毎日を心地よく生きる人のライフスタイルカタログ 〜vol.5 フラワーデザイナー 秋貞美際〜 毎日を心地よく生きる人のライフスタイルカタログ 〜vol.5 フラワーデザイナー 秋貞美際〜

毎日を心地よく生きる人のライフスタイルカタログ 〜vol.5 フラワーデザイナー 秋貞美際〜

「眺めのいい日々と、いごこちのいい服」を提案するSHIPS Daysでは、一日一日を丁寧に生きている人たちのライフスタイルにスポットを当てた連載をお届けしています。第5弾は、大手企業の秘書を辞めてパリの有名フローリストに師事し、この春千駄ヶ谷にフラワーショップ『migiwa』をオープンしたばかりの秋貞美際さんが登場!

毎日を心地よく生きる人のライフスタイルカタログ 〜vol.5 フラワーデザイナー 秋貞美際〜
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大手IT企業の秘書からフラワーデザイナーへ転身という、異色の経歴を持つ秋貞さん。業務の一環で手配した贈り花のデザインに疑問を持ったことがきっかけで、以前から模索していた「自分らしい働き方」を実現すべく、フラワーデザイナーの道を歩む決断をしました。 憧れのフローリストに師事するために単身パリに渡るなど、「好き」と思ったら突き進む抜群の行動力が秋貞さんの魅力。そんな彼女の人生の核となっている5つのキーワードをもとに、自分らしく生きるためのヒントを探りました。

毎日を心地よく生きる人のライフスタイルカタログ 〜vol.5 フラワーデザイナー 秋貞美際〜
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人生を変えた、心から好きだと思えるものとの出会い

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物心ついたときから、花が身近にある生活をしていました。家の中にはいつも生花が飾られていて、庭には季節の花々が咲いていて。でも「花が好き」という意識は特になく、就職先に選んだのもIT企業でした。

花と向き合うようになったのは20代後半の頃。秘書の仕事はやりがいがありましたが、99点でも101点でも許されない、常に100点満点でなければいけない働き方に、いつしか「もっと自分らしく働きたい」という思いが募るようになりました。そんな中、仕事で手配する贈り花のデザインに疑問を抱くようになって。素人の私が見ても全然素敵じゃないけど、どの花を抜いて何を足せば素敵になるのかがわからなくて。それでもっと細かにオーダーができるように花の勉強を始めたんです。

花に触れていると、手先に花びらの質感を感じたり、不要な葉を取ったときにみずみずしい香りがふわっと漂ったり、五感が研ぎ澄まされていく新鮮さを感じました。気持ちが沈んでいるときや何かをするのが面倒なときも、一旦花の世話をすると、心が浄化されて気持ちよく次に進めるんです。心から好きだと思えるものがあまりなかった私ですが、「花を仕事にしたい」という思いに迷いはありませんでした。

パリでの修行を経て、フリーのフラワーデザイナーへ

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誰のもとでフラワーデザイナーの第一歩をスタートさせるか考えていたとき、素敵だと思って集めていた花の画像が、全部あるひとつのお花屋さんのものだと気づきました。それがパリの有名店『Rose bud』。さっそく問い合わせたら研修生の受け入れは1年半先まで埋まっていると言われたので、席が空くまでの土台づくりとして、Rose budのオーナーであるヴァンソン・レサール氏やパリで活躍するフラワーデザイナー斉藤由美さんと一緒に働いていた日本人の先生のもとで修行を積むことに。会社勤めのかたわら週2日だけ働き、その間にはパリに出向いてRose budでレッスンを受けたりもしながら、2013年の冬にようやくパリに行けることになりました。

ヴァンソンは穏やかで素敵なフローリスト。花をつくるときはいつも陽気な鼻歌を歌い、晴天の日には「光のきれいな日だね」と微笑むような豊かな感性の持ち主でした。ブーケをつくるときは、花だけでなく葉物や曲線がきれいな枝を使う。色も混ぜ合わせるのではなく、メインカラーを決めて他の色を多用しない。メインの花を決めたら、その花が持つ色を分解して組み合わせる花を選ぶのがヴァンソンのルール。そのポリシーは私のベースになっています。

パリでの修行は1年間。帰国後はフフラワーデザイナーとして独立し、レストランやイベントの装花、ギフトフラワーの制作、店舗の空間コーディネートなどを担当させていただいています。そしてこの春、千駄ヶ谷に自分のお店を持つことができました。通年ある花ではなく、その季節にしかない花だけを厳選して仕入れ、季節の移ろいを感じられるようなお店にしています。

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伊万里焼のオリジナル花瓶を制作

花瓶は花の魅力を引き出す重要なもの。でも、気に入るデザインで、かつ活けやすい花瓶を見つけるのってすごく難しいんです。そもそもどこに売っているのかもよくわからないし、初心者の方からは「どんな花瓶が便利なのか見当もつかない」という声もよく聞いていました。

お花1本でも小さなブーケでも飾れるサイズで、さっと入れるだけで様になる。さらに、お花を活けていないときでも、インテリアになるようなデザインの花瓶。そう考えたとき第一に頭に浮かんだのが、伊万里焼の窯元である畑萬陶苑さんの5代目・畑石修嗣さんの器でした。畑石さんとは同じ料理イベントに携わらせてもらったことがあり、それがきっかけで彼の作る器のファンになったんです。

