Spectators Evergreen Library vol.8 緑色世代の読書案内
SHIPS MAG読者のみなさん、こんにちは。
スペクテイター編集部の青野です。
8月末に発売された『スペクテイター』最新号を、もう手にとっていただけましたか?
31号目にあたる最新号は「ZEN(禅)」に焦点をあてた特集です。
表紙に英語の「ZEN」と漢字の「禅」が併記されているのには理由があります。
そもそも禅はインドで生まれ、中国で育まれ、7世紀頃に日本に渡って開花した仏教思想です。
俳句や茶道や書道など日本文化にも大きな影響を与えていることは、みなさんご存知の通りですが、1893年にシカゴで開催された万博をきっかけにZENはアメリカに紹介され、その後アメリカへ渡った鈴木大拙老師らの尽力によって、1950年代以降アメリカの作家や芸術家たちの関心を集め、やがて数々のアートや文芸作品が生み出されるようになりました。
それらの作品や僕たちとも馴染みの深いサブカルチャーのなかにZENの影響を見いだし、それらを通じて禅とは何かを読み解いてみたいと考えました。
禅というと、ちょっととっつきにくい印象があるけれど、アメリカを経由して逆輸入されたZENを紐解いてみれば、その本質に触れられるのではないか。そんな考えから、ふたつの言葉が表紙に記されているわけです。
では、実際にアメリカでZENを学び、自らの作品や活動に反映させたカルチャーヒーローには、どんな人物がいたのでしょう?
Youtubeの動画を通じて、その一部を紹介したいと思います。
Alan Watts :? Discipline Of Zen - Pt 1 of 2
50年代のアメリカで起きたZENブームの立役者、イギリス生まれの神学者にしてエンターテイナーのアラン・ワッツ。『禅の精神』をはじめ数多くの著書やラジオ番組などで禅について語りアメリカの若者を熱狂させました。
Shunryu Suzuki Roshi
アメリカにZENを広めた「ふたりの鈴木」のうちの一人、鈴木俊隆老師は1959年にアメリカへ渡りカリフォルニアに禅堂や禅センターを設立、カウンターカルチャー時代の若者たちに禅の神髄を説き、その理解と普及につとめました。
Steve Jobs - Inspirational Speech “If today were the last day of my life”
鈴木老師の法話集『禅マインド ビギナーズ・マインド』の熱心な読者だったというスティーブ・ジョブズ氏もまたZENに傾倒した若者の一人でした。いっさいの無駄を排除したシンプルなデザインのアップル製品と禅の関係は、いかに?
Jack Kerouac reads American Haikus
ビートジェネレーションを代表するジャック・ケルアックもZENに大いに魅せられ、代表作『路上』を発表した翌年に、禅僧として京都で修行を積んだビート詩人ゲーリー・スナイダーをモデルにした『ザ・ダルマ・バムズ』という小説を発表しています。
I AM BRUCE LEE - AMAZING BE LIKE WATER Bruce Lee video
代表作『燃えよドラゴン』をはじめ数々の名作カンフー映画を残したサンフランシスコ生まれの武術家ブルース・リーもZENの影響を受けています。「水のようになれ」や「考えるな、感じろ」という名セリフもZENとの出会いなくしては生まれなかった?
いかがでしたか?
ヒーローたちの肉声を通じてZENに興味を持った方は、ぜひ本誌を手にとってみてください。これまで難解だと思っていたZENに対する印象が少し変わるかもしれません。
【オマケ】
渋谷駅前のオーロラビジョンで絶賛放映中の本誌のCMをご覧ください。
スペクテイター31号特集
「禅とサブカルチャー」
1年におよそ3冊のペースで刊行を続けるカルチャー&ライフスタイルマガジン。新しいジャーナリズムを標榜する現場主義・体験主義にこだわったコンテンツに定評がある。
定価952円(税別)
発行=エディトリアル・デパートメント
http://www.spectatorweb.com/