音SHIPS
Seihoさんが語るNavyなサウンドとファッション
NAVYを身にまとった、SHIPSスタッフの自撮りムービーが次々と流れる「I NAVY U」のキャンペーン映像、もうご覧になりましたか? そこで流れている楽曲を提供してくれたのが、関西を拠点にする話題のトラックメーカー Seihoさん。今回は、その楽曲制作秘話だけでなく、Seihoさん独自のファッション理論に至るまで面白い話が続々。それでは早速、インタビュースタート!
ーーDJ活動やトラック制作だけでなく、レーベル運営やVJ、ユニットなど多岐に渡って活躍されていますよね。
Seiho 基本的には自分で作る曲が中心にあって。その映像をどうする、アートワークはどうするみたいな感じで、Seiho名義ではセルフプロデュースが中心ですね。その他にSugar’s Campaignというユニットをやって、相方のAvec Avecともう少しJ-POPっぽいバンドをやっています。そのふたつが最近の2本柱ですね。
ーーということは、常に何かしら楽曲制作をしている感じですか。
Seiho そうですね。ほぼ毎日。
ーー今回は、SHIPSがおこなっている「I NAVY U」のキャンペーン曲を制作して頂きましたが、まずは感想を聞かせてください。
Seiho 前回のキャンペーンを友だちのtofuくん(tofubeats)がやっていたので、イメージは掴みやすかったですね。気分的にはその春夏版という感じで、ちゃんと次にバトンを渡せるようなものを目指しました。tofuくんの曲はポップでかわいらしい感じだったので、僕はもうちょっと大人で色気のある感じを出したいなと。
ーーNAVYは意識しましたか。
Seiho う?ん、まぁそうですね。僕が音楽を作るときはいつも映像が先にあって、それを音に変換していく作業なんです。景色というわけでもなくて、素材感とライティングと空間の広さだけがアタマに浮かんで。それを音にしていくみたいな作業なんです。
ーーへぇ?、今回はどんな映像が浮かんだのですか?
Seiho 10畳くらいの暗い部屋に、NAVYの革製品のようなソファのようなものがあって、そこにパープルのスポットライトがあたっている感じですね。
ーー面白いですね。その感覚っていうのは昔からですか。
Seiho 小さい頃から、聴いた曲を映像みたいなものに変換していて。それはみんながやっていることだと思ってたんですよ。音楽を聴いて、これはちょっと和紙っぽい手触りの紫の感じだなとか。そういう感覚のなかで自分が好きなものを探っていくと、ちょっと冷たい金属っぽいものや、プラスチックっぽいものが好きだったりして。いまもその感覚を音に変換している感じなんです。
ーーなるほど。いまでも曲を聴くと、質感とか光りが浮かび上がるんですか。
Seiho そうですね。でも、その質感とか空間がわかる音楽ってものすごく少ないんですよ。どちらかというと、白いキャンパスに絵の具で描いているアーティストのほうが多くて。そういう曲は影を描いている感じがして、僕はそれよりも削ぎ落とす作業のほうが重要なんです。
ーー絵の具で絵を描いているような曲が有機的だとすると、確かにSeihoさんの曲は無機質でシャープな感じですよね。
Seiho 大学生くらいまではそれがコンプレックスだったんですよね。他の人はもっと物語性があって状況描写があって、風景画みたいに描いていて。僕はファッションスナップみたいに対象物があって、ただそれを追っているだけのような気がして。
ーーそう言われると、壮大な展開の曲は少ないですよね。いまも物語性のある曲を作りたい欲求はあるんですか?
Seiho 最近はあまり意識してないですね。
ー一一方で、ファッション的にはいつもカラフルなものを着られていますが、SeihoさんにとってNAVYはどんな色ですか?
Seiho う?ん、僕は柄物しか着ないんで。
ーー楽曲を聴いてイメージするのは、単色のミニマムなファッションですよね。柄物しか着ない人だとは思えない。
Seiho そうなんですよ。でも、なんか無地って損している感じがして。
ーーえっ!?
