Over The Generation KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏 Over The Generation KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏

Over The Generation
KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏

「AERA STYLE MAGAZINE」編集長の山本晃弘氏が、さまざまな世代のファション二スタと語る新連載「Over The Generation」。記念すべき第一回目となる今回は、洒落者たちから高い支持を得る「KAPTAIN SUNSHINE(キャプテン サンシャイン)」デザイナーの児島晋輔氏がお相手。同ブランドの魅力から、今のファッションシーンにおける流行までざっくばらんに語り合います。

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KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏

山本先日、ブランド40周年を迎えた「バナナ リパブリック」の本社をサンフランシスコで取材してきたんですよ。普段は見ることができないような、80〜90年代のカタログやアーカイブ商品など、いろいろと見てきました。いきなりこんな話からスタートしてしまいましたが、以前『AERA STYLE MAGAZINE』に児島さんにご登場いただいた時に、バナリパのカタログを紹介されていたなと思い出して。あの時代をリアルタイムで体験していないのに、貴重な資料をよく持っているなぁと。

児島もともと古着が好きだったんですよね。特にアメリカもの。古着には、ハンティングのための服だったり、フィッシッングのための服だったり、複雑なディテールを持つものが多くあります。それこそ”ディテールマジック”ではないですが、どんどん引き込まれていきましたね。

山本例えばそういった古いカタログのような資料は、どこで”仕入れ”ていますか?

児島最近は海外も含めて、ネットを通じて探すことが多いですね。以前は古着屋でもよく見かけましたが。

山本カタログでいうとね、通販ブランドの大手「ランズエンド」のアメリカ本社にも取材に行ったことがあります。その時に、メンズクロージングの担当者がTAKE IVY(※1965年に日本で発行された写真集。その後アメリカで英語版も出版されたアイビースタイルの教科書的存在)を持ってきたんです。その表紙をめくると石津祥介(ファッションデザイナー。VAN創業者である石津謙介氏の長男)さんのサインがありました。そして、「日本人の方がアメリカのファッションに敬意を持っている」と言ったんです。これは今日ぜひ児島さんに聞いて見ようと思っていたことなんですが、日本人の方がアメリカのファッションに詳しいということを率直にどう感じているのかなと。児島さんが手掛けているキャプテン サンシャインはまさにその代表というか、アメリカンヴィンテージがベースにあるブランドですからね。

児島そう言われると恐縮なんですが(笑)。それこそVANをはじめとする偉大な先輩方が脈々とつないできた、日本のファッションにおける一つの”文化”だと思いますね。例えばリーバイスが高騰しているのも、日本がきっかけだと思いますし。

山本ジーンズしかり、スニーカーしかり、ね。

児島日本の古着バイヤーの熱心さを表す逸話に、廃業したアメリカの炭鉱に入って、ジーンズをたくさん持ち帰ったバイヤーの話があるくらいですから。

山本そう考えると50年以上前から、”日本のアメカジ”は独自の進化をしてきたと言えますね。

児島アメリカで開催されるファッションの合同展示会に出展をしたことが無いですが、僕らのほうが真面目に“アメリカもの”を追い求めてきたと思っています。最近アメリカのローカルブランドはオリジナリティが溢れていると感じます。彼らは、ラギッドなアウターにスキニーなデニムパンツなどを合わせたりするんです。アメカジやトラッドを自由に解釈しているのは、逆に新鮮で勉強になります。

山本日本人だとチノパンを合わせますよね(笑)。

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KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏

児島例えば、SHIPSでも取り扱っていただいているセットアップのスーツ。グレーのフランネルを使っているんですが、その色の濃度をどういう具合にするのか、そういったところは意識しながらやっていますね。今季であれば、英国の伝統的なテーラードを感じるような色、柄、ディテールなどをヴィンテージウェアや先ほど話した古いカタログなんかを参考にしながら突き詰めてやっていますね。

山本実は今日、児島さんに会う前に”予習”をしようと思って、SHIPS渋谷店に寄ってきたんです。そこで店員さんと話していて、面白いなあと思ったのは、キャプテン サンシャインには若いファンも多いということ。ジャケットやアウターなどを、「少し高くてもいいものを」という感じで買っていく方が多いそうです。ご自身では、ブランドのターゲットというのは明確に設定されていますか?

