Spectators Evergreen Library 緑色世代の読書案内
SHIPS MAG読者の皆さん、はじめまして!
『スペクテイター』という雑誌の編集長をつとめる青野利光と申します。
これまで世界各地のライフスタイルやカルチャーを取材してきた本誌がオススメする、エバーグリーンな本や映像作品を紹介していきたいと思います。
第一回目の今回は、まもなく発売になる次号の特集「OUTSIDE JOURNAL 2012」に因んだ作品です。
「アウトサイド」を直訳すると「外側」という意味になりますが、都会や部屋の「外側」には、どんな世界が広がっているのか?
どんな未来の可能性が秘められているのか?
そんなことをテーマに掲げた特集号にしようと思い、この言葉を冠してみました。
暖かい部屋でくつろぎながら読書の時間をお楽しみください。
Photo by NUMA
11月になりました。だいぶ寒くなってきたけれど、山登りにはちょうど良い季節です。
山登りが趣味という方が『MAG』読者の皆さんのなかにも大勢いらっしゃるでしょう。
山は歩いたり登ったりするだけでも楽しいけれど、その偉大な存在について思いを巡らせたり、そこで自分が体験したことを活字や映像で表現するつもりで向き合ってみると、また違う魅力を与えてくれる存在でもあります。
山や自然のなかで過ごす時間は、都会に暮らしていると気がつかなかったことや、自分自身を知るきっかけも与えてくれる。そんな貴重な時間でもあるのです。
そんな心を写す鏡のような山と向き合いながら、個人の視点を通じて自然について語られた作品をご紹介します。
いずれも最新号の取材に応じてくださった山の文化の発信者たちの著作です。山をより身近に感じられて、自然と人との関係について思いを巡らせることのできる本ばかりですので、興味を持っていただけたら本屋さんで手にとってみてください。
知らなかった自分と出会えるかも知れませんよ。
北海道在住の映像作家で写真家としても活躍するニール・ハートマンさんが、撮影から編集までを一人で手がけているスノーボード&ライフスタイル・ムービー。豪快なライディング・シーンと、パウダースノーを求めて雪山に寄り添いながら暮らすプロ・スノーボーダーたちのライフスタイルがドキュメンタリー・タッチで綴られた映像作品シリーズの6作目です。
『Car Danchi 6 “D.I.Y.』予告編
「山と街をつなぐ」というコンセプトのもとに年2回のペースで刊行されている『ミューレン』は、編集者の若菜晃子さんが編集・発行人をつとめるインディペンデントな雑誌です。山登りの方法や道具の紹介の代わりに、山に対する想いが書き手の視点を通じて綴られています。ファンも多く、すぐ売り切れてしまうので、見かけたら早めの入手がオススメ。12月に最新号が発売される予定です。
『murren』ホームページ http://www.murren612.com/
キノコや菌類の写真家として長年に渡って活躍され、現在は糞土師というユニークな肩書きでノグソが地球環境に与える影響についての啓蒙活動を続けられている伊沢正名さんの近著。「ノグソが地球を救う」という信念のもとに、三十年以上に渡ってノグソ観察を続けてこられた伊沢さんの自然に対する想いが詰まった抱腹絶倒の一冊。
『くうねるのぐそ』出版社のサイト http://special.yamakei.co.jp/noguso/
伊沢さんのホームページ「ノグソフィア」 http://nogusophia.com/
京都の夏の風物詩「五山の送り火」で知られる京都の大文字山の近くにお住まいで、大文字山に生えている野草やキノコなどを採集して食する日々を送られている安田陽介さんの著書。大文字山へ毎日登り、そこで出会った植物や自然についての深い思索が綴られた日本版「森の生活」。絶版ですが、購入ご希望の方は著者に直接お問い合わせください。
安田さんのブログ「大文字山を食べる」http://blogs.yahoo.co.jp/yasudaimonji
『ポパイ』『メンズクラブ』『山と溪谷』など数々の雑誌で活躍し、現在もなお現役のイラストレイター・画家の小林泰彦さんの作品をMAGの読者も一度はご覧になったことがあるでしょう。山歩き、岩登り、スキー、自転車など、あらゆる野外スポーツをライフワークとされ、アウトドア・アクティヴィティについての著書を数多く残されているヤスヒコさんが、長年に渡るアウトドア生活についての想いを綴られた貴重な本。
小林泰彦さんのホームページ「あっとおどろくヤスヒコ・ビーチ」 http://home.b01.itscom.net/yasuhiko/
青野利光
1967年生まれ。エディトリアル・デパートメント代表。
大学卒業後、2年間の商社勤務を経て、学生時代から制作に関わっていたカルチャーマガジン『Bar-f-Out!』の専属スタッフ。1999年、スペクテイター創刊。2000年に現在の会社を設立。昨年の夏から長野市に活動の拠点を移して出版編集活動を続けている。
Spectator
1年におよそ2冊のペースで刊行を続けるカルチャー&ライフスタイルマガジン。新しいジャーナリズムを標榜する現場主義・体験主義にこだわったコンテンツに定評がある。
スペクテイター26号
特集『OUTSIDE JOURNAL 2012』
2012年11月中旬発売予定
定価952円(税別)・B5変型版・176ページ
発行=エディトリアル・デパートメント
http://www.spectatorweb.com/