たまには旅の話でも TRANSIT_NAONORI KATOH BIRD_SAYOKA HAYASHI たまには旅の話でも TRANSIT_NAONORI KATOH BIRD_SAYOKA HAYASHI

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たまには旅の話でも
TRANSIT_NAONORI KATO BIRD_SAYOKA HAYASHI

SHIPS'S EYE

今回のこちらのコーナーは、BIRD編集部による特別バージョン。「編集部何人いるんですか?」とよく尋ねられるのですが、BIRD編集部、実は2人しかいません。
次号の取材でフィンランドを訪れている編集Nと、東京でお留守番をしている編集長Sによる、東京⇔ヘルシンキの往復書簡をお届けします。

>>> N子さん、お元気ですか?そろそろフィンランドに到着した頃でしょうか。寒いのかな? 体調に気をつけて取材がんばってね。ちなみに、ラトビアのプレスツアーはどうでしたか?ラトビアからダンボール箱でカゴが大量に届いたのですが…あのカゴはいったいなんでしょうか…。 S

>>> モイ!へんしゅーちょー!さきほどヘルシンキに到着しました。なんとマイナス2度ですよ、マイナス2度。初雪が降りました! でも雪景色の街並みがすごくキレイで、これは高いところから見てみたい!とホテルの屋上に行ったときの写真です。あ、かご到着しましたか?よかった? ラトビアで行ったかご職人のお店でショッピング欲が爆発してあまりにも買い込みすぎちゃったんで、段ボールで輸送しました笑。ちゃんとへんしゅーちょー分もあるんでお楽しみに! N

>>> モイ!ね(ググった)。無事に到着したようでなによりです。なんと初雪のタイミングとは!東京も寒くなってきたけど、10月末だしまだ晩秋の気配だもんなぁ。風邪ひかないようにね!ちなみにこの写真、薄明かりだけれど夕方かな?天気悪そうだね、この季節はだいたい曇ってるのかしら。ショッピングもいいけど、取材もよろしくね!とはいえ、女子はやっぱり買い物よねぇ、笑 私も前回フィンランドへ行った時には、Arabiaとかiittalaの食器をここぞとばかりに買ったなぁ。アアルトの家具はさすがに買わなかったけど。あ、椅子とかテーブルなら、私の自宅に送ってもらってもいいのよ!! S

>>> それ、朝の8時なんですよ?! 6時なんて真っ暗です。雨も多いですし、10月下旬のフィンランドは、フィンランド人にとってもっとも憂鬱な季節なんですって。雪が積もるのを待ちわびているんですよね。幼稚園までそりで行く子もいるなんて聞きました。ヘルシンキにはセカンドラインの家具屋さんもいっぱいあって、ヴィンテージの食器とか、アルテックの家具とかもやすーく売ってるんですよね?。困っちゃうな??。あ、大丈夫大丈夫!きちんと取材はしますから!建築の巨匠といわれるアルヴァ・アアルトの自邸もヘルシンキにあるんですよね。ツアーの予約してるんで、行ってきまーす! N

>>> そうか、冬だから日照時間が短いのね。オーロラが見える極北まで行ってしまえば別なんだろうけれど、憂鬱な秋のフィンランドって日本人にはあまりイメージないよね。『かもめ食堂』のほっこりさわやかな夏の印象が強いのかも。ところで今年はトーベ・ヤンソン生誕100年なんだよね。日本では雑誌等で特集が組まれたりもしてるけど、フィンランドでも盛り上がってるんだろうか。 S

>>> もちろん!ヘルシンキ中央駅前にある中央郵便局やスーパー、書店、図書館でも、ムーミン特設コーナーをいっぱい見ましたよ。トーベ・ヤンソン自身が描いたムーミンの世界を見ていると、もう虜になっちゃいます。あのフォルム!あの魅力的なキャラクターたち! トーベ・ヤンソン自身もかっこいい女性で、興味が湧きますね。 『かもめ食堂』は夏の白夜が印象的でしたよね。でも、ほっこりじゃないフィンランドといえば、アキ・カウリスマキの映画でしょう。哀愁ある世界観は私も大好きで、彼が経営しているバーがあるので行ってみました。哀愁よりは、楽しく飲む大人のたまり場って感じでしたけど。 N

>>> トーベは児童文学作家としてよく知られているけど、政治の風刺画を描いていたり、ムーミンだって子供向けのアニメーションではあるけれど哲学的で詩的な一面もあるし、彼女の人生を学んだらムーミンもより多角的に楽しむことができそうだね。むかーしTVで観たっきりだから、小説を読んでみようかな。カウリスマキのバーがあるとは知らなかったなぁ。それで楽しく飲む大人のたまり場狽にたまってたと、笑。あ、でもカウンターに座ってるおじさんの背中、哀愁漂ってる気がするよ。こうして旅先で出会った見知らぬおじさんにも、人生悲喜こもごもドラマがあるんだろうなって思っちゃうね。まーそれはさておき、フィンランドの人びとと自然とデザインの関わりを取材に行ってるのよね!? そ、そろそろ帰国のはずだけど、仕事は進んでいるのかしら…(不安) S

>>> ドキッ も、もちろんですよ! 買物したり飲んだりばかりしてるわけじゃないですよ!フィンランドの名作デザインには「自然」をモチーフにした名作が多いですよね。それらがいかにフィンランド人の暮らしを彩ってきたのか、よく分かりました。お邪魔するお宅の家具や食器、テキスタイルなどはフィンランドデザインのものがとても多く、おばあさんのものを受け継いだ、なんて台詞もたくさん聞きましたし。森と湖の国といわれるフィンランドですけど、実際ヘルシンキでもトラムにのって海や湖、森にすぐアクセスできます。車で1時間飛ばせばもっと大きな自然が出迎えてくれる。そんなところで育った人びとには、インスピレーションの土台となる精神性にも、深いつながりがあるようです…。おっと、建築家がつくったと話題のカルチャーサウナがオープンする時間だ! では、へんしゅーちょー、続きはまた東京で。ひとサウナ浴びてきますね!モイモイ! N

…というわけで、BIRDの女編集者2人による制作の裏側、取材秘話をお届けしました。
次号BIRDは、もちろん、フィンランドを特集します。
「トーベのことが知りたい!」「カウリスマキって誰?」 「北欧の雑貨が好き」「フィンランドでおすすめの場所はどこ?」などなど、気になる方はぜひ書店で手にとってみてくださいね。それでは、モイモイ!

加藤 直徳

1975年東京生まれ。編集者。出版社で『NEUTRAL』を立ち上げ、euphoria FACTORYに所属。現在トラベルカルチャー誌『TRANSIT』編集長を務めている。最新26号「美しきオランダ・ベルギー」は10月3日発売!
www.transit.ne.jp

林 紗代香

1980年岐阜県生まれ。編集者。『NEUTRAL』に創刊時より参加。その後いくつかの雑誌編集部を経て、『TRANSIT』に参加。2013年に『BIRD』を創刊し、編集長を務める。発刊第8号「自然と遊ぶ、フィンランドの暮らし」特集が12月19日発売。
www.transit.ne.jp/bird