Seiho だって、いっぱい色が入っているほうが得っしょ(笑)
ーー(笑)そういう意味ですね。好きな柄っていうのは何かあるんですか。
Seiho こだわりはありますよ。よく、柄物だからって友だちが買ってきてくれたりするんですけど、僕の好きな感じと全然違うんですよ。そういうことは結構ありますよね。
ーー派手なものなら喜ぶだろう、と思うんでしょうね。
Seiho そうなんですよ、違うんですよそれとは。しかも、年ごとに自分のなかでのトレンドもあって。
ーーいまどんなトレンドが来てるんですか?
Seiho テニスルックですね。というよりも古着のフィラですね。ヘアバンドにフィラのテニスショーツ。昔からそのとき着たいものを着るって感じですね。
ーーどこで買うことが多いですか。
Seiho もともとは大阪の商店街ですね。安いおばちゃんの服を着たり、あとは古着屋。でも、おばちゃんの服屋では買わないんですよ。オーバーサイズでダボっとしちゃうんで、どちらかというと社交ダンス用の衣装派ですね。柄物と肩パットが好物です。
ーーいまも商店街を歩けばついつい見ちゃう感じですか。
Seiho ですね、だいぶ買いますね。
ーー地方とかでも。
Seiho 狸小路商店街ですね。北海道の一番大きい商店街なんですけど、あそこはヤバイ。韓国からの流れも入ってきているので、CanCamの表紙がそのままプリントされたTシャツとか、かなりアウトローなものがあるんですよ。僕のなかでは大阪を抜きましたね。
ーーそこをばっちり共感し合えるファッション仲間はいるんですか。
Seiho ファッション仲間だけは、ホンマにいないんですよ。
ーーちなみに今日のジャケットは。
Seiho 原宿の古着屋で買いました。黒の柄物は買わないので、一番シックなのがNAVYの柄物なんです。ファッション系のおしゃれな取材だって聞いていたんで、一番シックなアイテムで来ました。
ーー最近、アメリカツアーに行かれていたようですね。
Seiho シアトル、ロス、サンディエゴ。そこから東海岸に渡ってボルチモア、NY、オハイオ、コネチカットと回ってきました。自信がつきましたし、行って良かったですね。
ーーボルチモアどうでした?
Seiho かなり危ない場所なんですけど、彼らは美意識がハンパないですね。僕らが出たパーティが特別だったのかもしれないですけど。コラってアーティストは、ライブ中にずっと桃を食べていて、そのべとべとな手でずっと髪をかきあげてるんですよ。最後にティッシュをみんなに撒いて終わりとか、美意識がすごいんです。他にも、グリッチサウンドでトラップやジュークを作っているアーティストがいて、そいつはプレイ中もず?っとユリの花が入った花瓶を持っているんです。ほんと、美意識がハンパない。エンタメ感がフツーとは違っていて、ボルチモアは一番共感しましたね。僕もああいう美意識の高いパフォーマンスをしたいですね。
ーーでは最後に、今後の予定を教えてください。
Seiho 夏が終わったらライブをお休みして制作に入ります。年明けには新しい作品を出したいなって思っています。
ーー新しいアルバム期待しています。今日はありがとうございました。
Seiho (Day Tripeer Records',' +MUS',' Sugar’s Campaign)
1987年生。ビートメイカー、DJ、VJ と音楽や映像など媒体の垣根を越え表現をし続けるマルチアーティスト。既に各地で話題となっている注目の新レーベルDay Tripper Recordsを立ち上げ、1st album「MERCURY」を発表。最先端電子音楽を発信するネットレーベル「+MUS」からもEPを発表するなど、活動は現場・ネットに限らない。天才的な楽曲センスで、Hip Hopからポスト・ダブステップ、チル、音響系等あらゆるビートを駆使しながら畳み掛ける彼のLIVEは必見。SonarSound Tokyo 2012にも出演。MTV2013の注目若手プロデューサー7人に選ばれるなど ”今”の音を刻む数少ないアーティストの1人。2013年6月にリリースした2nd album「ABSTRAKTSEX」(DTR-010)は未だロングセールスを記録している。