児島僕が今42歳なんですが、やっぱり同世代から「かっこいい」と言われるような服を作りたいというのはブランドを立ち上げてからずっと思ってますね。今では、若い方から僕よりも上の世代までいろんな年齢層の方が買ってくださっていて、とてもありがたいと感じています。

山本若い方々は、アメカジというものを児島さんのブランドで”お勉強”しているのかもしれないですね。

児島先日、アメリカで育った二十歳の再従兄弟が展示会に来たんですが、質問責めされました。「この部分はどうやってできているの」「このボタンは何のためについてるの」と(笑)。ストリートファッションやセレブカルチャーにはかなり詳しいんですが、服がどういう風にできているかというところまではわからないですから。若い層がファッションに興味を持つきっかけになっているのであれば、とても嬉しいですね。

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KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏

山本今はビジネスウェアのカジュアル化がどんどん進んでいて、セットアップのスーツにスニーカーで働く方も増えています。キャプテン サンシャインは、そういった方々からの支持も高そうです。

児島特にSHIPSはビジネスマンというか、働く人の日常着といった分野に強いですよね。今季は梳毛のコートを別注で作らせていただいたんですが、スーツ派もセットアップ派も、どちらでも違和感なく着ていただけるデザインに落ち着きました。SHIPSのバイヤーさんもそういった層のお客様を大事にしていらっしゃるんだなと感じましたね。

山本キャプテン サンシャインは、日本だけでなくアジアのお客さんも多いですよね。

児島これはすごくありがたいと思っています。韓国のディーラーさんから話を聞くと、日本のブランドはとても人気があるそうです。ブランドが提示するスタイルも、クオリティも評価されているといいます。キャプテン サンシャインは幸いにして生地からこだわって作り込める体制がありますので、そういったところで、アジアのお客様もついて来ているのかなと。

山本生地も縫製も第一級、トレンド感もバッチリ。だから、本当の服好きやファッション好きからの支持も高いんだと思いますよ。これからますます人気になるでしょうね。

児島まずは同世代の方々にいいなと思ってもらえるように、それがいろんなところに枝分かれして、ファッションの裾野を広げることになれば最高ですね。

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「今季SHIPSで取り扱うアイテム」

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    リバーシブルで着用できるコートは、ゆとりのあるシルエットでトレンドを強く感じさせる一着。柄面は、アルパカ混ウールで、立体感のあるチェックを表現。無地の面はキッドモヘヤをミックスしたウールで、暖かみある独特な風合いが魅力です。毎日でも着たくなる両A面コート。

    コート ¥110,000(+tax) / KAPTAINE SUNSHINE

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    ブランドとしては定番人気のトラベラーコートをベースに、今回SHIPSはスーパー100'Sの二重織りメルトン素材で別注。美しいAラインを描くシルエット、上品なウールによるエレガントな生地感など、キャプテン サンシャインの魅力がこの一着に詰まっています。オンオフ兼用で着られるのも嬉しいポイント。

    コート ¥67,000(+tax) / KAPTAINE SUNSHINE ×SHIPS

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KAPTAIN SUNSHINE デザイナー児島晋輔氏 × AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘氏

    上のコートと同じ素材を使ったジャケット。アームホール、ボディ共にゆったりとデザインされ、旬なシルエットを堪能できます。袖付けは前振りの効いたクラシカルな仕立て。共地のパンツも揃うので、セットアップでの着用もオススメです。

    ジャケット ¥49,000(+tax) / KAPTAINE SUNSHINE

児島晋輔 | Shinsuke Kojima

KAPTAIN SUNSHINE デザイナー

男性ファッション誌の編集者を経て、Waste (twice) のデザイナーとして活躍。2013年にKAPTAIN SUNSHINEを立ち上げると、瞬く間に洒落者たちの間で話題に。トラディショナルで普遍的な服をベースに、生地からこだわった服作りを行っている。

山本晃弘 | Teruhiro Yamamoto

AERA STYLE MAGAZINE編集長

MEN’S CLUB、GQ JAPANなどを経て、2008年より現職。最先端モードから服飾史に至るまで、ファッションに関するあらゆる見識を備えた“目利き”としても知られている。現在は、トークショーやイベントなどを通して、装いやファッションに関する素朴な疑問に答えるアドバイザーとしても活動。初の執筆書「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」を3月16日に出版したばかり。

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