たまには旅に連れてって ?
長く一緒にいると刺激がなくなるのは当然のこと。奥さんしかり恋人しかり。いや、でも女子がキィー!となりそうだから、刺激とはまた違うキズナが育まれているのだが、と付言しておこう。例えばあなたが年に1度旅行に連れてってよ……とため息混じりに言われたとしよう。ずばりモロッコほど女子ゴコロをくすぐる国はそうそうない。おいしい料理とカワイイ雑貨、適度な異国情緒(冒険心もね)を満たしてくれる。すなわち、この3つを同時に押さえておけば怖いものは何もない(多分)。
モロッコへはパリから飛行機で3時間ほど。アフリカ大陸とは思えない気軽さで行ける。首都のカサブランカから列車で3時間半くらい、マラケシュという街は、いきなりモロッコのクライマックスを感じられるだろう。迷宮のように入り組んだ家々。無数の雑貨やさんが建ち並ぶスーク(市場)はお買い物天国だ。狭い道に民族衣装の人と動物、私たち闖入者も一体化して、まるでアラビアンナイトの世界を形づくる……。昼間は閑散としたジャマエル・フナ広場には、陽が暮れると無数の屋台と大道芸人、観光客で毎日カーニバル状態になる。そして祭りは毎晩つづく……。マラケシュからは海と白い町並みの隠れたリゾート、エッサウィラに行くもよし、サハラ砂漠まで冒険に旅立つのもよし。
旅は日常とのギャップがあればあるほど思い出深いものとなる。モロッコは男も女も楽しめる国。なんか色々煮詰まっている関係(僕ではないよ)をリフレッシュしたいとき、ぜひともチョイスしてほしい。
左)ジャマエル・フナ広場に夕刻過ぎに現れる屋台。ケバブやクスクスなどに混じってエスカルゴ屋台なんてのもある。モロッコ人の家族連れの観光客もウキウキ気分で楽しんでいる。
右)モロッコは雑貨天国。しかも安い!定番バブーシュはどこにでもあって、色も形も選び放題。
左)モロッコの定番メニュウは「タジン」と「クスクス」。「タジン」はぶ厚いタジン鍋に肉やジャガイモ、にんじん、オリーブといった材料を入れ、火にかける煮込み料理。いろんな種類のタジンがあり各家庭で味が違う。
右)村々の境界には写真のような門が建っている。一本道をひたすら走り、幾多の門をくぐり抜け、サハラ砂漠へ向かう。旅情感たっぷり。
左)甘ーいミントティーも定番でカワイイポットで出てくる。高い位置から泡立てるようにして入れるのがポイント。田舎に行けば行くほど甘みが増してくる。
右)モロッコのホテルはどこも女ゴコロをくすぐるカワイイインテリアで彩られている。しかもそんなに高くない。「リヤド」といわれる民宿型プチホテルもたくさんある。
左)一瞬桜に見えるけれど、これはアーモンドの花。濃いピンク色が美しすぎる。咲き乱れる様子はまるで桃源郷に迷い込んだような錯覚に。花はロマンティックの象徴ですね。
右)マラケシュの街を抜け、アトラス山脈の方角「カスバ街道」を走ると、おとぎ話のような集落が遍在している。これはその中でも巨大なアイト・ベン・ハッドゥ(世界遺産)。『アラビアのロレンス』や『ハムナプトラ2』などはここで撮影された。
クライマックスはぜひサハラ砂漠をオススメしたい。ラクダに揺られてベルベル人の砂丘キャンプへ。彼らのテントで一晩を明かせば、夜空の満天すぎる星々を飽きるくらい眺めることができる。流れまくる星空は一生の思い出になるはず。
加藤直徳(かとうなおのり)
1975年生まれ。編集者。出版社で「NEUTRAL」を立ち上げeuphoria FACTORYに所属。現在「TRANSIT」(講談社)編集長を努めている。
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