ラジオで平日の午後を心地よく  人気パーソナリティー 齊藤美絵さん ラジオで平日の午後を心地よく  人気パーソナリティー 齊藤美絵さん

ラジオで平日の午後を心地よく
人気パーソナリティー 齊藤美絵さん

現在、TOKYO FMで流れている、SHIPS 40周年記念ラジオCMはもうお聞きになりましたか? そのナレーションを担当してくれているのは、同局にて毎週月〜木曜の13:00〜14:55にオンエアされている『アポロン★』でパーソナリティーを務める齊藤美絵さん。平日お昼のひとときを優しく包んでくれる、彼女の美しい声に魅了されている読者も多いはず。今回はそんな彼女のライフスタイルを中心にお話しをうかがいました。

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幼少の頃から、マイクを使って表現する人に惹かれていた

――TOKYO FMの『アポロン★』は4年目を迎える人気番組ですが、齊藤さんは学生の頃からすでにこの業界に入られていたんですよね。

齊藤 大学2年生の19歳からです。学生がつくるラジオ番組で、パーソナリティーを務めたのが最初で。実は、前年に新入生を迎え入れるイベントの代表を務めていて、その企画として同学年(1年生)の仲間を100人くらい集めたんですよ。新入生に向けて「あなたも1年でこれだけ変われるよ」って見せたくて。そうしたら、ヘンな女の子がいると噂になって、カレッジキャンパスラジオの企画をしていたベンチャー企業の方から声がかかったんです。当初は運営を一緒にやらないかというお話だったんですけど、もともと声を使って表現することに興味があったので、喋りのほうはオーディンションを受けて。運営と両方やっていました。

――そこで、ラジオパーソナリティーの仕事の楽しさを知ったわけですね。

齊藤 そうなんです。昔から、マイクを使って表現する人にアンテナが反応するというか。幼少の頃から、テレビCMのナレーションを真似したり、選挙のうぐいす嬢や、選挙演説している人の声に惹かれていて。でも、実際にやってみると、自分が喋るということよりも、聴いてくれているリスナーさんの反応が楽しくて。

――齊藤さんが始めた頃は、すでにメール時代でしたか。

齊藤 ハガキ、メール、FAXとすべてありましたね。学生時代の番組は、全国のコミュニティFMに発信するものだったのですが、最初の一通がFAXで来たときは、みんなで「わ〜っ!」って喜びました。

――今日はスタジオにお邪魔させていただいていますが、この場所でひとり喋り続けるのは大変だなと、素人は思うんですけど。具体的な誰かを思い浮かべながら喋るのですか?

齊藤 アハハハ、そうですね。リスナーさんを思い浮かべながらですね。いただいたメールを読みながら、勝手にこんな方かなと想像したりして。

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「おそばにいさせてもらえたら嬉しいな」っていう気持ちのほうが強い

――『アポロン★』では、どんな方たちを思い浮かべて喋るのですか。

齊藤 その時々で違いますけど、お昼の時間帯なので、オフィスでデスクワークしながら流れているシーンとか。あとは、自分が行ったことのあるお店でも流れていることがあるので、その場所を想像したり。でも、常にメールには「いま何をしながら聴いてます」と書いてあるのでイメージはつきやすいですね。妄想力を発揮しながらやっています。

――ということは、放送される時間帯もすごく重要になってきますね。

齊藤 そうですね、テンションとかも変えています。『アポロン★』はお仕事しながら聴いてくださる方も多いので、コンパクトに理解できるように話したり、聴きながらでも休憩できるような感じとか。それと、皆さん「ながら聴き」をしてくださっているので、邪魔になりたくないという気持ちもあって。

――へぇ〜、それもまた難しそうですね。

齊藤 「聴いて聴いて!」というよりも、「おそばにいさせてもらえたら嬉しいな」っていう気持ちのほうが強いですね。

――人気コーナーの『シュミ活』は毎日テーマが違いますよね。企画はいつもどうやって決まるんですか。

齊藤 各曜日のスタッフとやりたいことを出し合っています。毎回キーパーソンとなる方にお話を聴くので、そこに登場する面白い人をスタッフが見つけてきてくれて。さらにスタッフ会議で方向性を決めているようです。私はあるときからその会議は出なくなりました。それは、私が事前に情報を知りすぎると、初めて聴く方の疑問点がわからなくなるというか。そのテーマについて、知らない人が聴いてもわかるような内容にしたいんですよね。そのぶん、私は外に出てライブへ行ったりなど個人活動をしています。

