毎年、ファッション業界から発信されるトレンドキーワード。今シーズンなら「総レース」とか「ロマンティック」、「ボヘミアン」などなど、これらの漠然とした情報を自分なりに解釈して、普段の着こなしに落とし込むって、実はなかなか難易度が高かったりしませんか？ お手本通りにやったつもりだけど“なんだか、イメージと違う……”なんてことも少なくないはず。そこで今回、雑誌『CLASSY』などで活躍するスタイリストの大野千歩さんに、そのお悩みを相談。ところどころにトレンド感と小ワザが効いた、実用的なトレンドコーデを指南していただきました。
?今シーズン、さまざまなトレンドキーワードが浮上していますが、大野さんは今の傾向をどのように思われますか？
大野 「そうですね、今までは本当にシンプルなアイテムが注目されていたと思います。例えばサーマルだったり、クルーネックのTシャツなど、そのままメンズが着ても違和感ないようなアイテムが多くなっていた。でも最近、今までのアイテムと対極と言うか、もっと女性っぽいものも同時に増えてきています。トップスもオフショルダーのブラウスだったり、刺しゅう入り、レースなど、ここ数シーズン、人気だったボーイッシュなアイテムとは相反する甘い要素が目に付くようになった。ワイドパンツにしても、シフォンやコットンなど、柔らかいく風に揺れる素材だったり。スタイリングにも二面性があるというか、メンズライクとフェミニン、スウィートといった掛け合わせがキーポイントになりそうですね。
またトレンドキーワードの一つであり、SHIPSさんもテーマにしている「70’s」は、よりレトロでレディライクな印象。年代にもよりますけど、昔の母世代が着ていた様なベルボトムや、リブニットも相当見かけるようになりました。リブニットなんて、今まで絶対展開してたはずけど、今年は、凄く新鮮で今っぽく映りましたね」
?大野さんが個人的に気になっているアイテムや、キーワードはありますか？
大野「今年はなんと言ってもデニムの形が大きく変わった。それこそ数年前までは、ボーイフレンドデニムが新しいとされてきたけど、それもすっかり馴染んできましたよね。そこから、ハイウエストのデニムやフレア、ベルボトムが目に入るようになってきて。私自身も毎シーズン、たくさんのデニムを買うんですけど、フレアと切りっぱなしは本当に多いですね。フレアデニムを投入するだけでも、現代的にアップデートできると思います。また前述したリブニットやフラットシューズ、ウェッジソールを合わせたりしてもいいし。フレアデニムを軸に考えるだけでも、ちょっとした新しい風というか、変化をつけられますよね」
「トップスは透け感と刺しゅう使いが夏っぽいコットンブラウス。そこさっき話に出てきた、ワイドデニムを合わせて。ハイウエスト&裾の切りっぱなしが、分かりやすく70年代っぽさを表現していますね。そこにターコイズがあしらわれたシルバーバングルやウェッジヒールで、素材の持ち味を活かしたナチュラルなアクセントをプラスして。クリーンな要素としては、ブラウスやハットの白。色味をたくさん取り入れてしまうと、ヒッピーっぽくなり過ぎて、街中ではちょっと派手になってしまいがちなので、落ち着いたネイビーを差し色にしたのもポイントです。また動きの出るスカーフも今年、とても流行っていますね。首に巻いたりするのに抵抗がある人でも、こうしてバッグに巻いてあげるだけで、さりげないニュアンスになって女性らしさがプラスされます」
ブラウス ?27,000(＋TAX)/MES DEMOISELLES
デニム ?47,000(＋TAX)/RACHAL COMEY
サンダル ?17,000(＋TAX)/SHIPSMORE
ハット ?16,000(＋TAX)/SENSHI STUDIO
バングル ?20,000(＋TAX)/THE 2 BANDITS
カゴバッグ ?8,500(＋TAX)/BERTINIMORE
スカーフ ?11,000(＋TAX)/manipuriMORE
「ワンカラーコーデは、今年雑誌などでも要望がとても多い気がします。今、凄くシンプルなアイテムが主流となる中で、いろんな着こなしをやりつくしてきた節もあるというか。今回、私はブルーをテーマにしています。ブルーと一言で言っても、麻やデニム、コットン、シルクなどいろんな素材のブルーを選びながら、そこの間をつなぐという意味でグレーや同系の濃い色合いを入れて。また小物にはあくまで夏なので爽やかさを意識してホワイトを投入。同じブルーでもトーンを変えたり、素材で変化を持たせることで、着こなしにこなれ感がでます」
デニムジャケット ?28,000(＋TAX)/THE SHINZONEMORE
プルオーバー ?25,000(＋TAX)/JOHN SMEDLEY
ボトム ?28,000(＋TAX)/INCOTEX
サンダル ?12,000(＋TAX)/GAIMOMORE
スカーフ ?7,800(＋TAX)/ManipuriMORE
クラッチバッグ ?23,000(＋TAX)/PIETROMORE
大野千歩／おおのちほ
女性向けファッション雑誌「CLASSY」（光文社）を始め、雑誌、広告、ブランドカタログなどを中心に、多岐にわたって活躍中。シンプルなアイテムを使いながらも、幅広い世代の女性たちのライフスタイルに、リアルにマッチする着こなし&着まわし術で人気を集める実力派・敏腕スタイリスト。