再始動した話題のプロジェクトに迫る   MIZUNO CREATION × SHIPS 再始動した話題のプロジェクトに迫る   MIZUNO CREATION × SHIPS

再始動した話題のプロジェクトに迫る
MIZUNO CREATION × SHIPS

2012年に惜しまれながら活動を休止した、ファッションとスポーツの融合を掲げた先鋭的なブランド、「ミズノ クリエイション」。実は、2016秋冬シーズンに、SHIPSとのエクスクルーシブプロジェクトとして復活したことをご存知だろうか?都市生活をサポートする機能的でスタイリッシュなラインナップは、以前より格段と実用性が増し、それでいてファッション好きも納得できるデザイン性はしっかりと継承されている。同企画に携わる、デザイナーの渡辺拓氏、ミズノ株式会社 グローバルアパレルプロダクト本部の渡邊雅彦氏、SHIPSカジュアル部門MDの篠原 渉の3人に、このスペシャルな取り組みの意図とヴィジョンについて語っていただいた。

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かつてのミズノ クリエイション及び今回の企画のすべてのデザインを手がける渡辺拓氏。ppcmのデザイナー等を経て、多くのプロダクトデザインにも携わってきた経験豊富なクリエイターだ。

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SHIPS MDの篠原 渉。スポーツラインのSHIPS ACT(シップス アクト)をはじめ様々なオリジナルプロジェクトに参画している。ミズノ クリエイションの新たなブランドイメージを構築するのが、今回の企画の大きな目的の一つだ。

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ミズノ株式会社 グローバルアパレルプロダクト本部の渡邊雅彦氏。デザイナーの渡辺氏と二人三脚でミズノ クリエイションを作り上げてきた企画担当者。今回も機能面の追及に尽力している。

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「2005年当時は、ファッションとスポーツの融合というのは珍しかった」

??ミズノとSHIPSがゼロから一緒にモノづくりをしたのは、今回が初めてということですが、この企画の目的はどこにあるのでしょうか?

篠原(以下S)「今現在、ファッションとスポーツのミックスというトレンドが盛り上がりを見せていますが、弊社でもSHIPS ACTというスポーツカテゴリーを発足させています。そんな動きのなかで、かつて活動していたミズノ クリエイションこそが、現状のシーンにマッチしているブランドだったと、社内でもたびたび話題になることがあったんですね。それで、まず当時デザインを手掛けていらっしゃった渡辺さんに、なんとか復活できないかとご相談したのが始まりなんです。渡辺さんを通してミズノさんにもお話をしていただき、了承を得て正式にこのプロジェクトがスタートすることになりました」

??ミズノ クリエイションとしては2012年以来、4年ぶりの復活ということになりますが、そもそもどんな位置付けのブランドだったのでしょうか?

渡邊(以下W)「ミズノ クリエイションは2005年にスタートしましたが、当時は、スポーツや競技に特化したミズノのイメージとは異なった、新しいチャネルを強化する目的で作られました。チームウェアが中心だったミズノのアパレルとは違って、よりパーソナルなライフスタイルに訴求していくというプロジェクトでした。コンセプトは機能とファッションの融合です」

??なるほど。デザインとしては、どういった点に重きを置かれていたのでしょうか?

渡辺(以下T)「2005年当時は、スポーツとファッションの融合みたいなものを標榜しているブランドは、Y-3ぐらいしかなかったと思うんですね。アディダスのステラ・マッカートニーが発表されたのもその後ですし。そういう状況ではありましたけど、自分はそもそもファッション畑の人間でありながら、スポーツというカテゴリーにも前々から興味があったんです。機能的なデザインはもともと好きでしたし、デザインにそういった要素をしっかり盛り込んで、ファッションとして消化させようと思っていました」

