スーツは男の勝負服。多くのセオリーを理解した上で、少しだけ自分なりのアレンジやトレンド感を加えることで、そのロマンは深まっていく。ただ、スーツを格好良く着るには、とても重要なポイントがある。それが髪型だ。昨今はツーブロック人気が再燃しているが、そもそもスーツが似合うクラシックな髪型とはどんなものなのだろうか? そんな素朴な疑問の答えを探るべくSHIPS銀座店スタッフの坂田と向かった先は、帝国ホテルアーケードにある1945年創業の「バーバー・オイカワ」だ。今回は日本が誇るそんな老舗バーバーのご協力のもと、スーツスタイルに似合う髪型を検証してみた。7年間オールバックを貫いてきた坂田の変化にもご注目を!
坂田は、うっすらとウィンドウペーン柄が浮かび上がる細身のスーツに身を包み「バーバー・オイカワ」に現れた。長身で痩せ型という体型を生かしたスーツのチョイスは、さすがはドレス担当。自分を熟知したスマートな着こなしを実践している。とはいえ、髪型は水性ポマードをべったりと塗り込んだオールバック。似合ってはいるが、今の印象はクラシックというより“夜のニオイ”がどうしても否めない。これから、ジャパニーズモダンの髪型にカットして、イメージチェンジを図る!
今回は、「バーバー・オイカワ」にスーツが似合うクラシックな髪型をお任せでオーダー。
トレンドに左右されない清潔感のあるスタイルに仕上げていただく。
まずは首回りに水や切った髪が入らないように何重にもタオルやビニールを巻いていく。昔ながらのバーバーは、ほとんどの工程を椅子に座って行うためカットクロスをかける際の作業も厳重だ。
自然な分け目をチェック。輪郭や髪質、髪の流れなどをしっかりと見極めて似合う髪型に仕上げていく。
あとはひたすらハサミとクシのみを使って、自然な見え方と美しいボリュームバランスを作っていく。これぞまさに熟練の技。
サイドや襟足のボリュームバランスは、非常に神経を使う部分だ。地肌からあくまで自然に黒髪の密度が濃くなるように仕上げる。「綺麗な色彩にならなければならない」とのこと。
襟足が大分美しく仕上がってきたが、まだまだここから細かくハサミを入れる。安易にバリカンは使わず、綺麗な見え方をハサミにこだわって作っていくというのは、まさに職人気質。これこそが昔ながらのバーバーの流儀なのだ。
ヒゲもハサミで整える。もちろんオプションとしてシェービング(?3,500?)もお願いできる。
かなり美しいグラデーションが完成。ハサミのみでこれだけ綺麗に見せるのは、手間暇と高い技術が必要になる。とはいえ、約20分程度でカットは終了。
カットが終了したら、ハサミで処理しきれない部分をカミソリで綺麗に仕上げる。見ているだけで気持ちがよさそうだ。
そのあと着席したままシャンプーをし、ドライヤーでブロー。最後にワックスを軽くつけて仕上がったスタイルがこちら。隙のない刈り上げをハサミとクシだけで作り上げた清潔感溢れるスタイルだ。ハサミのテクニックで自然な黒髪の濃淡をつけているため、ワックスを少しつければ美しい光沢が生まれる。巷で流行しているトップとサイドで極端な長さの違いを出したスタイルとは一線を画する上品さが漂う。
違いは一目瞭然! これまでのオールバックよりも清潔感は格段アップして品格も感じる。ポイントはやはり綺麗なグラデーションを描く刈り上げラインだ。昨今のジェントルマンスタイルと呼ばれる髪型は、サイドを極端に刈り上げてトップを長めに残すものが主流だが、昔ながらのジェントルマンスタイルは、自然なグラデーションを描く刈り上げ。それに合わせて着用した大きなピークドラペルに特徴のあるダブルのスーツもしっくりとマッチしている。結論としては、男の究極のベーシックスタイルであるスーツは、やはりベーシックな昔ながらの髪型こそ相性がいいということだ。クラス感を出すにはスーツそのものだけではなく、髪型にも気を使うべき。歴史あるバーバーには、そんな髪型を提案できる技術力があるということも再確認できた。
日本最古のアーケード街である“帝国ホテルアーケード”の中にある昔ながらのバーバー。創業は1945年。現在の代表である及川氏は、祖父の代から数えて3代目となる。「その人に似合う髪型」をモットーに、ハサミのテクニックにこだわった変わらないスタンスで紳士のあるべきスタイルを提案し続けている。俳優の森繁久彌氏や渥美二郎氏、作家の三島由紀夫氏も通ったという由緒あるお店だ。※カット(シャンプーなし)?4,500(税抜)?
バーバー・オイカワ BARBER OIKAWA
東京都千代田区内幸町1?1?1
帝国ホテルアーケード内(本館地下一階)
営9:00?19:00、9:00?18:00(日・祝)
?03-3501-0709
http://www.imperial-arcade.co.jp/sp/shopguide/detail/?id=6