ヘルシーに暮らす 後編   ?Presenter:ナチュラルフードマスター堤由起子? ヘルシーに暮らす 後編   ?Presenter:ナチュラルフードマスター堤由起子?

ヘルシーに暮らす 後編 
?Presenter:ナチュラルフードマスター堤由起子?

SHIPS Days主催のヨガイベントにご協力いただいているヨガインストラクターの磯さんと、玄米菜食について学ぶ『たまな教室』の講師である堤さんをゲストに迎え、身も心も健やかに暮らすための秘訣を探っていく本連載。後編はプレゼンター役を堤さんにバトンタッチし、『たまな教室』の特別講座を開いていただきました。テーマは「発酵」。旨みたっぷりの「醤油麹」づくりなどを通じて、発酵食の知られざるパワーについて学んできました!

発酵食と有機野菜にこだわるレストラン・たまな食堂に併設する『たまな教室』の講師として、発酵講座などを担当されている堤さん。今回は、発酵についての基礎知識を深める「座学」と、実際に醤油麹づくりを体験する「実習」の2部構成で講座を開いていただきました。

生徒役は、開放感あふれる屋上ヨガ、夜景を眺めながら行なうナイトヨガなど、いろんなシチュエーションでのヨガレッスンが人気のヨガインストラクター磯さん。発酵食づくりがマイブームという磯さんですが、醤油麹をつくるのは今回が初めてとのこと。さて、どんな醤油麹ができあがるのでしょうか?

左:ヨガインストラクター 磯沙緒里さん
右:ナチュラルフードマスター/『たまな食堂』スタッフ 堤由起子さん

食材の保存性を高めたり、旨みや栄養価をアップさせたりする目的で、微生物などの作用を活かして加工した食品のこと。日本人が古くから親しんできた食品に多く、醤油、味噌、酢、納豆、漬物などが挙げられます。

?おいしさがアップ!

発酵により、食材に含まれているでんぷんやタンパク質が分解されて、ブドウ糖(甘み)やアミノ酸(旨み)に変化。そのため、おいしさがぐっと増すというメカニズムです。

?栄養価がアップ!

でんぷんやタンパク質などの栄養素が分解されることで、栄養価アップにもつながります。大豆の例を見てみると…

同じ大豆が原料なのに、発酵食である納豆はどの栄養素も大幅に増えているのがわかります。特に、デトックス作用のあるカリウムは約5倍。美肌づくりに欠かせないビタミンB2・B6はなんと約18倍! 1日1パックずつ食べるととても健康的です。菌が強くお腹に負担がかかるので、食べすぎには注意しましょう。


?免疫力がアップ!

発酵菌の一種である納豆菌や乳酸菌が生きたまま腸に届くと、善玉菌を増やして悪玉菌を排除する働きをしてくれます。免疫力に関わる細胞の多くは小腸にいるとされているので、腸内環境を整えることが免疫力アップにつながるというわけです。

おすすめはヨーグルト。空腹時に食べると乳酸菌が胃酸に負けてしまうので、食中か食後が理想です。さらに人肌より少し高めの温度にあたためて(1食分あたり電子レンジ500Wで40秒くらい)ホットヨーグルトにすると、乳酸菌が活性化してさらに効果的!

?代謝がアップ!

代謝を高めるために欠かせない酵素ですが、体内の酵素の量は、実はDNAであらかじめ決まっています。発酵食には酵素が豊富に含まれていますから、発酵食を食べることで体内の酵素の働きを補うことができるんです。

?保存性がアップ!

食材が発酵するとさまざまな微生物が増殖します。その微生物たちが、腐敗の原因となる雑菌の増殖を防いでくれるため、食材は腐りにくくなり長期保存が可能に。まさに冷蔵庫のない時代に生きた人々の知恵ですね!

麹とは、米・麦・豆などの穀物を蒸し、麹菌を加えて繁殖させたもの。醤油、味噌、酢、みりんなどの調味料は、麹を使ってつくられる代表的な発酵食です。「生麹」と「乾燥麹」の2種類があり、麹のパワーをより実感するなら生麹がおすすめ。

麹を醤油に漬け込んで発酵させた調味料のこと。一時期ブームになった塩麹も発酵調味料のひとつですが、大豆が使われている醤油麹は、塩麹にくらべてグルタミン酸(旨み成分)が10倍にのぼるといわれています。煮物や炒め物、下味などに使うと、料理の旨みやコクが格段にアップ!醤油麹は、使う麹や醤油の種類によってさまざまな味に変化します。今回は5種類の醤油麹を食べくらべてみました。

今回つくるのは、試食してみて磯さんがいちばん気に入った、玄米麹を使った醤油麹。堤さんのレクチャーのもと、さっそく実践!