なので、素敵な花瓶ができあがるだろうとは思っていたのですが、実際に完成した花瓶は本当に使い勝手が良く、佇まいもまさに理想の雰囲気。販売するたびに完売する人気アイテムになりました。

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花を飾るときのコツ

家に花を飾りたいと思ったとき、気に入る花瓶探しから始めると苦戦します(笑)。まずは100円ショップや雑貨屋さんのグラスでいいので買ってみてください。しっかりと重さがあって口が広がっていない、底が平らなものだと生けやすいです。グラスを買ったその足でお花屋さんに行って、「これに生けたいので合う長さに切ってください」と言えばOK。実際に飾ってみてから、飾りたい花の好みに合う花瓶を探っていくのがおすすめです。

花を買うときは、「いつ入荷したものですか?」と聞いて見てもいいと思います。市場が開いているのは月・水・金なので、仕入れたばかりの花のほうが長く楽しめるのは言うまでもありません。花が開ききっていない新鮮なものを選んで、できるだけ毎日水を替えて、きれいな時期を長く楽しんでくださいね。

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第二の故郷、パリ

フランス語もろくにできないままパリに渡りましたが、ヴァンソンをはじめ、出会う人はみんな大らかな人柄で、パリでの生活がすぐに大好きに。仕事はもちろん一生懸命やるのですが、太陽が出ているときはお店の前に出てランチやコーヒーブレイクを楽しんだり、ご近所さんたちとコミュニケーションをとったり。フランスで暮らす人たちは、メリハリをつけながら1日を楽しむ、生活を楽しむ達人ばかりでした。「仕事と生活を分断するのではなく、すべて自分の人生の時間なんだ」と気づかせてくれました。

私にとってパリは第二の故郷のような場所で、仕事が空いたときには帰りたくなる場所です。パリで暮らすみんなとは、SNSでお互いに近況をチェックし合ったりしています。

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色は、自分の魅力やパワーを引き出してくれるもの

20代の頃はモノトーンや流行色ばかり着ていましたが、年を重ねるにつれて「自分に似合う色」や「身のまわりに置きたい色」を意識するようになりました。ネイルは短い爪に気持ちが上がる赤と決めていて、最近は元気をくれる黄色もお気に入り。今日着ている黄色の服は、お店のユニフォームです。仕入れや作業をするときは汚れてもいい服を着がちなので、その上からさっと羽織れてかわいいワークコートならぬ「ワークドレス」があったら素敵だなと思い、仕事でお世話になっているお客さまに作ってもらいました。

男性のお客さまが贈りものの花を探しにいらっしゃったときは、贈る相手の方が持っている小物の色を聞くようにしています。いつも着ている服の色=好きな色だと思っている方が多いのですが、無難な色を身につけているというケースもあるので、小物に着目するのがいちばん。最近は、色と香りで心身のケアをするカラーアロマの勉強も始めたので、色が持つ力についてもっと深く知っていきたいと思っています。

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店内を彩る、友達が描いてくれた2枚の絵画

飾るだけで部屋の雰囲気が変わる絵画。お店に飾る絵は、花と調和しながらも新しい表情を見せてくれる、そしてパワーがある絵がいい。そう思って、作風が大好きな友人2人の絵を飾っています。それぞれテイストはまったく異なるのですが、私の空間を作り上げる上で欠かせない存在。

女性の絵が描かれたほうはHARUKAさんの作品。私の夫が誕生日に内緒でオーダーしてくれたもので、私をイメージして春夏秋冬の草花を作品に組み込んでくれました。一面に花が描かれた絵は、パリ在住の守山友一朗さんの作品。店内がパッと明るくなる色使いは、見ているだけで幸せになります。絵だけでなく、テーブル・什器・照明なども友達や家族がつくってくれたり、見立ててくれたものばかり。大切な人たちの手が入ったものたちでできている空間は、ブランド品よりもとても贅沢で、何より居心地がいいんです。

毎日を心地よく生きる人のライフスタイルカタログ 〜vol.5 フラワーデザイナー 秋貞美際〜
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秋貞さんが気になるSHIPS Daysアイテム

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ナチュラルな風合いのリネンエプロン。胸もとのメッセージが遊び心満点。
エプロン 各¥8,500(+tax)/R&D.M.Co-BUY

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エプロンとおそろいのリネントートは、ちょっとしたお出かけに重宝。
トートバッグ 各¥9,000(+tax)/R&D.M.Co-BUY

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厚手でなめらかな肌触りのリネンタオル。長く愛用したくなる上質さはギフトにも◎。
ハンドタオル 各¥5,400(+tax)/R&D.M.Co-BUY

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2008年にIT企業に新卒入社し、広告営業を経て秘書室に配属。手配する贈り花のデザインに疑問を持ち、沸々と沸き起こる花への想いからフラワー業界への転身を決断。ヴァンソン・レサール氏がオーナーを務めるパリの花屋『Rose bud』の研修生になるため、同氏のもとで経験を積んだ『ラフィネ・レ・フルール』主宰の金山幸恵氏のもとで修行を積み、2013年12月渡仏。『Rose bud』での研修後、2015年に帰国してフローリストとして独立し、2018年3月には千駄ヶ谷に自身の店『migiwa』をオープン。

Instagram: @jardin_de_muguet
HP: https://migiwao.com

『migiwa』
〒106-0045 東京都港区麻布十番1-4-8麻布永坂ビル1F odeons内
ACCESS 大江戸線 麻布十番駅7番出口より徒歩1分
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