「憧れの女子部屋」をテーマにした空間デザインコンペでグランプリを受賞!
去る10/26(土)?11/4(月・祝)に開催された「TOKYO DESIGNERS WEEK 2013」。会場内にはさまざなブースが展示され、連日たくさんの来場客が詰めかけた。なかでも話題となったのが、「憧れの女子部屋」をテーマにしたエイブル主催による空間デザインコンペティションの実物大展示。
今回SHIPSは、最終審査に残った清水建設 集合住宅設計部の若手チーム(瀧澤祐介、中山晴貴、長澤怜)による展示でコラボレートする機会に恵まれた。そして彼らは、この取材後に見事最優秀作品賞を受賞。その道のりと作品に込めた思いをメンバーに伺った。
ーーまずは、どのような経緯で3人がチームを組むことになったのですか?
瀧澤 僕らは同じ部署の同期で、普段から仲が良かったんです。今年はコンペの年齢制限である30歳ということもあり、記念という意味も含めて挑戦してみました。
ーー普段、同期の3人だけでプロジェクトを進めることはないと思うのですが、やってみてどうでしたか?
中山 普段、僕らは集合住宅(マンション)の設計を主にやっていて、そこでは細かな制約がいろいろあるんですね。なので、このコンペはゼロから考えることができたので面白かったです。3人の自由な発想で考えることができました。
ーー「憧れの女子部屋」がテーマのコンペでしたが、どのように進めていったのでしょうか。
長澤 日常の仕事と、こういうコンペというのは内容的に大きな乖離があるんです。でも、コンペで戦うことに関しては学生時代を含めてやってきているので、慣れている部分はありました。まずは3人で案を持ち寄って、そこから擦り合わせをしていった感じです。
瀧澤 通常はそこで意見が合わないのが普通なんですけど、今回はわりと最初からスムーズに行けたのが良かったですね。
ーーどんなアイディアが一緒だったのですか?
中山 アイディアの部分では違いましたね。
瀧澤 共通していたのは、まず審査員に着眼した点です。今回は建築の専門家だけでなく、脳科学者の茂木健一郎さんやアーティストの清川あさみさんなど、さまざまなジャンルの方がいらっしゃったので。ある意味、どんな方でも価値を共有してもらえるような切り口を大事にしたんです。なので、自分の案を通すというより、そういった切り口で考えるという部分でまとまりました。
ーーこの部屋のコンセプトを教えてください。
中山 ワンルームは狭いこともあって、設計するのがすごく難しいんです。そのなかに住宅で必要な機能を落とし込むと、ほぼパンパンになってしまう。そこをどうするのかというのが問題で。まずは、「女の子にとっての憧れ」というテーマだったので、オシャレが好きな女性を対象にしました。そこで出たアイディアが、鏡のように反射する素材を使うということだったんです。そこから発展して、服を見るためだけでなく、鏡が部屋全体にあったら外の風景も映し込めるよねって話になりまして。外の風景を映し込めるってことはどういうことだろうと考えながら、若い女性にどんな部屋に住みたいかヒヤリングをしていきました。すると、普通のワンルームだと雑然とした部屋になりがちなので、生活感のない部屋に住みたいという声が多かったんです。そこで、生活感がない部屋と、オシャレを楽しめる部屋のふたつを同時に実現できないかということで詰めていきました。
瀧澤 オシャレを全面に出した案が多いだろうと思っていたので、そこにもうひとつ何かアイディアを被せたかったんですよね。
長澤 でも、このふたつに着目するまでが結構大変で。鏡でおしゃれを楽しむまではいいのですが、一方で見たくないもののがどんどん映り込んでしまう可能性もあって。そのへんが矛盾してしまうので、とにかくすべてを収納することで非日常の空間を作れたらと考えました。
ーーつまり、収納スペースが十分にあるということですね。
長澤 そうですね。そこは気を付けましたね。
ーーオシャレが好きな女性と、鏡を使うアイディアはどう結びついたのですか?
