「ViVi」や「ヒルナンデス」で大人気のあの人にインタビュー!  スタイリスト知念美加子さんのロンドン滞在記 「ViVi」や「ヒルナンデス」で大人気のあの人にインタビュー!  スタイリスト知念美加子さんのロンドン滞在記

「ViVi」や「ヒルナンデス」で大人気のあの人にインタビュー!
スタイリスト知念美加子さんのロンドン滞在記

雑誌「ViVi」を中心に活躍する?気スタイリスト、知念美加子さんが、昨年3ヶ月間のロンドン留学を終えて帰国。滞在中は、世界的ファッションデザイナーを多く輩出している名門校セントマーチンでショートコースを受講。知念さんのファッションにも多大な影響を与えたとされるロンドンでの体験談を、写真とあわせてたっぷりお聞きしました!  

二十歳の時にワーキングホリデーでオーストラリアに行ったことがあるんですが、その時、思っていた以上に英語がしゃべれなくて心残りだったのもあったし、ホストマザーに「イギリス英語を学びなさい」って言われていたんです。それでワーホリから帰国した時にもう一度留学したいと思って、その時は絶対にロンドンに行くって決めていました。
でもすぐにスタイリストのアシスタントについて忙しくなってしまったので、行くチャンスがなかなかなかったんです。だけどどうしても行かなきゃ気が済まなくなって、発つ日だけ決めておきました。さすがに30歳前には行く! と決意して。

16年の6月末から10月あたままでの約3ヶ月間留学していたんですが、学校にはその半分の1ヶ月半くらい通いました。ロンドンにあるセントマーチンという学校で、ちょうど夏休み期間で夏期講習のようなコースがあったんです。100通りくらいあるコースの中から自分に合ったものを選んで受講しました。
はじめにドローイングの授業があったんですけど、デザイン画を描くのかと思ったらデッサンというか絵画で、すごく型破りで自由なんです。ちゃんときれいに描くことよりも、自由に表現することを重視していて。そのドローイングの授業が一番おもしろかったですね。日本にいたら捉われていたような固定概念のようなものが取り払われた感じがしました。もともと絵を描くことが苦手だったんですけど、楽しいと思えたんです。絵に向き合うスタンスがガラっと変わりましたね。今でも時々絵を描きたくなるほど。

ドローイングクラス4日目の作品

学校のランチはここで

ドローイングのクラスメイトと先生と

スタイリングの授業が2週間ほどありました。8人ずつの2チームに分かれて雑誌を作るような流れで、私にしてみたら仕事と似てる感じでしたが、日本との違いについてや、スタイリングを教えるってどういうことなんだろう? という興味がありました。正解がないじゃないですか。スタイリングもアートも。
国も感性も違う人たちが集まって、2週間かけて作品をひとつにまとめ上げて行きました。まず打ち合わせから入り、マップを作ってモデルを決めてロケハンして、撮影をして、最終的にレイアウトまでやりました。スタイリングというよりはエディトリアルですね。講師は向こうの現役のスタイリストでした。モデルは現地のエージェントに頼んで、服は自分たちで買いに行ったり私物を使ったりして。チームのメンバーが国際色豊かなのでぶつかり合いもありましたけど、私が考えつかないような発想が出たりしておもしろかったですね。

スタイリングクラスの作品

スタイリングコースのクラスメイトと先生

クラスメイトと作品撮りしたもの

スクールではファッションについて勉強するというより、ファッションと向き合う姿勢というものを学びました。やっぱり自由なんだって。日本のファッション誌の仕事って、読者やトレンドに捉われがちじゃないですか。そういう枠を飛び越えた気がします。自分の着る服も変わったし、考え方や見え方、感性が変わりましたね。保守的な考えや迷いがなくなりました。もともとシンプルな中にエッジを加えるというのが自分のスタイルとしてあったんですが、それが確立された感じ。“ちょっと変”が好きで、“普通”が嫌になった。それが一番大きな変化ですね。

向こうには靴だけ持って行って、服はほとんど現地で調達しました。ロンドンは古着屋が多いですね。そしてとにかく派手! 柄×柄みたいな。ざっくり分けると古着系スタイルと、スタイリッシュなシンプルスタイルが多かったです。個人的には、今までの自分にはないカラフルな古着を着こなしている人に魅力を感じました。

お気に入りのヴィンテージショップ

フラっと入ったおしゃれなカフェ

家具屋の奥で見つけたヴィンテージショップ

はい。渡英したばかりの頃の私服と、帰国する頃の私服を見比べてみるとそれがよくわかります。特に影響を受けたのは古着屋さんかな。ロンドンの古着屋を回っている時に、今までだったら着ないような服ばかり手に取ってたんですよ。ロンドンでは人と違うものがおしゃれなんです。「かわいい」と思うものが変わりましたね。