用意するもの

・玄米生麹(250g)
・天然醸造醤油(250cc)
・ボウル
・スプーン
・醤油麹を入れる密閉容器

手をきれいに洗い、ボウルに入れた生麹を手で混ぜます。こねるようにしながら手の熱を加えていくと◎。つくる人の手の菌によって味が変わってくるのが面白いところ。手に傷がある場合はビニール手袋をして混ぜましょう。

手で握ると固まるくらいまでしっとりしてきたら、醤油を入れてさらに手で混ぜます。

とろみがついてきたら、熱湯で10分間煮て煮沸した容器に醤油麹を移します。

直射日光を避け、常温で保存して発酵させます。寒い季節は2?3週間、夏場は1週間くらいが目安。1日1回、清潔なスプーンで下からかき混ぜて空気を入れ、腐敗の原因となる菌を追い出しましょう。フタの結露やフチについた醤油麹は、アルコールできれいに拭いてあげることが大切。

*失敗しないポイント*

・醤油は必ず天然のものを使いましょう。うまく発酵しない場合があります。


・室内の空気は常にきれいに! ホコリ、消臭剤・芳香剤、蚊取り線香などには特に注意を。

??磯さん、初めての醤油麹づくり、いかがでしたか?

磯:
楽しかったです! 発酵食づくりには以前からハマっていて、うちにはお味噌やお醤油の容器が並んでいるんですけど、新しい子が加わって嬉しいです(笑)

堤:
発酵食って、我が子みたいに愛着が湧きますよね(笑)。育て方次第で味が全然変わりますし。玄米麹の醤油麹は、絶対に磯さんのお好みに合うと思ってたんです!

磯:
祖母が玄米や発酵食にこだわる人で、子どもの頃から玄米を食べていたんです。白米よりずっしりこなくて好きなので、自分で料理をするようになってからもずっと玄米で。だから醤油麹も玄米がいちばんおいしく感じました。どんな食べ方がおすすめですか?

堤:
基本的にはお醤油と同じ使い方で、お豆腐や納豆にかけたり、煮物の味つけに使ったり、ごま油と混ぜてドレッシングにしたり。お肉やお魚の下味に使うときは、焼く前に麹を落としてあげると焦げません。あと個人的にイチオシなのが、お湯で割ってお吸い物風にする食べ方。醤油麹大さじ1杯をお湯150ccで割って、海苔や麩を入れるだけで、とってもまろやかなお吸い物ができますよ。

磯:
へぇ?! 簡単なのにいいですね! ぜひやってみます。

??健康に気をつかった食事って、慣れるまではなかなか大変だと思うんですけど、ビギナーでもすぐにできることがあれば教えてください。

堤:
食品の成分表示を必ずチェックすることでしょうか。化学調味料や着色料などの添加物が入っていない、原材料ができるだけシンプルなものを選ぶといいと思います。たとえばお醤油は、あの色を出すのに最低でも1年はかかるもの。値段の安いお醤油は素早く着色するためにカラメル色素を使っていたりします。「減塩」と謳われている食品も、塩を減らしても腐らないように別のものを入れている可能性がありますから、安易に飛びつかないようにしましょう。

磯:
神経質になりすぎないことも大事ですよね。

堤:
そうですね。普段から食事に気をつかっていれば、悪いものを体内から出す方法は知っているわけですから、お友達との外食もガマンしなくて大丈夫。次の日は自炊するようにするなど、ちょっとした心がけで体は十分変わります。

磯:
先生のインスタをいつも拝見してるんですけど、素材を活かした素敵なお料理をよくアップされていますよね! 器も盛りつけも素晴らしくて、勉強させていただいています(笑)

堤:
磯さんも器好きなんですよね! 私は特に骨董が大好きで、出先で出会うとついつい買ってしまいます(笑)

磯:
わかります、一期一会だと自分に言い聞かせて。発酵食も食器も場所をとるので、本格的に引越しを考えているところです(笑)

??おふたりとも、楽しみながら「食」と向き合っているところが素敵です! 前編・後編と2回にわたってお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

基本の発酵講座
(甘麹づくりにチャレンジ!)

2016年11月18日(金)11:00?14:00
2016年11月19日(土)11:00?14:00



応用の発酵講座
(リンゴ酢づくりにチャレンジ!)

2016年11月25日(金)11:00?14:00
2016年11月26日(土)11:00?14:00

※詳細や申込みは公式HPをご覧ください

たまな食堂・たまな教室

<Access>
〒107-0062 東京都港区南青山3-8-27 1F
東京メトロ「表参道駅」A3出口より徒歩5分

<Tel>
03-5775-3673

<Open>
昼 11:00?15:30(14:30LO)※土日祝は10:00開店
夜 18:00?22:30(21:30LO)
定休日なし

・全米ヨガアライアンスRYT200取得
(ヴィンヤサヨガ)
・クリパルヨガトレーニング ステージ1?3修了

幼少期よりバレエやマラソンを経験。長期的な体調管理方法を模索するなかでヨガに出会い、会社員の傍ら国内外の先生から多種類のヨガを学ぶ。現在はスタイルにとらわれずにヨガを楽しんでもらえるよう、さまざまなシチュエーションでのヨガを実践。ヨガコンテンツ監修や[sn]super.naturalアンバサダーなども担当。

・ナチュラルフードマスター
・スペシャルシードマイスター


玄米菜食について学ぶ『たまな教室』の講師として、基本・応用の発酵講座(塩麹・醤油麹・甘麹・醤油・みりん・酢)、季節の手しごと講座(梅・山椒・納豆・味噌など)を担当。また、ナチュラルフードに関する知見を広げ、現在は食に対する安全性の観点から食育の分野にも注力している。