瀧澤 うちの嫁とかを見ていると、出かける前は1時間くらい鏡の前でお化粧や髪の毛のセットをしているんですよ。女性って鏡を見ている時間が男性よりもはるかに長いよなぁ?と感じていたのが発想の原点ですね。
ーー鏡や反射というのが大きなポイントになっていますが、技術的にはどんな工夫があるのですか?
中山 鏡のような素材を使うにしても、合わせ鏡みたいにくっきり映り込むと怖いじゃないですか。なので、ぼやっと映り込む場所や、くっきりと映り込む場所など、反射率を変えることで変化をつけていきました。普段は風景を映し出すことでリラックスでき、出かける際はクローゼットのなかにあるカラフルな服が映り込むので服選びが楽しくなる。そんな環境を反射率の違いで作り出したんです。
ーーでは、素材選びも大事になってきますよね。
中山 そこはこだわりましたね。最初のイメージは、表面の仕上げが違うステンレスを考えていたんです。でも、それだとどこか冷たい感じになってしまう。もっと柔らかく包まれるような表現ができないかと試行錯誤して最終的にはドット加工されたアクリルを使いました。これは建築的にも面白い素材といえます。
長澤 鏡面シートの上に、両面にドットのエンボス加工を行ったアクリルパネルを貼っているんです。普通の鏡よりも奥行きが出るんですよ。反射率はドットの大きさや穴と穴の間隔で変えていて。ドットの密度が濃いときはボワーンと蜃気楼みたいに見えて、建築の素材なのか自然現象なのかわからない印象になる。
ーーその素材は新しく開発したんですか?
瀧澤 もともとはLEDの看板などで使う素材なんです。それを応用して内装材として使ったのは初めてかもしれませんね。
ーークローゼットの仕様なども評価の対象になるのですか?
中山 具体的な寸法などは評価の対象にならないですね。でも、どこに何を収納するのかは、僕らのプレゼンの柱でもありました。計4つの収納があるのですが、生活の動線を考えてそれぞれ使い方の提案をしています。
ーー展示にあたってシップスと組んでみようと思われたのは、どんな理由があったのですか?
瀧澤 コンペの段階では、外の風景が映り込む点と、クローゼット内にあるカラフルな衣類が映り込むという点の対比を押し出したんですね。なので、当初はカラフルでポップなイメージのKhajuさんにお声がけをしたんです。その後、シップスさんとお話させて頂いたところ、内装のイメージに対してはもう少し大人の女性の雰囲気を加えたほうが相性もいいのでは? という話になったんです。
中山 実際にいろいろな洋服を見せてもらって、我々もそうだなと納得しました。
瀧澤 僕らは、収納というとただ仕舞うイメージだったんです。でも、シップスさんと打ち合わせするなかで、見せながら収納する方法があることを知って。ショップと住宅の間のような収納は僕らのコンセプトにも合っていたので参考になりました。
ーーこの部屋に住んでみたいと思う女性は多いと思うんですよね。自然志向の女性が増えていて、都会でオシャレに生きる自分と、都会が嫌いな自分という2面性をみんな抱えていると思うんです。
瀧澤 そうですね。
ーー3次審査はテレビの番組内でおこなわれたんですよね。そこではどんなことを言われましたか?
中山 最初に、審査員のひとりである清川あさみさんが「住んでみたい」って言ってくれて。
瀧澤 茂木健一郎さんは、映り込むってことに興味を持ってくれて。緑だけでなく、東京の雑多な風景でも面白いと仰ってくれたんです。最終的にはデジタルサイネージになっても面白いよねなど、話を膨らませてくれました。
中山 戦略と言ったらおかしいですけど、僕らは審査員が建築家しかいないコンペとは違うやり方を意識してやったのですが、少し行き過ぎてしまったのかも知れません(笑)。そのぶん、実現(実物大での展示)の表現方法には特にこだわって、ドット加工の「アクリルと鏡」という構成で建築的な新しさを求めていきました。
ーー今回、ここまでやってみていかがでしたか?
