DEPTオーナーのeriさんが手掛けるデニムブランド  「BRANDNEWOLD(ブランニューオールド)」が始動! DEPTオーナーのeriさんが手掛けるデニムブランド  「BRANDNEWOLD(ブランニューオールド)」が始動!

DEPTオーナーのeriさんが手掛けるデニムブランド
「BRANDNEWOLD(ブランニューオールド)」が始動!

80年代から日本の古着シーンを牽引してきたDEPT。そのオーナーを父に持ち、自身もファッションブランドを立ち上げ、現在は新生DEPTのオーナーでもあるeriさん。そんな彼女が新たにデニムを軸としたブランド「BRANDNEWOLD(ブランニューオールド)」をスタートさせた。そこで今回はDEPTや古着への想いから、新ブランドについてまで、じっくりとお話を聞いた。

父の築いたDEPTは自分にとって大きな存在

??80年代生まれのeriさん。お父様の手掛けていたDEPTも80年代にスタートされていることから、DEPTと共に成長してきたとも言えると思います。DEPTはeriさんの目にはどのように映っていましたか?

DEPT=父親という感覚でした。DEPT自体が父自身を体現しているものだと思っているんです。
そもそもDEPTを始めた時は日本に古着屋自体が少なかったというのもあるんですが、父自身があまり表に出ない人だったし、そのスタイルというか、世間に対してのアプローチの仕方だったり、古着屋だけど「DEPT」という名前がブランドでもあったので、そういう打ち出し方も含め、彼にしかできないことをやっていたなと、子供の時から感じていました。
それを近くで見させてもらっていたので、今の自分のやっていることにもすごく通じているものがあります。父親の背中を見て育ったので、すごく大きな存在であったと思います。

??そんな古着にとても近い環境で育ったことは、自身にどんな影響を及ぼしましたか?

服は本当にほとんど古着を着ていたし、ほかはGAPやアニエス・ベー、エスプリなどの、シンプルなものを組み合わせていました。
会社の近くに大きな倉庫があって、父が毎週のように服を持ってきてくれていたんですけど、その古着を自分の好きなように組み合わせて着ていましたね。物心ついてからは自分で倉庫へ行って、数ある中から選んで着るようになっていました。高校生の頃なんかは、友達とどこかへ遊びに出かけるのではなく、DEPTの倉庫へ行っていましたね。テーマを決めて、それをもとにスタイリングを組んで見せ合う、みたいなことをして遊んでいました。

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古着には今ある既製服にはないおもしろさと付加価値がある

??羨ましい環境ですね。そうして子供の頃から長年親しんできた古着の魅力って何でしょうか?

古着って、今そこに残っていること時体に意味があるじゃないですか。例えば80年代の服でも、もうすでに30年が経っていて、それが100人の手に渡ったかもしれないし、1人の人がずっと持っていたかもしれない。どの道30年生き長らえて存在し続けていること自体が、まずおもしろいことだと思うんです。さらにそれを今の視点で編集し直して、今の服やジュエリーに合わせたりすることでまた新しく見えたり、おもしろく思えたりすることができるのは、今ある既製服にはないおもしろさであって付加価値だと思います。
ある程度愛されてきた服じゃないと古着として残らないじゃないですか。どこかで捨てられることを逃れてきたっていうのもすごいなって。そう思うと、多少ダサくても可愛いく思えてくるんですよね(笑)。古着って本当に不思議です。

??確かにそうですね。では2011年に一度クローズしたDEPTを、どんなヴィジョンのもと2015年にリオープンさせたのですか?

