?
木津 お金のないアシスタント時代に、独立したら絶対に買いたいと思っていた靴があって。そのひとつが、『クリスチャン ルブタン』の黒いショートブーツ。それだけは今でも大切にしていて、何かあったら履こうと思っています。でも、本当に足が折れそうになるんですよ、痛くて10mも歩けない。でも、夢は捨てていません。「いつか履きたい、クリスチャン ルブタン or マノロ ブラニク!」。この映画も「あっ、この靴なら履けるかも」と思いながら観ていました。
??今、気になっている靴はありますか?
木津 シップスでもセレクトしている『バルダン』は、ヒールが低めなのにシルエットが綺麗でバランスがいいですよね。あと、『シップス&リトルブラック』のレースのポインテッドシューズはかわいい!
??ありがとうございます。最後に、この秋冬のトレンドを教えてください。
木津 メゾン系ブランドを中心に、ユニークなデザインのものが増えていますね。膝まであるタイツのような靴とか、膝丈のフラットなドクター マーチンみたいなデザインとか。靴シーンは、なかなか面白いことになっていますよ!
木津明子 | Akiko Kizu
2006年に独立後、otona MUSE',' VOGUEやananなどのファッション雑誌や広告を中心に活躍中。
https://akikokizu.tumblr.com/