Go with the Flow Vol.2 先輩モデル、ユウスケとの対談 Go with the Flow Vol.2 先輩モデル、ユウスケとの対談

Go with the Flow Vol.2 先輩モデル、ユウスケとの対談

Go with the Flow Vol.2 先輩モデル、ユウスケとの対談

SHIPS JET BLUE

「Go with the Flow」と題して、リヒトさんのキャラクターのごとく(!?)風まかせに展開する本企画。リヒトさんのリクエストで、今回は対談形式となりました。お相手は公私ともに仲のいいモデル仲間であり、俳優としても活躍するユウスケさん。居酒屋でお酒も入りながらのぶっちゃけトーク。どんな話題が飛び出すのやら……。


――今日はよろしくお願いします。今回はリヒトさんのリクエストでユウスケさんとの対談となりましたが、なにか理由があったのですか?

リヒト 次どうしましょうっていうお話をいただいた時にちょうどユウスケさんと飲んでたんですよ。それでちょうどいいなって思って。

ユウスケ 間に合わせか!

リヒト そうそう(笑)。いや、それは冗談で、本当に話をしてみたいなと思って。こういう機会もないじゃないですか。

――お二人は長い付き合いなんですよね。いつ頃知り合ったんですか?

リヒト いつだろうね。きっと最初はなんかの現場だよな。ファッションショーとか?

――ユウスケさんのほうが先輩なんですよね。

ユウスケ モデル始めた時期はそんなに変わらないよな。

リヒト ……。

――リヒトさん、どうしました?

リヒト いやなんか、恥ずかしいすね。先輩とこうやって話すのって。自分がリクエストしておいてなんですけど。

――笑。でもお二人はよく一緒に飲むんですよね。

リヒト 飲むけどそんな真面目なハナシはあまりしないですよね。

ユウスケ 女の子のハナシが多いかもね(笑)。

――笑。とりあえず質問に戻りますが、お二人はいつ知り合ったんですか?

リヒト 10代の頃だよねきっと。今オレが36歳だから17年前くらいかな。

ユウスケ そうだね。オレが今42歳で、モデルはじめたのが25歳とかくらいだからね。

――ユウスケさんはスタートが遅かったんですね。

リヒト そうなんですよ。その前は普通にサラリーマンですからね。

――脱サラしてモデルに?

ユウスケ 学生の時にモデル事務所に所属していたんですけど当時全然仕事がなくて。それで就職したんです。事務所からも「あんた無理だから就職した方が良い」って言われてね。

――今からでは想像つかないですね。ちなみにお仕事は何をやっていたんですか?

ユウスケ コンピュータの営業です。

――……ユースケさんが営業きたら怖いですね。

ユウスケ いやこわくないでしょ全然!

リヒト モデルってどうですか? 特殊な職業じゃないですか。例えばまわりにスタイリストとかフォトグラファーもいるけど、それともちょっと違うし。

ユウスケ んー、違うこともないんだけど、ワンチャンスでできちゃう仕事だよね。とりあえず背格好良く生まれてくればできちゃう仕事ではあるわけだし。

リヒト それは逆に言えば、やりたくてもできない仕事ではあるでしょ。努力ではどうにもならないところがあるから。責任を感じる?

ユウスケ まったく感じない。だってそれだけのリスクを負っているからね。そのリスクを負えるかどうかが、現場のプロたちと渡り合えるかどうかのポイントなんじゃないかな。


ユウスケ そういやリヒト、カメラもちょっとやってたよね。

リヒト いやちょっとだけですよ。広く浅くですから自分は。女の子の趣味は昔からあまり変わらないけどね。。

――どんな人かタイプなんですか?

