スーツの着こなしや成り立ち、細かなテクニックなどについてレクチャーする恒例企画。今回のテーマは、袖口のボタン、多様な裾のシルット、そしてジャケットを着る上で大切なゴージライン、さらにポケットの形状である。各々どんな意味を持ち、今はどんなスタイルが好ましいのか。ディテールの存在意義を再認識しながら、これからの装いにヒントを導き出しましょう!
袖のボタンは、実は各々がくっついて並んでいるのが一般的だと思いきや、実は重なった仕様(キッスボタン)も広く浸透しているのです。どちらが正しい、間違いはありませんが、国や地域、スタイルによって変わってきます。
今現在は袖は4つボタンが主流とされていますが、そもそも腕の短いアジア人は3つボタンの方がバランスがよいわけです。そんな理由もあって、4つボタンを重ねることでコンパクトに見せ、バランスをよくしたというのが重ねボタンが広まった一つの説。他にも重なったボタンを綺麗に見せるにはテーラーの高い技術が必要なため、それをアピールするために4つボタンが広まったという説もあります。諸説挙げればキリがありませんが、SHIPSでは、重ねボタンで袖とボタンのバランスを綺麗に見せるスタイルを推奨しています。
今現在は袖は4つボタンが主流とされていますが、そもそも腕の短いアジア人は3つボタンの方がバランスがよいわけです。そんな理由もあって、4つボタンを重ねることでコンパクトに見せ、バランスをよくしたというのが重ねボタンが広まった一つの説。他にも重なったボタンを綺麗に見せるにはテーラーの高い技術が必要なため、それをアピールするために4つボタンが広まったという説もあります。諸説挙げればキリがありませんが、SHIPSでは、重ねボタンで袖とボタンのバランスを綺麗に見せるスタイルを推奨しています。
無難な四つボタン。腕の長い人はベーシックなこちらでも綺麗に見せることができます。
こちらが重ねボタン。綺麗に重なってボタンが並んだサマは美しく、モダンなアクセントにもなります。
ジャケットの裾のカットはレギュラーカット、カッタウェイ、ラウンドカット、スクエアカットなどがあります。実は前身頃のフロントの裾が離れていればいるほどカジュアルめだと認識されます。今回は、なかでも一般的なレギュラーカットとラウンドカットを見比べてその印象を確認してみてください。
こちらが一般的なスーツの裾、すなわちレギュラーカットです。裾は程よく丸みを帯びていますが砕けた印象はありません。
丸みを帯びたラウンドカット。左右の裾が離れているのがわかります。そもそもはティータイムの際、燕尾服が堅苦しいという理由から1820年代頃から生まれたとされます。ちなみにラウンドカットの場合、体に沿うように綺麗なラインを作るのは難しく、高い技術がいります。
ゴージラインとは、襟の切れ目の部分、即ち上襟であるカラーと下襟であるラペルが接する部分を差します。それが高い位置にあることが多い昨今のシャープなスーツは、身長も高く見せ、スマートな印象を与えます。逆にゆったりめのスーツはゴージラインの位置が少し低い位置にあり、落ち着いた印象になります。そもそもスーツの襟は軍服の立ち襟から進化したものだと言われていて、第一ボタンを外して外側に折り返したときの立ち襟部分が上襟に、折り返しの部分がラペルに変化したとされます。その境がちょうど喉(ゴージ)の部分にくることからゴージラインと呼ばれるようになったのです。ちなみにフラワーホールは第一ボタンのボタンホールのなごりです。
ゴージラインが高い位置にあるシャープなスーツ。今の主流はこちらです。スマートな印象を与えます。
ゆったりめのスーツはゴージラインも低い位置となり、落ち着いた雰囲気が漂います。クラシックな印象です。
ジャケットのサイドポケットは、フラップポケット、チェンジポケット、パッチポケット、スラントポケット、両玉縁ポケットなど様々あります。そのなかでも一般的なのはフラップポケットと両玉縁ポケットです。フラップがないポケットの方がフォーマル度は高いとされています。
最もフォーマルとされる形状の両玉縁ポケット。ポケットの上下がパイピングによって縁取られています。
こちらがフラップポケット。ホコリや雨などがポケットに入らないようにするために作られたのがフラップです。ゆえに外出するときはフラップを外に出し、 室内にいるときはフラップをなかに入れるというのが一般的なマナーです。
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