Q:唯一無二のアクセサリーを生み出す
grenデザイナー・山田みどりさんのバイタリティーの秘密は？
A:自由気ままな仕入れの旅と、その先にある出会い

「宝石箱を開けたときのようなわくわくするアクセサリー」をコンセプトに掲げ、手吹きのスフレグラスパールやヴィンテージパーツを使ったアクセサリーを展開する『gren（グリン）』。どこか懐かしくも色あせない輝きを放つさまざまなプロダクトが生まれるオフィスへお邪魔して、そのルーツや魅力、そして刺激的な旅についてデザイナーの山田みどりさんにお話を伺いました。

仕入れをする時はいつも宝探しをしている気分。
一所にじっとしていられなくて、“もっともっと！”って探求してしまう

??山田さんはいつもユニークなパーツを使って作品作りをされていますが、仕入れをする時には目的のものを決めて行かれるんでしょうか？

お客さまに何か提案されたらそれを探しに行くと言うことはありますが、基本的には何も決めずに行きますね。何かひとつを探しに行くとなると、それ以外のことにどうしても目が行かなくなってしまう。そうすると思わぬ出会いを見落としてしまうかも知らないから、いつもはふらりと出かけています。そして素材を集めて帰ってきて、それを見ながらどんなデザインにするかとか、どんなテーマで行くかを決めることが多いかな。でも気に入った素材はなくなってしまう可能性もあるので、見つけたら買い占めて戻ってきます（笑）。今、手元にあるスフレグラスパールも、日本では使っている人を見たことが無いくらい、なかなか貴重な素材なので。一つひとつ形も色も照りも違うんですよね。80年以上前に作られたものだから自然とエイジングしていて、とても赴き深い。こんな素材に出会えるのも、仕入れの醍醐味だし、まるで宝探しをしている気分になりますよ

??大きな倉庫から小さな素材を探したり、凄いエネルギーで買い付けされるんですね。

もともとgrenを立ち上げる前に会社に勤めて、アクセサリーのデザイナーをしていたんですが、そこの会社がとても面白いところで。例えば商品企画をひとつ出すと、素材に関しては商社などを通さず“自分の脚で行って見て、買い付けてこい！”って言っちゃうような（笑）。そこで培われた探究心やフットワークの軽さは、今とても役に立っていると思います。

「素材の買い付けは言わば“宝探し”。気に入った素材は買い占めてしまうので、時にはコンテナで輸送したりすることもあるくらい」と語る山田さんの、とっておきの素材がつまった宝箱。

タンザニア、エチオピアでの滞在は山あり谷ありだったけど、
また一段と石を好きになる旅になりました

??そういえば、先日も仕入れの旅へ行かれていたんですよね？

はい、9月に１ヶ月ほどタンザニアとエチオピア、そしてパリへ行って帰ってきました。初めの２週間はタンザニアのリゾート地に滞在していたんですが、ちょっと退屈してきたのでエチオピアンオパールを見に行こうかなって、思い立って宿も決めずに出かけたんです。ついて早々、4000mもある山に登ったら3500mくらいで高山病にかかっちゃって（笑）。残念ながら下山して、それよりも低い火山へ行ってきました。

??山登りを3500mで断念して、火山へ。やはりちょっとスケールが違いますね。

タンザニアでは樹齢3000年のバオバブの木を見たり、目の前でゾウの群やヌーの大群が見れたりととても楽しかったですね。タンザナイトやエチオピアンオパールも日本では見られないような発色の美しいものが見つけられました。実は向こうでスキミングにあったりとトラブルにも見舞われたんですが、顔見知りのディーラーさんに助けてもらったりしてね（笑）。総括するとより一層、石が好きになる旅になりましたね。

ベンジャミンや古木と一緒にさまざまなグリーンが生い茂るオフィスには、ところどころにドームが置かれ、中には色とりどりの蝶や鳥が息をひそめている。その他にも宝石の様な岩塩や化石などがディスプレイされ、訪れた人にも“宝探し気分”を楽しませてくれる素敵なオフィス。

ジュエリーに関してはマイヴィンテージを育てる感覚。
出来れば娘さん、お孫さんの代までリメイクしながら受け継いでほしいですね

美しい自然光が差し込む窓際のディスクで、いつも創作していると言う山田さん。タンザナイト（鮮やかなブルーの石）やオパールなど、目にも美しい天然石やヴィンテージのボタンが並ぶ。ときにはとんでもない金額の輸送費を払ってでも買い付けたりと、大好きなアンティークやデットストックへ対する愛と執念を注いでいる。ガラスドームやインテリアも、ヨーロッパなど出張へ行く先々で出会ったものばかり。