リヒト 怖い人。

――……Mなんですね。

リヒト いやけっこうS。

ユウスケ SだとおもっているMだな、リヒトは。

――じゃあモデルはどっちが向いていると思いますか? SかMか。

リヒト それはMでしょ

ユウスケ じゃオレ向いてないわ。笑

――でも確かにモデルさんって気の優しい人が多い印象あります。

ユウスケ 確かにそうかもしれないですね。でもろくなモンじゃないって思いませんか? だって現場でいい顔してたって普段はどうかわからないでしょ。仕事だと思えば顔は作れるわけだから。

――裏表のある職業だと。でもモデルよりも俳優の方が裏表ありそうですよね。

リヒト モデルと俳優、演じるって言う意味では一緒ですか?

ユウスケ 基本的なところは一緒だと思う。

リヒト モデルの仕事もある意味、変身じゃないですか。違う自分を演じている。

ユウスケ そういう意識でやっている人がどのくらいいるのかなって思うけどね。

――そういう意識が高い方がプロだと?

ユウスケ いや、そういう意味ではないです。それは人それぞれですよ。結局、最終的に成立していればいいわけだから。深く考えなくてもできる人はできるし。どっちがいいとか悪いとかではないです。

――二人で飲む時もやっぱりモデル道みないなハナシになるんですか?

ユウスケ たまにかな?

リヒト そうですね。だいたいオレが泥酔して……

ユウスケ そうそう。それでオレに泣きながら抱きついてくる(笑)。オレがそれを包み込む感じで終わりです。コイツはこれでアツい男なんですよ。あ、オレね、ここだけは書いてほしいとこなんですけどね、業界的にいろいろリヒトの印象ってあると思うんですよ。さっき自分で言ったけど広く浅くとか。でも本当の彼っていうのはね……

リヒト いやいや、やめましょうよそれ! 気持ち悪いから(笑)。

――確かにリヒトさんって真面目ですよね。

ユウスケ まじめだし、すごく気を使うでしょ。それがたまに爆発する時があるんですよ。

――その相手がユースケさん

ユウスケ オレのこと好きなのかもしれない(笑)。


――モデルってやっぱり難しいですか?

リヒト モデルって門は狭いけど、なってしまったら他の職業と変わらないと思う。お相撲さんも身長が足りなかったら入れないでしょ。それとおなじ。でも容姿を評価され続けるわけでしょ。それはある意味辛いことですよね。中身も見てほしいってわけじゃないけど、人って基本的に容姿をとやかく言われるのって嫌じゃないですか。でも僕らは言われ放題。

ユウスケ そんなに言われた?

リヒト けっこう言われたよ。そりゃ容姿を売っているわけだからしょうがないんだけど、やっぱり気持ち良くはないんですよね。

ユウスケ あ、そう。オレはそんなに周りの声は気にしてなかったかな。

リヒト あれ、いいこと言ったと思ったんだけど(笑)。

ユウスケ いいところも悪いところも、それが個性として目立つのであれば、逆に強みになるわけでしょ。

リヒト 確かにね。でもファッションって全部そうだと思うんですけど、趣味の問題じゃないですか。極端に言えば好き嫌いだけの問題っていうか。それがすごく嫌に思う時があるってことです。選ぶ側でいる分には気持ちいいかもしれないけど。

ユウスケ そうはいうけどさ、本当に嫌ならやめるタイミングはいつでもあったわけでしょ。嫌なのにずっとやっている理由って何よってハナシでしょ。要するに、嫌だっていう気持ちよりも気持ちいい方が強いんだよね。

リヒト それは確かにそうかも。たまに現場で素晴らしいスタッフと素晴らしい仕事ができた時の快感はいいもんですよね。


――前回のインタビューでリヒトさんは、「思いがけずいろんなことが運良く運んで今までこれた」とおっしゃっていました。ユースケさんはどうですか? なぜ脱サラしてまでモデルに?