??当時は、ファッションとスポーツを融合したアプローチは、まだまだ珍しくて注目度も今ほど高くはありませんでしたよね。

T「そうですね。でもミズノさんと思考錯誤を繰り返しながら進めていくなかで、多分こういうものが、今後シーンでも主軸になっていくんだろうな、とはなんとなく肌で感じていたんですよ。そんななかで、当時の自分としては、ファッションと機能をうまく合わせて、みんながあんまり見たことのない、新しい切り口を、どんどん見せていくほうが面白いなと思っていたんですね。それで、結構突飛なデザインもいろいろとやっていたんです。でも逆にそれが面白がられた部分も大きかったですし、幸いにも先駆的な存在として見られることも多かったです」

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「ビジネスマンが満員電車で着ても快適に過ごせます」

??確かに、ファッション的な注目度が高かったですよね。今回のクリエイションは、それと近いものなのでしょうか?

S「弊社からのリクエストとしては、ミズノさんの機能素材を効果的に使用したものを作りたいというのが一番でした。スポーツブランドのファッションへの移行は各社やられていると思うんですけど、機能はそこまで追求していないものが多いのが現状です。そうではなくて、ミズノさんのしっかりとした機能性を良い意味で生かしたものを作りたかったんです。あと、かつてのミズノ△クリエイションがやっていたものを、ゼロにするのではなくて、アーカイブというか過去のクリエイションと繋がっているデザインができたらいいなと思っていました」

??アーカイブのアップデート版ということですか?

S「そうですね。かつてのブランドらしさは残しつつ、ブラッシュアップさせたということです。最新のミズノオリジナル素材で機能面をアップデートさせたのが特徴だと思います。そういうものから、また新しい価値を作っていければいいなと思っております」

??具体的にいうと、どのようにアップデートさせたのでしょうか?

W「機能的にいいますと、秋冬コレクションですので保温性を重視しています。ブレスサーモという基幹素材を使用しているのが大きな特徴の一つですね。これは水分を吸収して熱に変えるという歴史のある素材です。あと新しい素材としては、テックフィルという人工綿を採用しました。ダウンと同じような軽さと保温性を兼ね備えたものなんですが、ポリエステルの綿なので水洗いができるんですよ。通常そういうものは、どうしても硬くなるんですが、これはダウンと同じようなふんわりとした風合いがあります」

??機能レベルは格段に上がったということですね。デザイン面では、ポイントにされたのはどんなところですか?

T「かつてのミズノ クリエイションは、スポーツとファッションの融合を先鋭的にやるという使命感がありましたし、常にニュース的なものを提供しなければならいないという思いがありました。今回求められているのは、そうではなくて、SHIPSのお店に売られて、そこに足を運ぶお客様たちにとって実用的であるということです。デザイン面でも、スポーツメーカーの作った機能素材を担保にした、より信頼度の高いモノづくりを全面に押し出したものを意識しています。タウンユース、都市生活でちゃんと着られるものを一番重視していますね」

??なるほど。都市生活に合う理想的な機能というのは、なかなか難しいと思うのですが、そのあたりのさじ加減は、どのように決めていったのでしょうか?

T「言葉で言い表すのは非常に難しいんですが、例えばこれを着て山に行こうというものではないですね。そこまでの機能は不必要ですので。ただ、自分は、かつて7年間ミズノ クリエイションをやらせていただいたので、例えばブレスサーモの糸を使って、どのぐらいなら暑くなり過ぎるのか、または効果がないのか、いろいろと学んだ部分はあります。その経験をベースに、多分これならビジネスマンが電車に乗っても汗をかくことはないだろう、でもそのまま外に出ても寒くはないだろ、というような理想的なバランスをしっかりと考慮しています。過去の経験に基づく下敷きと、そこで培った肌感覚を頼りに仕上げたという感じです」

??かつての経験則が生かせれているということですね。例えば、中綿の入ったセットアップというのは、確かに実用性もファッション性も高いですね。

T「ダウンと同じように、軽くて暖かくて家で洗濯もできる。そういう側面が、まさに今回やりたいことですので、それを突き詰めたものを形にしました。ダウンを着て満員電車に乗れば汗だくになると思いますが、これなら、最適に過ごせます。そういうさじ加減が今回のプロジェクトの肝になっていると思います」

