Safe & Clean Vol.7 Safe & Clean Vol.7

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秋晴れに恵まれた10月6・7日、神奈川県藤沢市片瀬西浜海岸では『第38回全日本ライフセービング選手権大会』が開催されました。屈強なライフセーバーたちが我先にと海へ入り、水しぶきをあげながら夏のパトロール監視活動で培った技術力・パワーを競い合いました。 大会の模様を、特定非営利活動法人下田ライフセービングクラブ(以下 下田LSC)競技部ディレクター 山口智史(ライフセービング暦11年)が、レポートします。


事故は未然に防ぐことが重要ですが、実際に事故が起こった場合に大きな波の中や強い潮の流れの中で人を救助してくることはそう簡単なことではありません。時には一度に数人が溺れ、救助を繰り返さなければならないケースもあるのです。そのためにライフセーバーは日頃からトレーニングをかかさず、救助に必要な 技術を磨いています。そしてその成果を競い合うことでより高めていこうと開催されているのがライフセービング競技会です。
競技種目については(http://www.jla.gr.jp/competition/item.htm)を参照ください。

下田LSCでは、各種目での1位や上位入賞を始め、日本代表選手などが多くメンバーとして在籍しています。また世界大会へ向けた、日本代表選手をこれまで多く輩出しています。

今年の『第38回全日本ライフセービング選手権大会』は、下田LSCからは114名(男子65名、女子49名)のライフセーバーがエントリーし、全国からは下田LSCも含め59クラブ、1','194名のライフセーバーがエントリーし開催されました。

下田LSCは、浜に立つ一人ひとりがライフセーバーとしてもっと強くなるために、日本のライフセービングの歴史をつくってきたリーディング・クラブとしての誇りをもって、日々のトレーニングの成果、チームワーク、海を読む力、スピリッツを発揮し、社会人・学生ともに力を合わせて競技に挑み多くの種目で決勝進出や入賞を果たしました。そして、メンバー層の厚さ、チームワークの良さを全国のライフセービング関係者にアピールしました。

今大会のメダリスト

下田LSCからの今大会のメダリストを、ライフセーバーを目指したきっかけや今後の目標などQ&Aとともにご紹介。

Q.1:ライフセーバーを志したきっかけは? Q.2:日々のトレーニングについて Q.3:なぜ競技に力を入れて取り組んでいるか Q.4:競技をどのようにパトロールに活かしているか Q.5:今後の目標は?

全日本ライフセービング選手権:
サーフスキーレース男子 2008 / 2009 / 2010年 3連覇 / 2011年 2位

昨年の雪辱を果たせホッとしています。

A1:スポーツで日本一になりたく、山で育ったため海に憧れていたためです。

A2:夏はサーフスキーや山登りです。冬はクロスカントリースキーと水泳です。

A3:救助力の向上とライフセービング競技の普及を目指して取り組んでいます。

A4:競技会でのクラブチームの団結力はパトロールに相当活きています。またパトロールに必要な体力、技術力の維持、向上に競技は欠かせません。

A5:全日本選手権優勝(個人/リレー/総合)

全日本ライフセービング選手権:
ボードレース女子2009年 2位 / サーフスキーレース女子2010年 1位

レース開始からリードすることができ、最後まで諦めずパドルをし、3位を勝ち取ることができました。ゴールした瞬間に、下田メンバーが声援を送ってくれているのが見えて、とても力になりました。

A1:大学の部活動紹介でとても楽しそうな印象だったのと、海での救助活動に魅力を感じ、志しました。

A2:平日が仕事のため、土日で集中して行なっています。また、空いた時間を見つけてプール等でトレーニングをしています。

A3:全てはパトロールのための体力、救助力向上のためです。

A4:競技のトレーニングをすることで、体力や救助力を向上することができ、それをパトロール活動へと活かしています。

A5:夏のパトロールでの無事故です。そして、全日本総合優勝へと導きたいと思っています。

全日本ライフセービング選手権:
2キロビーチラン女子2011年 5位

まさか自分が優勝できるとは思いませんでした。今回は計画的にトレーニングをしたのでこのような結果に繋がったのだと思います。学生最後にこのような結果を残せて本当に嬉しいです!一緒に練習してくれた人や支えてくれた人達に感謝の気持ちを結果で伝えることができよかったです!