――月曜〜木曜まで帯でやられていますが、1日の生活パターンはどんな感じなんですか。

齊藤 日によって多少変わるんですけど、朝は毎日5時前には起きてますね。

――えっ、かなり早いですね。

齊藤 みんなに、おばあちゃん扱いされています(笑)。起きて犬と散歩して、帰ってきてスムージーを作って、そのタイミングで原稿をチェック。それから家事とか雑用を終えて、スタジオに入るのがだいたい12時前後ですね。オンエアが15時に終わった後に違う収録へ行く日もあれば、ハワイ関連の活動をしている会社で打ち合わせとか。あとはライブや演劇を見たり、食べたり飲んだり。

――でも、寝るのは早いんですよね。

齊藤 何もない日は、22時くらいには眠くなりますね。でも、飲んで2時に帰ってきても、絶対に5時前には目が覚めるという。

――それはすごい、昔から朝型だったんですか。

齊藤 朝型ですね。

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ハワイ関連の活動は仕事というよりライフワーク

――先ほどお話に出てきた、ハワイ関連の活動というのは具体的にどんなことをされているのですか。

齊藤 ハワイの農業とか、ハワイ産の食を日本に伝えていく活動をしています。東京にはハワイアンレストランもハワイ好きも多いのに、現地の食材が使われていることが少ないんですよ。私は大分出身ですが、大分の郷土料理店で使われている食材がすべて外国産だったら哀しいじゃないですか、そういう感覚ですね。

――それをハワイの食材を輸入している会社と一緒にやられているんですね。

齊藤 いまは、ハワイの食材を扱っているお店に行って、写真を撮ってFacebookにあげたり、ホテルやレストランのシェフに提案したり、イベントを企画したりしています。仕事というよりライフワークみたいな感じですね。ラジオを通して伝える喜びを感じているんですけど、そこで扱うのは常に新しいテーマなんです。なので、何かひとつ地に足をつけて、家族みたいに届けられるものがあればいいなと思って。そのふたつがバランスよくあるおかげで、ただパッと伝えるのではなく、この人はなんでこの仕事をしているんだろうとか、そこにどんな思いがあるんだろうとか、情報の奥にある人の温かさも少しずつ汲み取れるようになった気がするんですよね。

――なるほど、確かにそのほうが伝える際に厚みが出ますもんね。でも、ハワイの食材って言われても、パイナップルとサトウキビくらいしか思いつかない(笑)。

齊藤 皆さん意外とイメージがないんですよ。最近は詳しい方も増えてきましたけど、マカダミアンナッツやコーヒー、あとはマウイオニオンっていう玉ねぎだったりとか、はちみつ、シーアスパラガス…。

――シーアスパラガス?

齊藤 いま注目の健康野菜なんですよ。海水の田んぼでできるんですけど、見た目がアスパラガスのようなおかひじきのような感じで、食べるとシャキシャキしていてしょっぱいんです。

――へぇ〜、海水で育つ野菜があるんですね。いわゆる普通の野菜もあるのですか。

齊藤 トマトとかレタスとか普通の生鮮野菜もたくさんあるんですけど、ハワイは小さい島なので産地からフレッシュな状態で空輸するのにはハードルがとっても高くて輸入が難しいんです。そんな中で、シーアスパラガスやマウイゴールドというパイナップル、マウイオニオンなどはハワイのファーマー、輸入する日本の会社のスタッフの努力で何年もかけて実現しました。でも、そういうことを知るからこそ、すべてのことに愛情が生まれるというか。お洋服でも、自分の着ている服にはデザイナーさんがいて、生地を作る人がいて、糸を作る人がいてと、すごいプロセスがあっていまここにあるわけですよね。そういうことへの感謝というか、さまざまな人の力でここにあることを実感するようになったんです。私がなぜラジオをやりたかったのかというと、そういう普段なかなか会うことのできない人たちが、どこかの町で聴いてくれて「クスッ」と笑ってくれたりとか、嫌なことを忘れるきっかけになったら、それもまた「ありがとう」を伝える方法なのかなって。

――齊藤さん素敵です! そのうえ、フードマエストロの資格も持たれているんですよね。

齊藤 いま『アポロン★』の企画で、『菌活project』というのを展開していて。菌活というのは、きのこなど菌の力を利用した食品を食べて健康で美しく、イキイキとした生活を送ろうというものなんです。そこでは、フードマエストロとしてオリジナルレシピをプロデュースしています。

