Safe & Clean vol.9 Safe & Clean vol.9

Safe & Clean vol.9

Safe & Clean vol.9

Other

SHIPS MAG読者の皆さん、はじめまして。
特定非営利活動法人下田ライフセービングクラブ(以下:下田LSC)、ジュニア部担当理事の坂部 琢と申します。今回は私が下田・南伊豆地域の子ども達向けのジュニアライフセービング事業についてご紹介したいと思います。


下田LSCは、水辺の事故防止・安全の啓蒙及び地元出身のライフセーバーの育成を図るため、地元の小・中学生を対象としたジュニアライフセービング活動に1990年から取り組んでいます。この取り組みから、実際に下田・南伊豆のビーチをパトロールするライフセーバーを数多く輩出してきました。かく言う私もそのうちの一人です。

下田ローカルな私ですが、はじめてライフセービングに触れたのは今から20年前、親に連れられて発足間もないジュニアライフセービングプログラムに参加した時のことでした。 当時の私はサッカー少年で、正直そこまでライフセービングに興味があった訳ではなく、指導してくれたライフセーバーのお兄さんお姉さんの話を聞かずに砂いじりばかりしている、お世辞にも優等生とは言えないタイプの子でした。 中学卒業と同時に部活動が忙しくなったこともあり、ライフセービングとは疎遠になってしまいましたが、たまたま進学した大学にライフセービングのサークルがあったため活動を再開し、現在に至ります。

今ではそんな私がジュニア部担当理事となって、同じく下田ジュニア出身のライフセーバーである兄をはじめとするスタッフの協力を得ながら、事業の運営にあたっています。

下田ジュニアは夏のみならず年間を通して活動しており、色々と試行錯誤の日々ですが、僕らの話を聞かずにイタズラばかりしている子を見ると、『自分もこんな感じだったのかなぁ…』とすこし懐かしいような恥ずかしいような、なんとも言えない不思議な気持ちになります(笑)


さて、自分の話はこの辺りにして、話を戻します。

私達自身が子どもだった頃から、今も変わらずに子ども達に伝えていることは『自分の身は自分で守る』ということです。ライフセーバーは人を助ける前に、まず自分の身を守れなければなりません。不用意に自分の身を危険にさらすことは避けなくてはならないのです。自分の身を守るということは、すなわち海について正しい知識を持つということでもあります。
ジュニアプログラムでは、沖への流れである『離岸流』、クラゲを始めとする危険な生き物、簡単な応急処置法、波が来たときの対処等といった基本的なことを学んでもらっています。
では、子どものうちにライフセーバーのように誰かを救助できるようになるのかと言えば、それは大変な危険を伴う事であり、体力的にも非常に難しい事だと言わざるを得ません。
しかし例えば、プログラムで学んだ子ども達が、友達と一緒に海に遊びに行ったとき、『ここは離岸流があって危ないよ。』と声をかけることができたなら、それもひとつの立派なライフセービングだと私は思います。

夏が近づくと、どうしても水辺の悲しい事故のニュースが聞こえてきます。保護者の方々の中には『海=危険な場所』というイメージを少なからず抱かれている方もいらっしゃるかと思います。確かに海には危険な面もあります。しかしながら、正しい知識を身に付けて、その危険を前もって回避できるようになれば、子ども達にとって海はただ危険な場所ではなく、とても身近な遊び場であり、自然の大切さ、いのちの大切さを学ぶ格好の場所になるはずです。

このプログラムを通して、思いやりの心と美しい自然を大切にする立派なライフセーバーをひとりでも多く育てていければと思っています。

そんなジュニアライフセービングですが、決して下田の子ども達しか経験できないことではありません。毎年夏に『SHIPS Safe & Cleanキャンペーン』として1996年よりSHIPSジュニアライフセービングコースを開催しています。下田・南伊豆の海を満喫しつつ、ライフセービングも楽しみながら学べるプログラムです。
このプログラムは首都圏からのお客様を対象とし、今年は第1回7月27日(土)白浜大浜、第2回8月3日(土)入田浜、第3回8月10日(土)弓ヶ浜で開催する予定です。
申し込み方法等の詳細は特設サイト、SHIPS店頭に置いてあるフライヤーをご覧ください。
夏の伊豆の綺麗な海で、皆様のお越しを心よりお待ちしております!

坂部 琢

(特定非営利活動法人 下田ライフセービングクラブ ジュニア部担当理事)

静岡県下田市出身。1990年の第1回からジュニアライフセービングプログラムに参加し、大学入学と同時にジュニアプログラム出身ライフセーバーとして吉佐美地区にてパトロールを開始。2008年より下田LSCジュニア部担当理事として、子どもたちを対象としたプログラムを中心に活動。現在は下田市で働きながら、ジュニアライフセービングプログラムを中心にライフセービング活動をおこなっている。