2018年1月にパシフィコ横浜で開催された「第23回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」にて、SHIPS 有楽町店の椛澤 翔さんが大賞を受賞。コンテストや接客の極意について話を聞きました。
接客ロールプレイングコンテストとは、役者さんがお客さまを演じ、その接客対応を審査する大会のこと。大小さまざまな大会があるなかで、「SC接客ロールプレイングコンテスト」は参加総数10,000人以上と日本最大規模を誇る。まずは、一般的にあまり馴染みのないロールプレイングコンテスト、略してロープレについてのお話から。
喜びのあとに、重い責任を感じました
ーー全国大会は何名くらいで競われたのですか?
椛澤 北海道〜九州・沖縄の各SC(ショッピングセンター)による大会、そこからさらに支部大会を勝ち上がった30名です。
ーー日本一の称号はどんなものでもすごいなと思うのですが、大賞を受賞された感想を教えてください。
椛澤 喜びのあとに、重い責任を感じました。その名に恥じぬようにしなくてはと、気が抜けないですね。
ーー最初から日本一を目指されて出場されたのですか?
椛澤 目指しました。目指さないと獲れない大会だと思います。とくに決勝まで残られている方々はとても優秀ですし、心意気や取り組み方が違うんです。
ーーそうなると準備もいろいろされたんですね。
椛澤 SHIPSでもありますが、大会に向けてディベロッパーさまが用意してくれる研修が何日間かあって。そこでは、ハンガーの持ち方、立ち姿、手の差し出し方なども教えていただきました。また、過去の大会の映像も穴が開くほど見ました。
ーーさすがにそこまでしないと難しい大会なんですね。コンテストで勝つためには普段の接客と違う部分もあるのですか?
椛澤 基本的なことは変わらないです。でも、コンテストは会場も広く舞台の上で行うので、普段よりも少しオーバーにやったりはします。
ーー舞台の上での接客は緊張しますか?
椛澤 肌荒れするくらい、めちゃくちゃ緊張しますね(笑)
大会に出ることで自分が成長できる
ーー決勝はどんなシチュエーションだったのでしょう。
椛澤 ニーズがないお客様で。探している商品もなく、何かあれば買いたいという人が来てしまって・・・。
ーーうわっ、それは大変ですね。どう対応されたんですか?
椛澤 こちらでニーズを作るしかないので、会話をしながらいろいろ聞き出していきます。普通は会話の途中で「実はこんなものを探している」となるんですけど、今回は「いや、とくに・・・」という一番ヒヤッとする返答で。店舗ではよくあることですが、大会なので焦りました。
ーー聞いているだけで冷や汗が出ますね(笑)。大会ではどんな点が評価されたのですか?
椛澤 大会のテーマが「またこの人に接客してもらいたい」、「感動を与える」だったんです。審査の方々には、「接客スタイルは王道」だと評価されました。親切丁寧に、お客さんのニーズを汲み取ったところが評価されたんじゃないかと思っています。
ーーロールプレイングコンテストは、商業施設が中心となってよく行われていますよね? 販売の方々にとってどんな位置づけなのでしょう。
椛澤 正直に言ってしまえば、やりたくないことのナンバー1だと思います。同業者が大勢いるなかでやるのは恥ずかしさもありますし。でも、賞をいただいたからではなく、僕個人としては絶対に出たほうがいいと思っています。というのも、大会に出るにあたって自分の接客についてあれほど向き合う機会はないですから。そして、普段の接客がよくなると思います。あくまでも本番のための練習ですから。
接客は相手の心情を汲み取ることが大事
ーーなるほど。実際、店舗で決勝のときのような、とくに探している商品も購入する気もあまりないお客さんが来られたらどう対応されるのですか。
椛澤 無理強いはしないですよ。今はネットでも購入できますし、そんな時代にお店に足を運んでいただいたわけですから。たわいもない会話や、商品の話をして、「また来るよ」でいいと思うんです。何かしらお店に来て良かったなと思っていただければ。
ーー時代がいろいろ変わってますよね。やはりお客さんのニーズは変わっていますか?
椛澤 よりパーソナルなものを探される傾向になっていますね。かつてはトレンドの商品を薦める傾向もありましたが、最近は「私に似合うもの」を求めていらっしゃるので。そのなかでトレンドのエッセンスがあることが重要なのかなと思います。また、そのお洋服を着て周りの人や友人、職場の人に褒めてもらいたいというような承認欲求は高まっている気がします。
ーーそうなると会話がすごく重要になりますね。
椛澤 そうですね。ネットでは味わえない部分でもあると思います。
ーー若い世代の方たちは、また違った動きがあったりしますか?
椛澤 スマホを見ながら商品を見ている方が多いですね。弊社のオンラインショップと照らし合わせながら確認して、試着されても購入するのはECサイトだったり。
ーーその場合、どんな会話をされるんですか?
椛澤 「何かご覧になって来られました?」「オンライン見られました? ありがとうございます」。といったお声がけをすることが多いですね。商品情報に関しては、もしかすると僕たちよりも詳しい場合もあるので、より一層お話をするのが重要です。
ーーでも、店員さんと会話をしたくない人って意外と多いですよね。
椛澤 引き際も大事ですよね(笑)。でも、一度お話をするとすごく喋っていただける方もいるので、雰囲気や見た目で決めつけるのもよくなかったりします。
ーーそう考えると、接客は経験がものを言うんですね。
椛澤 経験もありますけど。相手の心情を汲み取ることが大事だと思います。
ーー椛澤さんが接客において大事にしている点はどこでしょう。
椛澤 安心感を持っていただくこと、そしてその方にできるだけ寄り添って接客することです。
ーーでは、最後に販売員をしていて楽しいところはどこですか?
椛澤 いろいろな方と出会えるところですかね。そして、「ありがとう」や「また来ます」と言われるのが一番嬉しいですね。誰かの生活の一部に携われるのが、販売員の魅力じゃないかなと思います。
ーー改めて、日本一おめでとうございます。今日はありがとうございました。
PROFILE
2011年2月SHIPS 池袋パルコ店にアルバイト入社。2012年9月に正社員として有楽町店(ウィメンズフロア担当)、たまプラーザテラス店(メンズフロア担当)を経て、現在は有楽町店のメンズフロアスタッフとして勤務。
2015年 たまプラーザテラス 第3回 テラスマインドアップ選手権 審査員特別賞
2016年 第5回丸の内接客ロールプレイングコンテスト 優秀賞
第22回SC?接客?ロールプレイングコンテスト東京大会 審査員特別賞
2017年 第6回丸の内接客ロールプレイングコンテスト 優勝
第23回SC?接客?ロールプレイングコンテスト東京大会 優勝
第23回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会 大賞