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実際に足を運んだからこそ、得られる情報がたくさんある

――ほんとにアクティブですね。それでいて、ライブに行ったり町を散策したり、楽しそうなものも探し続けているという。

齊藤 私はワクワクを届ける役目だと思っているんです。いまネットでなんでも、アーティストやイベントの情報はすぐ手に入るじゃないですか。それをただ情報として流すのがすごくイヤなんです。実際に足を運んで、たとえそこに10人くらいしか集まっていなくても、楽しかったらそっちの情報を伝えていきたい。そういう温度感を大事にしたいんですよね。普段、あまり目標設定をするのは好きじゃないですが、昨年は珍しく100以上のライブや演劇に行こうと志して。でも、実際に見てみると、ミュージカルの声量の素晴らしさに鳥肌が立ったり、アーティストの歌はもちろん実はトークがめちゃくちゃ面白かったり、劇場の建築がすごかったり、発見がいっぱいあるんです。

――最近、何か興味があることはありますか。

齊藤 いろいろありますけど旅ですかね〜。いまは土曜にも番組があるので、なかなか2泊の旅ができないんですけど、日帰りでも行きたいですね。昔、1泊4日でひとりニューカレドニアの旅とか行きましたよ(笑)

――え〜っ!

齊藤 アハハハ。当時、ニューカレドニアの番組をやっていて、一年くらい毎日ニューカレドニアの話をしていたんですよ。でも、肌で感じないとよくわからないと思って。ようは不器用なんですよ。

ファッションもチャレンジするのが好き

齊藤 好きですね。ラジオなので本来はそんなに洋服はいらないんですけど、週末の『KIRIN BEER “Good Luck” LIVE』という番組では、毎回ライブの最初と最後にアーティストさんとの短いやりとりがあるんです。そういうときに、出演されるアーティストさんのカラーに合った洋服を着たいなと思っていて。Tシャツにデニムの方を前に、私がスーツだったら緊張感が出ちゃうじゃないですか。そうやってコミュニケーションを円滑するために洋服を選んだりもします。あとは、行く場所によって自分を変えられるのが楽しいんですよね。

――仕事上もあると思いますが、これまでのお話を伺っていると、洋服にもいろいろチャレンジしたいタイプなのかなって。

齊藤 それはありますね。どうしても似合わない服はありますけど、一度はチャレンジしてみたい。実は、母が昔洋服のデザイナーだったので、小さい頃から着せ替え人形のように姉とあらゆるスタイルのものを着せられていて。それがあるから、いろんなジャンルの服を着たくなるのかもしれないですね。

――では最後に、今後やってみたいことを教えてください。

齊藤 昔から、誰かに必要とされたいと思っていて。仕事のお誘いもそうですけど、「誰々ちゃんのサプライズパーティをやるんだけど」とか、御用聞きじゃないですけど「齊藤美絵に聞けば何か知ってるはずだ」って思われるのが嬉しいんです。いいお店の紹介はもちろん、喋ったこと、取り上げた話題など、それをすることで誰かが喜んでもらえることがすごく好きなんです。それをもっともっと、お答えできるようになりたいなと思います。10の期待をされていたら、11とか12で返したいですね。

――今日は本当にありがとうございました!

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齊藤美絵 Mie Saito

7月30日生まれ、大分県出身。
慶應義塾大学総合政策学部卒業。
ナチュラルで落ち着いた声からクールで都会的な声まで幅広い演技力を持つ、好奇心とアイディア豊かなパーソナリティ。
CGC認定フードマエストロ、ベジタブル&フルーツジュニアマイスターであり『食』に精通。食材の生産地やワイナリーに足を運んだり、シェフと交流を深めたり、五感に響く食を探求している。好きなことは料理、フラワーアレンジメント(日本フラワーデザイナー協会講師)、写真、イベントのプロデュース、朗読など多岐にわたる。

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『アポロン★』

TOKYO FM/毎週月〜木曜/13:00〜14:55放送
仕事に家事に育児に奔走する30歳前後の女性リスナー[アポロン★世代]の、手を休めることのできない午後のスタートに寄り添うTOKYO FMワイド番組。
『アポロン★』は、「知る」だけでなく「楽しむ」、「出会う」まで、働く女性たちの日常をより彩り豊かなものにするソーシャル活動のプラットフォームです。
http://www.tfm.co.jp/apollon/

『KIRIN BEER “Good Luck” LIVE』

TOKYO FM/毎週土曜/16:00〜16:55放送
http://www.tfm.co.jp/live/

*出演番組情報は2015年5月現在のものです。