音SHIPS ー特別編・フォトグラファー水谷太郎ー 音SHIPS ー特別編・フォトグラファー水谷太郎ー

音SHIPS ー特別編・フォトグラファー水谷太郎ー

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音SHIPS ー特別編・フォトグラファー水谷太郎ー

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SHIPS JET BULEのカタログビジュアルを手掛けた写真家の水谷太郎氏には、今回のカタログ制作にあたってある一曲がインスピレーションにあったという。海外のアーティストとも親交が深い水谷氏ならではのクリエイトの仕方、そして淡々と語る物静かな口調とは裏腹に、非常に強いインスピレーションの世界観を感じた。普段では知る事の無いカタログ制作の裏側を伺ってみると、また新鮮な気持ちでカタログを魅入れてしまう。


カタログ制作の打ち合わせ段階でスタイリストの中兼君とイメージを共有する為に、この音楽を提案してみたんです、この曲の歌詞のイメージが僕の中にあってちょっと表現してみたいと。それがボガンボスの「トンネルぬけて」という曲でした。僕が最初に聞いたのは知り合いのミュージシャンのカバーバージョンなんですが、凄くいいメロディと印象的な歌詞なんですよ。その曲がSHIPS JET BULEの持つユース感とか疾走感、若い人達のエネルギーとかそういったイメージに合ったんですよね。それで今回のカタログは全ページ走り抜けて行く、現実から理想に向かって旅をする感じで構成をまとめていきました。

ロケ場所を選ぶ時、トンネルがあり現実的じゃない世界観がある場所を探していくうちに、四国カルストに辿り着いたんです。元々カルスト地形は気になっていた場所ではあったし、日本にも九州や山陽地方などいくつかありますがイギリスの北の方にもカルスト地形はあって、バイイングされた洋服を見させてもらった時にローゲージのニットとかイギリスの北部の寒い場所の雰囲気を感じたので、まさにイメージ通りだなと。 実際現地に行ってみたらもの凄い霧に覆われていて、撮影自体も出来るかどうか分からないコンディションでしたが、結果的にその霧が逆に強い幻想的な世界観を作り上げてくれて、刺激のある楽しい撮影になりました。写真撮影の要素には現場で起こるライブという部分が大きな要素として存在します。ロケに出ている以上天候の条件は常に変わりますし、自然に逆らって物事を進めていくのも何か違う様な気がするんですよね。事前にコンポジションしたストーリーに対して、臨機応変に対応し作りあげる力、そこに面白みを含むのは重要だと思います。今回はこの場所と環境と写真がうまく調和されて本当に良かったなと思いました。実際カタログに掲載されている写真は霧が晴れた一瞬で撮影したものばかりなんです。こういうライブ感って何かいいですよね。カタログを見て頂いた方にもその瞬間の力が写真を通じて感じてもらえると嬉しいです。

SELECTED MUSIC
Artist / Title
ボガンボス / トンネルぬけて
Youtube

水谷太郎 / Taro Mizutani


1975年生まれ、東京都出身 メンズ&レディースのファッション誌の第一線で活躍しながら、SHIPSなど数々のブランドワーク他、ランドスケープ写真、海外のミュージシャンのポートレイト写真など広いフィールドで活動。