SHIPS MAG読者のみなさん、こんにちは。
『スペクテイター』編集部の青野です。
前回に引き続き、発酵にまつわる話をしたいと思います。
いくつものナゾと魅力に満ちあふれ、わたしたちの暮らしに彩りを与えてくれる発酵の世界。
空気中を漂い、食べ物に付着した微生物が、米を酒へ、大豆を味噌へと変化させる。
それが「発酵」と呼ばれる現象の正体であることは前回お話ししましたが、本来その食べものに備わっていない栄養成分や旨味など、人間にとって有益な物質がいつのまにかつくられていて、しかも、それらが全て空気中の目に見えない微生物の働きによるものだなんて、なんだか不思議だと思いませんか?
そんな発酵にまつわるナゾと周辺文化に焦点を当てたのが、スペクテイター最新号「発酵のひみつ」特集号です。
発酵に魅せられ、発酵食品づくりを本業としている人たちの菌にまつわる話や海外の発酵文化にまつわるレポート、発酵食品のレシピや発酵の本のレビューなどの記事を詰め込んで、発酵の初心者もベテランも楽しめる内容に仕上がりました。発売直後から大きな反響を呼び、発酵に興味をもっている人が、こんなに大勢いたなんて! と驚いています。
さて、今回は本誌掲載の記事「やってみよう! 発酵クックブック」から、発酵食品づくりが初めてでも簡単にできる「ヨーグルトのつくりかた」を転載します。
これまで発酵とは縁がなかった筆者も、牛乳がヨーグルトへと変化する様を目の当たりにして発酵の世界に俄然興味がわきました。
本誌では他にもいくつかの発酵食品のつくりかたを紹介していますので、ぜひチャレンジしてみてください。
そして、みなさんも微生物との対話を通じて、発酵の世界の奥深さに気づいてもらえたら嬉しいです。
ヨーグルトのつくりかた
牛乳とヨーグルトをまぜるだけ
はじめての人も簡単につくれる発酵食品
まずは、ここから始めてみよう!
ガラスの広口ビンにヨーグルトを大さじ3杯ぶん入れる
牛乳を火にかけて80℃まで加熱したら火からおろして冷ます(40℃)
冷めた牛乳をビンに注いでフタを閉め、よくふって牛乳とヨーグルトをまぜる
室温(20℃)に12時間から24時間ほどおいて発酵させる。直射日光は避ける
牛乳が固まったらできあがり。
冷蔵庫に入れておけば約2週間保存できる
アドバイス
- *スターターのヨーグルトは市販のものでOK。粉末の種菌でもつくれるよ
- *砂糖や増量剤などの添加物が入っていないプレーンタイプを選ぼう
- *ヨーグルトや牛乳は新鮮なものを選ぼう(日にちがたつと乳酸菌は乳酸を食べつくして死んでしまう)
- *できあがったヨーグルトを次のスターターとして使えば、つくりつづけることができるよ!
イラストレーション:makomo
(スペクテイター35号より転載)
スペクテイター35号
特集:「発酵のひみつ」
■The History of Bread & Beer
■発酵デザイナー小倉ヒラクの案内する発酵世界のあるきかた
■田舎のパン屋と経済 〈タルマーリー〉 渡邉格 & 渡邉麻里子
■海賊のパン屋さん 〈Pirate Utopia〉川邉雄 & TARA
■自然酒と発酵ムーブメント 〈寺田本家〉寺田優 & 神澤則生(トージバ事務局長)
■世界一ちいさなビール工場〈ヨロッコビール〉ビール職人・吉瀬明生
■人類皆菌類! 〈パラダイス・アレイ〉パン職人・勝見淳平
■漫画ドブロク物語
■ニューヨークの発酵食ムーブメント
■バンクーバーの発酵食ムーブメント
■やってみよう! 発酵クックブック
■もっと発酵を楽しむための本
発売: 2016年1月8日
定価952円(税別)・B5版・192ページ
発行=有限会社エディトリアル・デパートメント
http://www.spectatorweb.com/