A1:中学1年生まで水泳、高校3年生まで陸上をやってきました。自分のためにしてきたスポーツを人の為にいかすことがしたくてライフセーバーを志しました。

A2:大学の部活を中心にトレーニングしています。週末は南伊豆の弓ヶ浜へ行きスイム、ボード、ランの練習をバランスよく行っています。

A3:競技力はレスキュー力に繋がるからです。

A4:競技力を高めて、迅速なレスキューができるようにしています。

A5:今後もこの結果に満足せずに、レスキュー力、競技力向上に務めていきたいと思います!

全日本ライフセービング選手権:
2kmビーチラン女子2009 / 2010 / 2011年 2位

全日本において、2qビーチラン4年連続準優勝という結果には嬉しさもあり、悔しさもあり、という感じです。今年こそは優勝!と思っていましたが…。ただ、大会結果以上に、大会までの過程にすごく納得がいっています。また、優勝した鈴木選手とは4年間高め合って来た仲なので、悔しくもありますが、ものすごく嬉しいです。2qビーチランはほとんどが気持ちとの勝負だったので、たくさんの声援があったからこその結果です。本当にありがとうございました。

A1:高校の時の体育の先生がライフセーバーで、その先生の授業で「ライフセービング」に触れ、もっと深く知りたい、学びたいと思ったのがライフセービングのはじまりです。

A2:全日本ではボードレースにもエントリーしていて、ほとんどがボードの練習となってしまうため、夏のパトロールの日々の中、毎朝の朝ランだけは!と、その一本にものすごく力をいれて毎日過ごしていました。また、オーシャンもビーチも、いろいろな人との練習機会を作るようにしていました。

A3:オーシャン・ビーチの両方での競技に力を入れている理由としては、ライフセーバーとしてパトロール活動をするうえで必要な体力を鍛えるためでもあり、また、夏のパトロールのために鍛えたものを、パトロールで、そして競技で結果に出したいからです。

A4:一番の理由は、一緒にパトロール活動をしているメンバーからの信頼を得るためです。オーシャンもビーチも、何が起きた時、迅速な対応ができる!という事を見せるには、普段のコミュニケーションや共に過ごした時間に加えて競技の結果でも伝えられるからです。競技はレスキューに必要な技術向上・体力向上にもつながるので、力を入れています。

A5:今年で学生としては最後の年になってしまいましたが、この4年間本当に様々な経験をし、様々な事を学んできました。その自分の中にあるものを、どんどん伝えていくこと、そして、その人からまた別の人にと広げていくこと、それが一番大切だと思っています。ですので、可能な限りで、いろいろな事を還元し、また伝えるためにコミュニケーションをとることで自分の成長へとつなげていきたいと思っています。

全日本ライフセービング選手権:
2009 / 2010年 2位

4人でメダルを目指した全日本だったので、3位という結果で終われたことは非常に嬉しいです。(久源太)

A1:将来は、消防官になりたいと思っていて、ライフセービングは人名救助として繋がりがあると思ったからです。(富樫侑太)

A2:学校では部活動に参加していますが、暇な日などは自主的に泳いだりしています。週末は毎週のように海に通っています。パトロール中の移動は全力ダッシュを心掛けていました。そのためか足も速くなった気がします。(佐野太郎)

A3:競技力はレスキュー力やパトロールに繋がるからです。(久源太)

A4:競技は競技。パトロールはパトロール。として考えることはありますが、基本的な体力、集中力などは、このように活かせると思います。(富樫侑太)

A5:ビーチ、オーシャン共に結果を残したいです!(佐野太郎)

特定非営利活動法人下田ライフセービングクラブ 理事長
江田 邦明

第38回大会に参加し、総合4位という成績をおさめることができました。ここ3年間は優勝、準優勝といった成績でしたので、競技といった面では残念な結果に終わりました。しかしながら、競技はライフセービング活動の一部分であり、パトロールやジュニア教育、地域交流、クラブ運営等を総合してクラブの魅力に繋がると思っております。来年にはクラブ創設20周年を迎えます。この記念の年に、「無事故」を達成するための努力が、第39回大会の優勝、クラブの魅力向上に繋がればと感じております。

総合成績では、優勝へのリベンジを目指し挑み、出場メンバー、サポート&応援メンバーともに頑張りましたが、4位という結果におわりました。来年は再び総合優勝!を目指して、そしてさらに来年のクラブ設立20周年の節目を華々しく飾るべく、チャレンジを続けていきます。

山口 智史
特定非営利活動法人下田ライフセービングクラブ 競技部ディレクター

同じ下田でライフセーバーとして活動する兄を追い、大学入学とともにライフセービング活動を始める。都内で働く傍ら、休みを利用して下田・南伊豆でのパトロール、トレーニング、競技会への参加のほか、選手へのコーチングも行っている。