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「ミズノのロゴは、厳しい基準をクリアしたという証です」

??ミズノとしても、こういう新たな試みでブランドの幅やイメージが広がって行きますね。

W「そうですね。実用的でデザイン性も高い。こういうアプローチに自分たちも新しさを感じていますし、スポーツショップでも幅のあるスタイルの提案ができるのは大きいかなと思います」

S「SHIPSではブランド再ローンチとして展開店舗数を限定していますが、動向を見ながらスポーツカテゴリーとしては段階的に拡大させていきたいと思っています。トレンドというよりは、なくてはならないものの一つとして一緒に成長し続けていけたらいいですね」

T「今回のプロジェクトは、以前やっていたミズノ クリエイションのすごく落ち着いた版とでもいうべきものです。ベーシックで実用性の高いデザイン性もウリだと思っています。また季節が変われば必要とされるものも変わってくるでしょうし、春夏シーズンでは、例えば“自転車”や“海”などをキーワードに、アクティブな要素も追求していければいいなと思っています」

??年齢層でいえば、ターゲットはどのあたりになるんですか?

S「30?40歳代ですね。35歳がコアターゲットというイメージです。大人だと、ファッション性の高いスポーツウェアというと抵抗がある人もいるかと思うんですが、デザインの主張が強すぎるものにならないように意識して提案しています」

??ミズノがモノづくりをする以上、機能面で厳しいルールや規定があると思うのですが、そのあたりは問題なく進められているのでしょうか?

W「そうですね。例えば混紡率がこれ以上変わると、弊社の機能素材とは呼べないとか、ステッチの間隔はこうだとか、そういう細かなルールは確かにはあります。ただ、いいアイデアがあっても機能面の規定が問題になるなら、それをクリアするためにもっと機能を高めていけるうように常に開発は進めるつもりです」

S「モノづくりのルールが決まっているというのは、逆にいいなと思っています。それだけクオリティが高いものを確実に作れますし、安心感に繋がりますから」

W「しかも、それがスポーツで通用するためのルールですから。一般衣料とは違って、ハードルが高いんですね。ミズノのロゴが入っているということは、そのハードルをクリアした証でもあるんです」

??バリエーションも増えていけば、ますますこれから楽しみですね。

W「ミズノとしては生活者、ライフスタイルに対してアプローチしていくというのは大きな課題ですし、どんどん進化させて、できることをいろいろとやっていきたいと思っています」

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機能素材“ブレスサーモ”を採用したコート。汗をかいても水分を吸収して熱に変換するため、薄手でも驚くほど暖かい。膝丈設定でスーツの上にも難なく合わせられる。
コート ?47,000(+tax)/MIZUNO CREATION exclusive by SHIPS

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らせん状のポリエステル繊維“テックフィル”を採用したジャケット&パンツ。見た目はスマートでもダウンに匹敵する保温性があり雨にも強い。洗濯機で洗えるというのが、最大の魅力だ。
ジャケット ?38,000(+tax)/MIZUNO CREATION exclusive by SHIPS
パンツ ?21,000(+tax)/MIZUNO CREATION exclusive by SHIPS

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ブレスサーモ仕様のフリースパンツ。切り替えを施したスタイリッシュな意匠は、リラックスカジュアルのアクセントとしても一役買ってくれる。ウエスト部分には便利なアジャスターを装備。
パンツ ?22,000(+tax)/MIZUNO CREATION exclusive by SHIPS

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重ね着に便利なフリースベストにもブレスサーモが採用された。フードはジップで簡単に着脱できる。スタンドカラーもコンパクトで、コートのインナーとしても取り入れられる。
ベスト ?21,000(+tax)/MIZUNO CREATION exclusive by SHIPS

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無駄をそぎ落としたミニマルなデザインで仕上げたフーデッドジャケット。こちらもブレスサーモ仕様で、袖口は二重構造になっているため風の進入も防ぐ。短丈でレイヤードにも取り入れやすいため、1着あると何かと重宝する。
パーカ ?45,000(+tax)/MIZUNO CREATION exclusive by SHIPS

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