ユウスケ オレは最初は海外のコレクションに出てみたいっていうのがきっかけですね。

――モデルとしての自分がどこまで行けるかを試したいというある種ストイックなモチベーションですよね。

ユウスケ そう。だから全然違いますよリヒトとは。彼はもの凄く恵まれていると思う。かなり特殊なパターンです。

――そういう意味じゃリヒトさんはモデルとしてのレベルが高かったのかもしれない。

ユウスケ レベルの高い、低いなんて判断できるものじゃないんでしょうが、結果を出していたわけですからね。でもずっと見ていて、恵まれているなって思っていました。モデルとしてだけでなく、人としても恵まれている。不思議な魅力を持った男です。オレはどっちかって言うと与えられるようなことはなく、自分でもぎ取っていかなければいけなかったですから。全然タイプが違うからおもしろいですよ。別に変な嫉妬みたいなものはまったく感じなかったしね。多分、日本人でモデルやっている人で、彼のようなタイプの人はいないと思う、今も昔も。

――ユースケさんはモデルとしてどこまで目標にしていたんですか?

ユウスケ オレは海外でいくつか出たいショーがあったから、それに出たいなって。最終的には普通に海外でも名前と顔が通るようになったし、モデルとしてはやりたいところまで行きましたよ。

――モデルって容姿でほとんどその評価が決まると思いますが、それ以外の部分でできる努力ってあるんですか?

ユウスケ 海外では馴染む努力はしていました。悲しいかな日本人って言葉ができないでしょ。そうすると気持ちで負ける。それがダメなんですよ。だからとにかく気後れしないようにしていました。

――雰囲気とか存在感の出し方とかもあると思うのですが。

ユウスケ それは人から盗むしかないし、あとは普段の生活のなかでどれだけ高い意識を持っていられるかですよ。コレをしたらいい! っていうのはないけれど、逆に言えばできることは何でもある。オレは昔ダンスをやっていたんですけど、それもきっとなにかの糧にはなっているハズ。ランウェイを歩く時に流れるBGMにテンションを合わせたりね。

――俳優業はどうですか?

ユウスケ おもしろいですよ。もうはじめてから10年くらいになるのかな。モデルとは全然違うけど、似ているところもあるし。モデルをやっていたから俳優に応用できることもあるし、俳優をはじめたおかげでモデルに活かせることもある。お互いにいい作用が働いていると思いますね。


――いやでも今回は貴重なハナシ聞けました! 残念ながら記事には書けない内容も多々ありましたが……(笑)。

ユウスケ ほんとうですか!? あまり大したハナシしてなかった気がしますが(笑)。

リヒト じゃあユウスケさん、今後の勉強のためにこのSHIPS MAGのほかの99個の企画の見学に行きますか。

――女子の現場とか?

ユウスケ それは良いですね。お前じゃなく女子のハナシ聞きたいよ、オレ(笑)。

リヒト ……そうすよね。じゃあ次は女性モデルをゲストに呼んで、オレとユウスケさんと3人で鼎談ってのはどうですか。

ユウスケ 連載の回数と同じだけ人がどんどん増えていくの?

リヒト それも良いかも。

RIHITO/リヒト

1976年、東京生まれ。95年よりファッションモデルをスタート。パリ・ミラノなど海外に活動の場を広げ、ジル・サンダーのメインモデルなどを務める。 2000年に自身のブランド「CICATA」をスタートし、2011年に惜しまれながらも休止。現在はSHIPS JET BLUEのエクスクルーシブコレクション、CICATA SHIPS JET BLUEを手がけている。

平山 祐介

1970年、埼玉県生まれ。俳優、ファッションモデル。大学卒業後、一度は就職するが、モデルになるために退職。単身で渡仏し1995年にパリ・コレクションデビューを果たす。ジョルジオ・アルマーニ、プラダ、ドルチェ&ガッバーナといった数々のブランドの海外コレクションを経験し、フランス映画『SAMOURAIS』で俳優デビュー。日本でのデビューはインターネットドラマ、『TRUNK』。出演作は、『海猿』、『ワイルド7』、『るろうに剣心』等。最新作は『桜姫』(6月29日公開)