SAFE & CLEAN vol.11 SAFE & CLEAN vol.11

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SHIPS'S EYE

去る10/12(土)・13(日)におこなわれた、第39回全日本ライフセービング選手権大会。今回は台風の影響により、東日本予選会で一部の競技が不成立となったためボードレース(男女)とビーチリレー(男)が中止となる異例の大会に。しかし、大会当日は夏のような晴天に見舞われた。そんななか、シップスがサポートをしている下田ライフセービングクラブのメンバーも大奮闘。そこで、今大会の総括を含め、選手権大会の意義について下田ライフセービングクラブの副理事長である松原光弘さんと、ボードレースに参加予定だった社会人選手の牧野孝二郎さんにお話を伺った。

松原 残念な結果でしたね。下田ライフセービングクラブは2009年、2010年と総合優勝していて、その後も2位、3位だったんです。今年は種目数が減ってしまったこともありますが、近年では一番低い順位になってしまいました。

ーー皆さん優勝を目指されているとは思うのですが、こういう大会があることの意義はどこにあると思いますか?

牧野 大きな目標があることでチームワークが生まれるんです。あと、体力と技術の向上において、もっとも手っ取り早い手段だと思いますね。

松原 下田のクラブは歴史があるので、OBOGが大会の応援に駆けつけてくれたりみんなで盛り上がれる。僕らからすると懐かしいメンバーに会える日でもあるんです。

ーー基本の話になってしまいますが、ライフセーバーになるには資格が必要なのですか?

松原 ライフセーバーには「ベーシック」という基本の資格があります。それはある程度の泳力があれば取れるもので、それだけでパトロールを任せるのは難しいですね。なので、各浜ごとにパトロールに参加する資格を設けています。

ーー大会に出るためにも何か資格が必要なのですか?

松原 大会に出るには夏の活動日数も考慮されます。なので、社会人は夏休みや有給をつぎ込んで夏のパトロールに参加しています。下田ライフセービングクラブでは、岩手や長野から休みを利用してくるメンバーもいます。冬場は氷が張った湖でサーフスキーの練習をしているみたいですよ。

ーーみんなすごい気合いですね。練習も毎日やっているのですか?

牧野 夏のパトロールは8:00〜17:00なので、その前後で毎日練習をしています。優勝を狙うためでもありますけど、本来の救助でも役立つのでみんな真剣に取り組んでいますね。

松原 僕らの頃は夕方から日没までの練習でしたけど、最近は日の出とともにやっていますからね。毎日なので本当に関心します。

牧野 冬場でもウエットスーツを着て練習しています。夏の約50日のために一年中やっている感じですね。みんなライフセービングに誇りを持っていて、やりがいを感じているんです。また、優勝したり上位に食い込むことで、そのクラブがいる浜は安心なビーチだって皆さんに思ってもらえる。それも原動力になっています。

ーーライフセービングはどこが盛んなんですか?

松原 オーストラリアが発祥なので、オーストラリアやニュージーランドが大会等強いですね。日本の大会も今年で39年目を迎えています。もともと赤十字の救助方法が一般的でしたが、いまはオーストラリア方式がほとんどです。下田はその発祥地でもあるんです。

ーー松原さんは、その黎明期からやられていたんですよね?

松原 そうですね。まだライフセービングという存在自体知られていなかった頃で。友人に誘われて、よくわからないまま始めたんです。もとも水泳や水球をしていたので、面白そうだなっていう軽い気持ちでした。僕が始めた頃から各大学にクラブが出来始めて、徐々に広がっていった感じです。下田でもまだパトロールキャップすらなく、唯一支給されたのが黄色いパトロールユニフォームのTシャツ一枚。ライフセーバーも少なく、オフ無しで毎日パトロール。Tシャツを洗濯できずにほぼ毎日愛用していました(笑)。

ーーここ数年、ライフセーバーを目指す人の増減などありますか?

松原 実は、震災以降ライフセーバーを目指す若い人が増えているんです。下田では平均して毎年30人くらいの新人が入るのですが、震災以後は40〜50人くらい。僕らの時代は楽しそうだからと始める人が多かったですが、その頃とは明らかにモチベーションが違いますね。あと女性も多いです。

ーーやっぱり、元水泳部や元水球部の人が多いのですか?

牧野 水泳部系と、そうでない人は50:50くらいですかね。まったく泳げずに入ってくる人もいますよ。「ベーシック」という基本の資格は400mを9分以内に泳がなくてはいけないのですが、それすらもクリアできなかったり。でも、大学の4年間で6分台になったりみんなすごく向上します。

ーー日本大会と世界大会では、種目やルールは同じですよね?

松原 ルールは同じですね。でも、世界大会はもっと種目が多いです。日本ではその一部をおこなっている状況です。世界大会は2年に1度おこなわれていて、来年はフランス、前回はオーストラリアでした。通訳として参加するなど、下田ライフセービングクラブからも日本代表選手団の国際室メンバーとして、宮部副理事長が同行し、世界大会に協力しています。

ーー世界のなかで日本はどのくらいの位置にいるのですか?

松原 オーストラリア大会では総合10位です。アジアではまだ盛んな国が少ないので、アジアではトップです。

ーーでは、最後に今後の意気込みをお願いします。

牧野 いまの大学1〜3年生は優勝の経験がないので、是非彼らにその気持ちを味あわせてあげたいですね。個人的には体力が続くまで大会に出場できればと思っています。

松原 僕はみんなを陰ながら応援します(笑)

ーー今日はありがとうございました。

下田ライフセービングクラブ/総合6位

個人種目
男子サーフスキーレース 2位(松沢斉) 第7位(山口智史)
男子サーフスキー 5位(塩嶋翼)
男子オーシャンマン 5位(菅沼寛也)
男子2kmビーチラン 6位(須藤凪)
女子ビーチフラッフス 6位(渡嘉敷萌)、第7位(嶺知里)

団体種目
レスキューチューブレスキュー 3位(合津翔太、菅沼寛也、久源太、石井颯)
ビーチリレー 3位(石井颯、池垣知信、岩渕孝海、久源太)
オーシャンマンリレー 8位(高岡洋介、松沢斉、合津翔太、塩島翼)