全身ロンドンで購入したアイテム! 日本だとやっていないだろうコーデ。
完全にロンドンの空気感に影響されてます。笑

ロンドンのヴィンテージショップで買ったもの。
黒小物で締めて大人レトロに。

ヴィンテージのロックTとヒョウ柄スカート。
ロンドンだとシンプルな方かも。

コレクションを見て欲しくなって、迷子になりながら探し回った
ドリスヴァンノッテンのヒョウ柄パンツは思い出たっぷり。笑

帰国後は私のスタイリングがどんな風に変わったのか、みんな恐る恐る仕事を振ってくれていたと思います。ロンドンに行って、空気感や自分の気分でスタイリングが変わるのがわかったので、早く東京に慣れたかったですね。留学前は日本でのスタイリングに飽きていたんですが、帰国したら日本のファッションが新鮮に感じたんです。東京の空気も感じつつ、ロンドンの空気感も取り入れながらスタイリングを組むようになりました。

作品撮りのために派手服をたくさん購入

ロンドンではスニーカーがメイン

ロンドンで買った私服

もともとはロンドンで頼る人がいなかったんですが、友達に現地の友達を紹介してもらいました。その人はよく日本に来ることがあったので、お互いの家を貸し合うことになったんです。
向こうでは自炊するようになって、日本にいた時よりも野菜を食べることも増えました。毎週末に行っていたマーケットは楽しかったですね。 いろんな国の友達もできました。今でもSNSで連絡を取り合っているんですが、この前は台湾の友達が日本に遊びに来てくれました。 ロンドンへは語学留学というより、リフレッシュとファッションの勉強が目的で行ったので、普通に生活できたし楽しめました。授業も英語だし、日本人が少なかったので必然的に英語を使っていましたね。
学校以外の時間は友達と買い物に行ったり、課題をやったり。3ヶ月のうちの残りの1ヶ月半はバケーションと作品撮り、フェスにも行きました。後半はスペインとイタリアに旅行したんですが、もっといろんな国に行きたかったですね。

ロンドンの友達カップル。寿司ハチマキもオシャレ!

画材を買った帰りに公園で休憩 

ファッションウィークで、名物おじさんを発見

ロンドンの友達と

フェスでピンクかぶり!

早いですね。東京は時間の流れが早い! それはわかってて、自分の中で流されないように気をつけようって思っているんです。ロンドンの感覚を残したくて。だから仕事も、留学前ほどガツガツやらずに、自分のペースを大事にしながらやっているつもりなんですが、気づいたら東京に呑まれてる!みたいな。そういう時は深呼吸するようにしています。焦っている状態が続くと危ないけど、気づければ大丈夫。人生に何を懸けて生きるか。何に重きを置いて生きるかというのが変わった気がします。

もともとは「将来楽しく生きるために今頑張ろう、がむしゃらにやろう」っていう意識だったけど、ロンドンに行ってからは、がむしゃらになりながらも、楽しんでやった方が絶対に得だなと思ったんです。だから“がむしゃら”の容量を減らして、“楽しい”を増やして、なおかつ将来をもっと楽しくできたらいいなって。人生を“楽しい”でどれだけ埋め尽くされるか、みたいな。楽しくないことはやらないようにしてます。スタイリングを組むことが私の仕事なのに、それを周りからコントロールされることがあるじゃないですか。そういう時でも自分の考えをきちんと伝えます。自分が納得できない・楽しくない仕事はしないようになりましたね。その代わり、じゃあどうしたら楽しくなるかっていう術を探すことは増えました。要は自分のマインドをどうコントロールするか。

はい、だいぶ楽しめてますね。自由度が高くなって、今はストレスに感じることがないかもしれません。
仕事上ファッションについてアドバイスを求められることが多く、みんな悩みありきで聞いてくるんですけど、そんなに考えすぎなくていいんじゃないって思うんです。そもそもおしゃれをすることって楽しみのひとつなのに、それについて悩んでいるのって真逆じゃないかなって。まず自分が楽しいと思うファッションをしてほしいです。それが前提にあって、それから自分の好きなものや似合うものがわかってくるはずだし、そこにプライドができると“おしゃれ”に変わってくると思うんです。自分の好きなものを堂々と着ている姿ってかっこいいし、周りから見てもおしゃれに見えるもの。おしゃれって人が決めるものじゃなく、自分が満足していないと成り立たないから。それでも悩みが出てきたら助けになりたいし、導いてあげることが私にできることであり、仕事だと思っています。

パジャマルックっぽく、全体的にゆるい感じにまとめました。足元もフラットサンダルでリラックスムードに。アクセサリーはレザーのチョーカーと、シルバーリングを4つ。メガネもポイントです。

スタイリスト 知念美加子さん
沖縄県出身。ファッション誌「ViVi」を中心に、広告やカタログなどでスタイリングを手掛ける。またテレビ番組「ヒルナンデス」や雑誌に自身が登場するなど活動の場を広げている。2016年には自身初のファッションブック「STYLIST」を出版。
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