ファッション界がざわめいています。今年の秋冬にコレクションデビューしたばかりのブランド「CLANE」に。そのクリエイティブディレクターを務める松本恵奈の存在に。
時代に、そして大人の女性にフィットした、リアルな服。多くの女性たちがこんな服を待っていたのかもしれない。これまでファッションアイコンとして多大な影響を与えてきた松本恵奈が語る、ブランドのこと、自身のこと、ファッションのこと。必読です!
??今年の2月にCLANE DESIGNを立ち上げていますが、前職を退社されてからの準備期間はどのくらいだったのですか?
前社を辞める1年前くらいからモヤモヤと考えてはいたんですが、実際に動き出したのは1月くらいからですね。そこから一気に走り出した感じです。服作りを始めたのは1月からですけど、計画だけは前からしていたので、結構すごいスピードでした。
??前々からご自身の中で新ブランドのビジョンを描いていたんですね。
そうですね。やりたいことがあったから辞める決意もできたわけで、なので動き出したら早かったですね。
??そうしてスタートさせた「CLANE」ですが、どのようなブランドイメージで立ち上げたんでしょうか?
私が今年で30歳になるんですが、30代以上の女性をターゲットにしていて、私自身に子どもがいることもあって、子育てしてても着やすい服ということ。それと、すごくおしゃれだけど全然認知されていないブランドにはしたくなかったので、リアルに沿った服というところで、“シンプルでひとクセあるもの”というのをコンセプトにしています。大切にしてもらえる、長く愛用してもらえる服ということにもすごくこだわって作っています。
??実際スタートしてみてどうですか? 準備期間が短かったこともありますしやはり大変ですか?
大変ですね。今までこんなに忙しいのを経験したことがなかったので。
??現在は代表取締役も兼任されているんですよね?
そうです。前社では営業担当や経理担当、事業部長など、いろいろな担当がいたのでクリエイションに集中できたのですが、今は少ない人数で運営しているので、一人何役も請け負いながらといった感じです。
??周囲の反応はどうですか?
すごくいいです。周りにアパレルの知人や友人が多くいるんですが、はじめは「卸やセレクト(ショップ)さんは初回はなかなかつかないと思うよ」という声を聞いていたので、すごく大変なんだろうなと思っていたんです。予算も高めに設定してはいましたが、実際にはその4倍くらいのオーダーをいただけたので、自分が思っていた以上に反応がよかったですね。やってみて気づいたのが、思っていたよりもお客様に主婦の方が多いということ。なのでターゲット層に30代以上を視野に入れておいてよかったなと思いましたし、服にそういう(主婦の)目線を足してもいいのかなと思ったりして、今は探りながらやっているところですね。
??なるほど。そもそも“クリエイティブディレクター”という肩書きについて、業界外の人たちからすると少し謎というか、ぼんやりしているものだと思うのですが、恵奈さんにとって“クリエイティブディレクター”とは、どんな仕事ですか?
私も前職で初めてクリエイティブディレクターというものをさせて頂いていたのですが、はじめは「何をやったらいいんだろう?」っていう感じで、自分でも謎でした。でも自然とやっていくうちに、“ブランドの世界観を作っていくこと”だと自身で認識して動いていました。私みたいに売上まで見ながらやる人もいれば、デザインだけしかやらない人もいるだろうし、人によって動き方は様々だとは思います。
??ではご自身がディレクションにおいて一番大切にしていることは何ですか?
私が大切にしていることは、ブランドとしてブレないことと、背景にちゃんとお客様がいること。それを考えながらやっています。
??クリエイションにおいてインスピレーションを得ているものは何かありますか?
それが、あまりなくて・・・。ネットも見はするけど、くらいで。海外に行った時に感性が磨かれたりすることはあると思うし、とにかく“気分”が大きいですね。常にこんな服が着たいなーっていうのがあって、その感覚があまり外れたことはないかもしれないですね。販売員を長くやっていた経験があるので、トレンドをキャッチするのは得意だと思います。
??経験が活かされているんですね。お話を聞いているとかなり忙しそうですが、息抜きはどうやってしているんですか?
家に帰って子どもと過ごす時間が息抜きになっていますね。そこのメリハリはしっかりできているのかなと思います。
??仕事と、主婦業と、ママ業と、両立するのは大変ですよね…。
すごく難しいですね。どうしたらいいんだろうって思うこともありますが、妹家族とも一緒に住んでいて、みんながサポートしてくれているので、助かっています。
??そうなんですね。恵奈さんは三重出身で、関西にいた期間も長くあるわけですが、東京と関西のファッションシーンを比べるとどう感じますか?
やはり東京の方が何でも早いなと感じますね。関西に住んでいる時は、そんなに変わらないと思っていましたが、いざ東京に住んでみると、何でも東京が発信源になっていると感じましたし、ファッションに注ぐお金も違うなと思いました。
??いま個人的に興味のあるものはありますか?
写真ですね。撮るのも撮られるのも好きです。あとは子どもに関することも、すごく楽しいですね。
??では、今シーズンのコレクションについて聞かせてください。
立ち上げということもあり、世界観を広げすぎずにわかりやすくした方がいいと思ったので、「シンプルだけどひとクセある」をキーワードに、そこを全面的に押し出したコレクションにしました。やっぱりファーストシーズンということで興味を持たれている方が多くいたと思うんですけど、その方たちを絶対にがっかりさせたくなかったので、「この素材感でこの価格?」という良い喜びや、良い驚きをいくつか提供したいと思い、とにかく質と価格にはこだわって作りました。
??まさにその質の良さと良心的な価格設定には驚かされました。また、熊谷隆志さんなどとのコラボレーションアイテムも展開していますが、恵奈さんから声を掛けて実現しているんですか?
私から声を掛ける場合もありますし、そうじゃない場合もあります。コラボすることによって新しいCLANEが見えるのがおもしろいですね。今後もコラボではそういう部分を見せて行けたらと思っています。
??最後になりますが、今後のCLANEについて聞かせてください。
来春、お店のオープンが都内で2店舗決まっています。まだ具体的な日にちは決まっていませんが、来年3月の上旬を予定しています。ほかにもニュープロジェクトを考えていたりと、今後もいろいろなことを発信、提案していくので楽しみにしていてください。
「後ろのディテールが可愛くて、シンプルなのでどんな方でも着やすいと思います。ストレートラインなのでカジュアルにもきれいめにも着られるので、いろんなテイストの着こなしを楽しんでもらいたいですね。」
チェスターコート ¥49,000(+tax)/CLANE
「このロングコートはすごく上質で、それでこの値段というのはなかなか売っていないと思います。細身のシルエットなのできれいめに女性らしく着ることもできますが、その人の気分でその人らしく着ていただけたらと思います。大切に着てもらいたい1着です。」
マキシコート ¥49,000(+tax)/CLANE
「これは究極のリバーシブルコートで、値段はちょっと高めなんですが、本当にいい素材を使っています。両面での違った表情を楽しんでください。カジュアルに着ていただくのもいいですが、黒のワンピースを中に着て、ブーツを合わせたりして、女らしく着るのも可愛いと思います。」
モッズコート ¥69,000(+tax)/CLANE
「このニットはケーブル部分をハンドで編んでいて、だからこそ出せる立体感が魅力です。ネックラインも絶妙で、これこそ“シンプルだけどひとクセある”代表的なアイテムかなと。バックロングシルエットでお尻も隠れるし、リアルに使いやすいと思います。デザイン性があるのでデニムと合わせるだけでも決まってくれます。」
ニット ¥22,000(+tax)/CLANE