たまには旅に連れてって ? たまには旅に連れてって ?

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たまには旅に連れてって?

たまには旅に連れてって?

その他

旅雑誌の編集をしていて最近殊に思うのだが、男よりも女性のほうが冒険心旺盛で、見知らぬ世界への欲望が強い。ありきたりの旅先では「ノンノン」なのである。そこで今回淑女をお連れするのは、ずばり「アマゾン」なのである。間違っても〈amazon.com〉でお買い物するわけではない。ブラジルが誇る大河・アマゾンのことである。冒険的な地名の響きに女子は弱い、と思っている。アマゾン行こうよ、これだけでもきゅんとくるに決まっている(ウチの奥さんは即却下だったが……)。フライトは少々長いが、「遠くに来た。もう引き返せない!」という非日常感を抱かせるのが大事なのである。マナウスというアマゾン河口の街まで飛んで(NYCから便がバンバン出てます)、そこから大河を船で遡っていくのだ。と言っても豪華客船ではない。甲板でハンモックつるして寝起きする「小船」である。3日間くらいからコースがあり、食事も付いてくる。綺麗好きの人には個室もある。ゆっくりと船は進み、所々町や村に立ち寄る。小さな村ではでっかいナマズのお化けみたいな魚を「背中に背負っている男」がいたり、バク宙しながら河に飛び込む子ども達を目撃するだろう。それはもう現代社会とは思えない世界が毎日展開されるのだ。そして陽気なブラジリアンが裸でダンスの輪に加わるように要求してくる。観光客もあまりいないから、恥ずかしいこともない。サウダージなお国柄だけに、心地よい音楽が船上でも流れている。そしてハンモックで寝ることも数日経つと快感になってくる。昼間はのんびりと風に揺られ、夜には数十秒に1回は見られる流れ星の夜空が待っている。アマゾンの夜は明かりがほとんどないから、星空でTripできるほど星が降り注いでくるような体験ができるのだ。一生に一度、自分が楽しむのとは別に、大切な人との思い出を演出してみたいと思う男性は、ぜひアマゾンに連れ出してみてほしい。もうね、この体験は異次元ですよ。


船で立ち寄る町では、数時間停まることもある。アマゾンとともに生きる人々の生活を垣間見られる。
船の上のハンモ ックで寝る。次第に揺れに慣れてきて気持ちよくなってくる。船内は家族連れがいっぱい。
ブラジル人は音楽があればどこでも踊り出す。陽気なリズムに身を任せて。
河と海が混ざり合う奇跡の風景も見られる。暑いからみんな船からアマゾンにダイヴする。
夕暮れのアマゾン。数時間後、空には無限の星がきらめく。
オマケ。ブラジルにはとてつもなく大きな「イグアスの滝」もある。ここも冒険心をかき立てる場所だ。
加藤直徳

加藤直徳(かとうなおのり)


1975年生まれ。編集者。出版社で「NEUTRAL」を立ち上げ、euphoria FACTORYに所属。現在トラベルカルチャー誌「TRANSIT」編集長を努めている。最新14号「西海岸」特集が発売中。
www.transit.ne.jp

TRANSIT

TRANSIT 14号


美しき西海岸を走り抜けて
9月16日(金)RELEASE
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