父親がやっていた時代というのは、多店舗展開をしていて店自体もそれぞれ大きくて、会社の規模も今よりずっと大きかったんです。それをずっと見てきたんですけど、自分が得意とすることや今の時代性を鑑みた時に、父親がやっていた感じでは合わないなと考えました。父がやっていたことをそのままやろうという気も全然なくて。ビジネスとしてのロールモデルとしてというより、姿勢だとかスピリット的な部分を受け継いでいると思うので、それで十分だと思いました。今の店舗でのセレクトは私が1点1点選んでいるので、大量に仕入れて大量に売っていた頃の時代とまずそこが大きな違いでしょうか。
DEPTのリオープン前に一度父と買い付けに行ったことがあるんですが、私が選んでいる横に父がいて、私が手に取ったものを見て「パパだったらそれ一番に捨ててるわ」とか言われて(笑)。父とは全然感覚が違うし、父が私に言ったのは「eriがパパにわかるようなものを選んだらおしまいだし、おもしろくない。パパがわからないことをやらないと意味がない」って。私も全く同じことを考えていたんですよね。
父とは普段あまり仕事に関してディスカッションするということは無いのですが、その中でも、2015年にしたこの会話は特に印象に残っていますね。

??学生時代から自身のブランドを立ち上げてきたeriさんですが、今回「BRANDNEWOLD」(以下「BNO」)設立に至った経緯は?

もともといくつか持っている自分のブランドは自社でやっているんですが、今回のように他社さんと一緒にやるというのは初めてなんです。簡単な経緯で言うと、サザビーさんの方でデニムのブランドを始めるというプロジェクトがあって、そこに私が後からジョインしたという形になります。
私自身これまで既製服は作っていたんですが、デニムってあまり自社では作ってきませんでした。なぜかというと、変わった服を作るようなブランドなので、デニムとなると少し毛色が違うように思えて作ろうと思わなかったんです。デニムって普遍的なアイテムだしみんなが日常的に手に取るものだと思いますが、私ってあまりみんなが触らないものが好きだったりするので、デニムはデニムとして置いていた感じだったんです。
だけど、たまたまデニム素材でカンフージャケットを作ったことがあるんですが、それがすごく反響が大きくて、自分的にもおもしろかったんですよね。
キャラクターの強いデザインにデニムを組み合わせると、とたんにお客様への間口が広がって、これは他の生地にはないパワーだな、と改めて体感したんです。
それに古着ではデニムを結構仕入れていたので、DEPTを始めた時に色んな年代のデニムにもっともっと触れるようになって、やっぱりみんなデニムが好きなんだなって思ったし、改めてデニムに目を向けるようになりました。
そうした心境の変化もあって、サザビーさんから「BNO」のお話をいただいた時に、私ならではの視点でほかの人が思い浮かばないアイディアを求められているんだろうなと感じました。それだったらみんなで楽しく出来るんじゃないかと思ってお受けることにしたんです。

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デニムは共通言語

??なるほど。では「BNO」のコンセプトや、イメージする女性像は?

まず作る時点で「古着になったらおもしろいかな」というのがありました。古着の既製服の中でも目を引く、異彩を放っているものがあるんですけど、それって作ってる側の意図がまだ服に残っていて、そういう服がやっぱり好きだなって思うし、自分もそういうものが作れたらいいなと思っています。
ただ「BNO」でデニムという素材で作るとなった時に、着地点として着られなきゃ意味がないと考えました。色んな方に見てもらった時に、「着られるな」、「可愛いな」って思われる範疇にはいたいわけです。だけど「ほかでは買えないな」、「デニムでこれはおもしろいな」といった「着たい」と「おもしろい」のちょうど間にいられるといいなと思っていて。スタンダードなストレートデニムみたいなものも作るし、ほかにないものも作っていくつもりです。
女性像としては色んな人をイメージしています。古着がそうであるように。デニムって共通言語じゃないですか。どこの国でもどんな体型の人でも穿いていて、ほかに匹敵するものがないんですよね。すごくおもしろい素材だなって思います。

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??本当にそうですね。今シーズンKhajuで取り扱うプロダクトの中でも象徴的なアイテムはありますか?

