しなやかなつけ心地と絶妙なカラー、そして他にはないボリューム感――。今、上質なもの知る女性たちの間で話題となってるストールがあります。数多くの女性誌にもピックアップされ、インスタグラムを彩るストールはなぜ女性たちを惹きつけるのでしょうか？ その秘密を探るべく、ディレクターの大谷繭子さんにお話を伺いました。
職人の技術が
作り出した、
日本中を旅する
ストール
最近、おしゃれな女性たちはストールを上手に使っている印象があります。なかでもASAUCE MELER（アソースメレ）のストールは大人の女性から人気ですよね。
大谷 「春夏はベルギーリネンストールというアイテムをリリースしているのですが、程よい肉厚感があり、リネンなのにゴワゴワしないところに好評をいただいております。私自身も肌がとても弱いので、身につけるものは肌に気持ち良いものでないとどうしてもクローゼットに眠らせたままになってしまい……。毎日身につけられるよう、ストレスのない肌触りにこだわっています」
生地へのこだわりを詳しく教えてください。
大谷 「国内の工場で昔ながらのシャトル織機というアナログな織り機を使って生地を作っています。職人さんが専任でずっと見守るなか生地が完成していくのですが、1日に数メートルしかできないほどとてもペースがゆっくりなんです。そうして丁寧に作ることによって、ふっくらとした柔らかな風合いを出すことができます。身につけるとしなやかで、洗うごとに肌馴染みもよくなっていき、ちょっとした経年変化も楽しめるんですよ。裁断は別の場所で手仕事で職人さんにしてもらいまして、そこから染めはまた別の場所にといった具合いに、いろいろな職人さんの手が込んだ逸品となっています。まさに“日本中を旅するストール”です（笑）」
自宅で洗うこともできるんですか？
大谷 「大丈夫です。春夏物は基本的には手洗い可能で、ご自宅ではネットに入れて押し洗いを推奨しています。クリーニング屋さんに出さないといけないとなるとどうしても使用頻度を控えたくなってしまいますよね。特に春夏は地肌に触れる部分が多いからこそ、どんどん洗ってザクザク使っていただけるようにしたかったんです」
こだわりがある生地を自宅で手入れできるのは
嬉しいですね。このボリューム感もASAUCE MELERならではですよね。
大谷 「すごく薄いストールはあまり今の気分ではないような気がしていて、ボリュームが出るよう通常のストールブランドの３倍くらい太い糸を使用しています」
３倍!? 通気性や重さは気になりませんか？
大谷 「糸を太くしている分、密度を甘くしているのでそこまで気にならないと思います。ギリギリ女性が重いと感じず持ち歩ける重さです（笑）。試しに服を作る感覚で生地を作ったら倍くらいの重さになってしまったのですが、ザクザク織り過ぎても今度は透けてしまいます。先ほどお話ししたシャトル機でゆっくりと織っていくと、絶妙な密度と風合いを出すことができるんです。今時代はデジタル化が加速していますが、モノづくりはよりアナログでスローな方向に向かっているのかなと思っています」
ストールは秋冬よりも春夏の方が難しく感じてしまいますが、どのように巻いたら今年っぽく見えますか？
大谷 「確かに春夏はそこまでストールは必要ではないと思います。防寒のために必要に迫られてつけられている方が多いと思いますし、本来の使い方ですよね。そのなかでファッションとして取り入れていただくと、ファッション感度が高く見えるのではないかと思います。例えばノースリーブのトップスの上からカーディガン代わりとして纏ったり、リゾートっぽいスタイルの首元にさらりと巻いたり。カゴバッグにさっと入れて蓋代わりに持ち歩き、寒くなったら羽織るというのも素敵ですよね。生地が薄いものになると綺麗に巻かないと様にならないのですが、ASAUCE MELERのストールならボリューム感があるので、少しごまかしがきくというか、巻き方に自信がない方でもつけていただきやすいかと思います。またリネン素材なので、シワ感ですら表情になります。海外に行かれる時などにシワを気にせず持って行けて、冷房が強い時にサクッとカジュアルに使っていただけると思います」
素材も魅力ですが、カラーリングも素敵です。大谷さん自身は、普段どこからインスピレーションを受けているのでしょうか？
大谷 「旅先で見た色彩が多いです。気になった色を写真に撮ったり、メモしたりして。もちろん海外の太陽の下だから映えるというのもありますが、日本の太陽の下でも綺麗な色に見えるようにミックスできたらいいのかなと思っています。大人が身につけやすいものという部分にこだわっているので、あまり奇抜なカラーや柄は使わず、あくまで永く使えるベーシックなものを目指しています。そのなかでも色は“一言では言えない色”という点にこだわっていまして、カラーチップを何度も見直して、海外で得た色彩も参考にしながらニュアンスカラーを出すようにしています」
最後に今後のASAUCE MELERについてお聞かせください。
大谷 「私自身も大量生産・大量消費をすることに疲れているといいますか、抵抗を感じることが日々強くなり、上質なものを永く使っていきたいです。永く使っていくときに、ワクワク感や高揚感をディテールとして落とし込んでいければと思いますので、ベーシックとワクワク感のバランスがうまく形になって提供できたらいいなと思います」
PROFILE
大谷繭子（おおたにまゆこ）
「アソースメレ」ディレクター／エディター・ライター／「ギフトリエ」代表
大学卒業後、ファッション・ライフスタイル誌で編集・ライターとして従事したのち独立。企業のブランディングや商品開発等を手がけ2017年よりストールブランド「アソースメレ」のディレクターに就任。2018年にはギフトサイト「ギフトリエ」を立ち上げる。