あのサッカー日本代表応援CM曲を作ったふたりが登場! あのサッカー日本代表応援CM曲を作ったふたりが登場!

あのサッカー日本代表応援CM曲を作ったふたりが登場!

あのサッカー日本代表応援CM曲を作ったふたりが登場!

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サッカー日本代表戦を観ていると流れてくる「Passion」というCM曲。作曲したのはイギリス出身の音楽プロデューサー兼作曲家で、映画からCMまで幅広く手がけるニック ウッドさん。小室哲哉さんのアルバムをプロデュースしたことでも知られている有名人なんです。一方、作詞とヴォーカルを担当したのはブラジル出身のシンガーソングライター、シルヴィオ アナスタシオさん。ニックさんは現在、デュランデュランのヴォカールでもあるサイモン・ル・ボンさんと共に設立した音楽制作会社にて、日本を拠点に活動中。SHIPSではブラジル映画祭の協賛をしているご縁もあって、今回特別にインタビューをおこなうことができました。


――おふたりは日本に住まわれてどれくらいになるのですか

ニック もう25年くらいかな。最初は、当時付き合っていたモデルの彼女が日本で1ヶ月間仕事するって言うんでくっついて来ただけだったんだ。その滞在中にレコード会社の知り合いに連絡したら「暇ならば曲を書いたらどう?」って言われてね。そのときに吉川晃司の曲を作ったんだよ。それが日本で仕事をするようになったきっかけだね。

――それは不思議なエピソードですね。シルヴィオさんも日本は長いですか?

シルヴィオ 僕は1994年に初めて来たんだ。以前、ブラジルに日本のプロデューサーが来てオーディションをしたことがあって。そのつながりもあって、音楽の仕事を求めて日本に来たんだ。宮沢和史や渡辺貞夫など素晴らしいアーティストも多いし、日本はすごく好きだよ。ニックは僕がレストランで唄っていたら声をかけてくれて。以来、僕のキャリアをずっとサポートしてくれている。彼とはすごくフィーリングが合うんだよね。

ニック 音楽をやっている連中は変わっているやつが多いからね。なかなかうまくコミュニケーションが取れないことも多いんだ。でも、シルヴィオとはいいケミストリーが生まれているよ。また、日本が僕らを受け入れてくれたことにも感謝している。


――小室哲哉さんアルバム「DEBF3」のプロデュースはどのようにして生まれたのですか?

ニック 昔から知り合いなんだよ。彼は1990年代前半にデュランデュランが東京ドーム公演をしたときのゲストだったんだ。デュランデュランのバックミュージシャンを、TK(小室哲哉)がツアーメンバーとして起用していた時期もあるしね。最近では、ジュリアン・レノンとかと一緒に作った僕の2012年の作品、東日本大震災のチャリティ曲『HOPE』を手伝ってもらったりもしたよ。今回の件は、昨年11月に彼から突然連絡がきてオファーされたんだ。

――小室哲哉さんは、自身もプロデューサーとして活躍されていますよね。そういう人をプロデュースする際にやりづらさみたいのはなかったですか

ニック まったく問題なかったよ。TKには新しいことをしたいという思いがあったし、エゴのぶつかり合いはなかったね。もともと僕と彼は違うタイプだし、そのことは彼も十分理解しているから大丈夫。今回はインターナショナルな作品にしたかったこともあって、流行りのEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)を取り入れたんだ。とはいっても、TKのサウンドはEDMなんて言葉が生まれる前からEDMだけどね(笑)。


――ニックさんとシルヴィオさんといえば、サッカー日本代表のCM応援歌『Passion』ですよね。あの曲は最初から応援歌として作られたんですか?

ニック 最初はシドニーオリンピックを応援するキリンのCM曲だったんだよ。そのときはたいして話題にならなかったんだけど、2002年のW杯のときにキリンがもう一度使いたいと言ってくれて。そうしたら問い合わせがいっぱい来たんだ。CM用だからサビしか作っていなかったから、急遽フルバージョンを作ることになって。シルヴィオにポルトガル語の歌詞を頼んだんだ。

――歌詞はどんな内容なんですか

シルヴィオ CMで使われているサビの部分は、フレーズだけで意味もないしどこの国の言語でもないんだよ。僕が後から付けた歌詞は、「みんなで手を取り合って愛し合おう」というようなポジティブな内容だね。

――W杯といえば、次はブラジルですが母国は盛り上がっていますか?

シルヴィオ インフラが間に合うのか、セキュリティは大丈夫なのか。大きなイベントだからどうしても心配しちゃうんだよね。

ニック 中国でのオリンピックもいろいろ言われていたけど、結局は成功したし大丈夫だよ。

シルヴィオ そうだね、どうにかなることを信じているよ。ブラジルのことだから少し遅れるかもしれないけど(笑)

――きっと大丈夫ですよ、ブラジルのW杯楽しみです。今日はありがとうございました。


ニック ウッド

1964年、英国リバプール生まれ。19歳の時に、自身のポップ・グループ「アパッショナータ」でヴァージン・レコードと契約を結ぶ。以来、作曲、制作を行ってきた。1991年、昔からの友人であるサイモン・ル・ボンとともに東京にSynを設立。幅広い音楽センスが評価され、世界中の有名アーティストとコラボレーションをおこなうだけでなく、映画音楽やドラマ音楽、CM音楽の世界でも活躍。彼の楽曲は海外人気ドラマ「Sex and the City」や、NBCの「Robbery Homicide」にも使われている。

シルヴィオ アナスタシオ

ブラジル出身のシンガー・ソングライター。世界各地でコンサートやライブ、クラブでの演奏を重ねながら様々なジャンルの音楽に影響を受け、ボサノヴァを中心にしながらも独自のスタイルを築く。1994年来日以来、日本での音楽活動を始めたシルビオは、 CMをはじめ様々な作品に参加。ニック・ウッドのヒット曲『Passion』ではリードボーカルを、またサイモン・ル・ボンと共演し『Save a Prayer』を発売。自身のバンド「Minaswing」としても、いくつものアルバムをリリースしている。コンラッド東京でも定期的に演奏を行っており、現在、五十嵐渉プロデュースによるファーストソロアルバムを制作中。