長澤 最終審査まで残れたことで、アイディアだけでなく、それをどう実現するかもう一度考えながら最後まで作れたのは楽しかったですね。
中山 今回はアイディアから実現まですべて気心の知れた仲間と出来たので楽しかったです。そのなかでシップスさんともコラボレーションできて、普段の仕事ではできない体験ができました。
瀧澤 実現にあたって12社程度の協力を得ているんですけど、いい人たちと巡り会うことができて本当に感謝しています。
ーー今日はありがとうございました。
(左上 ・上段から) スカート ?33','600/Coohem ・シャツ ?11','550/Khaju ・ブラウス ?56','700/TOME
シューズ ?39','900/DIEPPA RESTREPO ・コート ?69','300 /THOMAS SIRES ・ネックレス ?54','600/MAVEN
バッグ ?15','750/Khaju ・ブーツ ?31','500/FABIO RUSCONI ・ニット ?13','650/SHIPS
コート ?67','200/TELA ・バッグ ?63','000/OLIVIA CLERGUE ・ストール ?23','100/TRAITS
ジャケット ?44','100/SHIPS ・ワンピース ?29','400/ships little black ・シャツ ?29','400/TELA
フレグランス ?11','550/D.S&DURGA ・シューズ ?28','350/del conero ・ソックス 各?1','680/SHIPS
バッグ ?25','250/CAROL J. ・スヌード ?39','900/KARL DONOGHUE ・ニット ?59','850/YURI PARK
カットソー 各?5','250/[sn]super.natural ・シューズ ?99','750/SARTORE ・ジャケット ?40','950/SHIPS
ニット ?26','250/SHIPS ・ピアス ?6','930/SPARKLING SAGE ・スウェットシャツ ?17','850/A FINE LINE
シューズ ?19','950/SHIPS ・ネックレス ?39','900/DREAM COLLECTIVE ・バッグ ?27','300/CAROL J.
ネックレス ?9','975/SPARKLING SAGE ・シューズ ?48','300/PELLICO ・ブーツ ?47','250/Luca Grossi
パンツ ?15','750/MONROW ・傘 ?1','995/w.p.c ・傘 ?1','995/w.p.c
パフュームオイル ?5','250/MCMC FRAGRANCES パフュームオイル ?5','250/MCMC FRAGRANCES
パフュームオイル ?5','250/MCMC FRAGRANCES ・パフュームオイル ?5','250/MCMC FRAGRANCES
バッグ ?23','100/LAURA DI MAGGIO ・バッグ ?25','200/LAURA DI MAGGIO
シューズ ?19','950/VINILO ・ブレスレット ?25','200/LULUFROST ・コート ?168','000/Owen Barry
イヤーマフ 各?7','980/AMBER ・ニット ?12','600/SHIPS ・バニティケース ?84','000/GLOBE-TROTTER
ベルト ?12','600/MAISON BOINET ・ベルト ?9','975/SHIPS ・スカート ?19','950/SHIPS
バッグ ?42','000/VIA REPUBBLICA ・ハット ?7','980/SORBATTI ・コート ?27','300/Khaju
ニット ?24','150/SHIPS ・ストール ?31','500/FALIERO SARTI ・ストール ?39','900/BALMUIR
ハット 各?8','925/GRILLO ・オイル ?7','350/MCMC FRAGRANCES ・シャツ ?53','550/TOME
ブレスレット ?27','300/LULUFROST ・ニット ?26','250/ROBERTO COLLINA
シューズ ?29','400/RAMON TENZA ・シャツ ?18','900/GITMAN ・コート ?115','500/INVERTERE
ハット ?9','975/SORBATTI ・トップス ?12','600/SHIPS