今回はプレコレクションで、本格的な立ち上がりが次の2018 SSからなんです。なので今回はデザインするというよりは、ベースとなるものを作りました。
一番最初に作ったのがストレートデニムです。自分が子供の時に穿いていた501(リーバイス?)があって、それをボディのサンプルとして持っていったんですけど、501で気になるところや直したいところをヒントにしながら、美しいシルエットの「BNO」的なストレートデニムを目指して作りました。
「BNO」を知ってもらう最初の入口としてはすごくわかりやすいし、自分たち的にもきれいに出来たと思える自信作なので、色んな方に試してもらいたいですね。
次のSSコレクションからはスタンダードプラス、驚きのあるデザインにも挑戦していくつもりです。

??ではeriさん流のデニムの着こなし方とは?

私はデニムに限らず、コーディネートの中で服を素材として捉えて組み合わせることが多いんです。例えばツルっとしたサテンのドレスにはマットな質感のものを合わせたり。なのでコーディネートする時に、ここにデニムの素材を合わせたらおもしろいなっていう感覚で取り入れます。
ドレスっぽいものに合わせることも多いですね。カジュアル一辺倒というのはなくて、ジュエリーをじゃらじゃら着けたり、Tシャツにデニムであっても、靴はドレッシーだったり。サテンやベルベット素材と合わせるのも好きです。
あとは作業着ですね。仕事は肉体労働が多いので、倉庫にいる時などに着ることが多いです。デニムのルーツと同じですね。

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??デニムを素材として捉える。読者の方にも参考になると思います。
本日はたくさんのお話を伺わせていただき、ありがとうございました!

LINEUP ITEMS eriさんが解説する、Khaju展開アイテム
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「リーバイス?の501をベースに再構築したストレートデニム。とにかく穿いた時の美しいシルエットにこだわって作った、BNOのスタンダードモデルとも言える1本です。」
パンツ¥18,000(+tax)/BRANDNEWOLD

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「コーデュロイのワイドシルエットで、ラップ風の重ねたデザインがポイントです。80’sのパンツをソースに作りました。」
パンツ¥27,000(+tax)/BRANDNEWOLD

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「特にアメリカの古着って大きなサイズが多くて、その大きい感じが可愛いなと思って作ったビッグサイズのウエスタンシャツ。前を開けてダラっと着ても、閉めて着ても◎。」
シャツ¥23,000(+tax)/BRANDNEWOLD

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「打掛のひもがあるので、ベルトで締めずにひもを結ぶだけで着ても可愛いです。ベルトをきゅっと締めてコート感覚でも着られます。」
ガウン¥38,000(+tax)/BRANDNEWOLD

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「ストレートデニムと同じ素材で作ってあるので、セットアップで着ると可愛いです。秋冬はざっくりしたニットに重ねるのもいいですね。ステッチも効いています。」
ビスチェ¥18,000(+tax)/BRANDNEWOLD

BRANDNEWOLD eriさんが解説する、Khaju展開アイテム 6

「丈が長いデニムを穿きたいけど裾を踏みたくない。だから丈は長く、後ろの裾を短く上げて作りました。切り替えの配色もポイント。ウエストと裾はカットオフ仕上げです。」
パンツ¥23,000(+tax)/BRANDNEWOLD

BRANDNEWOLD eriさんが解説する、Khaju展開アイテム 7

「スキニーを作ろうと思って、ウエスト部分をカットしたデザインにしました。なので少しロウウエストで、ドローコードを付けています。丈もちょっと短めに。」
パンツ¥25,000(+tax)/BRANDNEWOLD

eri

eriさん

1983年NY生まれ、東京育ち。1997年「立花ハジメとLow Powers」のボーカルとして活動。学生時代からヴィンテージワンオフブランド「CHICO」を手がけ、2004年にファッションブランド「mother」を設立。2012年にはジュエリーブランド「VTOPIA」をスタート。1980年に自身の父親が起業したヴィンテージショップ「DEPT」を2015年から再始動。2016年から新たにテーブルウェアブランド 「TOWA CERAMICS"」も開始させた。