音SHIPS −スタイリスト・林道雄さん&編集者・呉屋秀樹さん−
SHIPS JET BLUEの2012秋冬カタログで、イギリスらしい曇った世界を表現した編集者の呉屋秀樹さんとスタイリストの林道雄さん。今回は、そんなカタログの世界観に近い音楽をピックアップしてもらいながら、制作秘話などを伺った。
林 今回、カタログで使用する洋服を見たときに、これは白人に着せたいなって思ったんですよね。イメージとして浮かんだのは、ケン・ローチ監督の映画「SWEET SIXTEEN」。これは是非、観て欲しい映画なんですけど。
呉屋 その映画のサントラはないの?
林 サントラが出てないんですよ。あれば、その中から1曲選びたいところでした。
呉屋 JET BLUEのカタログに楽曲をつけるとしたら何かな、撮影中にテーマにしていた曲とかはある?
「Mr.BRITS」と題された、SHIPS JET BLUEの2012年秋冬のカタログ。ブリテッシュをメインテーマにしながらも、いわゆる英国スタイルではなく、JET BLUEらしいユースカルチャーのテイストをプラスした雰囲気で構成されている。
林 僕は音楽が好きなので、いつも何かしらの音楽がアタマのなかで鳴ってはいますけどね。でも、一曲をテーマにスタイリングすることはないかな。そこに縛られたくない気もしますし。
呉屋 カメラマンさんやスタイリストさんと打ち合わせするときは、音楽だったり、レコードジャケットだったりで、撮影のイメージを共有することも多いですね。すごく分かりやすいときもあるし、僕の勉強不足でまったく分からないときがあったり(笑)。
林 ヴィジュアルにしやすい曲と、しにくい曲ってありますよね。それに、自分のなかであったとしても、あえて人には言わないかな。
呉屋 SHIPSさんからは、国でいえばイギリス。ロンドンのストリートの雰囲気で、ユースカルチャーを感じさせるような絵作りをして欲しいというオーダーが最初にあって。
林 わかりやすいブリティッシュにだけは、したくなかったですよね。だから、音楽を挙げるならわかりやすいパンクではないかな。誤解されそうだけど、しいてあげるならTHE CLASH(クラッシュ)の「LONDON CALLING」。クラッシュはパンクのイメージが強いけど、これは中期の作品で、ちょっと大人びた感じがポイントなんですよ。僕のなかでは大人な音楽だし、都会的なんですよね。
林 他にあげるとすれば、JOY DIVISON(ジョイ・ディヴィジョン)かな。今回はどこか陰な感じというか、陽の当たらない感じがあるので。
林 もうひとつあげるとすると、SONIC YOUTH(ソニックユース)ですかね。
呉屋 この3曲を見ると、今シーズンのカタログのキーワードは「青年から大人への階段」だね。でも、その微妙な年頃をうまく出せたような気がするよね。
林 イギリス人モデルではなく、すごくマジメなアメリカ人でしたけどね(笑)
special thanks
Kong Tong(コントン)
東京都世田谷区池尻3-30-10 三旺ビル5F
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営業時間:11:30〜28:00
http://garlands.jp/kongtong/
林 道雄
2006年よりソニア パークに師事。2010年に独立し、雑誌、広告、アーティストのスタイリングおよび衣装製作を中心に幅広く活動している。
呉屋 秀樹
編集プロダクションEATer所属。講談社『HUGE』のほか、SHIPS JET BLUEをはじめとするセレクトショップ、ファッションブランドのカタログ制作や、WEBサイトのディレクションなどを手掛ける。