人気ブランドでパタンナーやデザイナーとして経験を積んだ岩井良太氏。そんな彼が2015年春夏にスタートさせた「AURALEE（オーラリー）」は、日本屈指の生産背景で作り込まれる上質な素材と、シンプルで気取らないデザインで大きな話題を集めている。なお、SHIPSでもこの春から展開がスタート！ そこで、新ブランドについての思いをデザイナーの岩井良太氏に伺った。
ーー「AURALEE（オーラリー）」の第一印象は、上質な生地を使った品のいいデイリーウエアだなと感じました。SHIPSのバイヤーも、「マニアックに作っているにも関わらず、商品が主張し過ぎていないのでとても好感が持てる。こういういい洋服をサラッと着こなせる大人になりたい」と話していました。
岩井 それはすごく嬉しいですね。僕としても素材とシルエットで勝負したいと思っていて。ブランドの母体が生地屋なので、これまで以上に協力していただける職人さんや工場も増えて、すごくやりがいがありますね。
ーーすべてオリジナルの生地を使っているのですか？
岩井 そうですね、糸から紡績してもらったりもしていて。ですから、展示会が終わってすぐに次のシーズンがスタートするなど、時間のかけ方が普通とは違います。デザインの出し方も特殊で、一般的にはこういうものを作りたいから、こういう生地を使おうって進めると思うんですけど。商品によっては、こういう素材を作りたいというのが先にあって、生地が出来上がってからどういうものを作るかを考えることがあります。
ジャケット ¥42,000 ／AURALEE
パンツ ¥26,000 ／AURALEE
ーーSHIPSが取り扱っている商品のなかで、そのパターン（生地が先にできた）で生まれたものはありますか。
岩井 このネイビーのセットアップがそうですね。紙っぽい質感の素材を作りたいと思ってスタートしたものです。そのためにフィンクスコットンというギザコットンのなかでも選りすぐりの綿を使って、それを超細番手で紡いでいます。その糸をネイビーとブルーに先染めして、縦糸にネイビー、横糸にはネイビーとブルーを交互に入れながら高密度に織っているんです。
ーーコットンだけでこの質感が出るんですね。
岩井 この独特なシャリ感は、原料の良さと織り方の良さから生まれるんです。洗いざらしでイージーに着られるセットアップなので、Tシャツなどで合わせて堅苦しくなく着こなせると思いますよ。
ーーこのスウェットも見た目から風合いの良さが伝わってきます。
岩井 これは超長綿を吊り編み機にかけて編んでいます。普通と違う点は、表地の糸は細番手で、裏地は太めの糸にしているところ。さわった感じは柔らかいですけど、しっかりとした膨らみが生まれるんです。
セーター¥23,000 ／AURALEE
パーカー ¥22,000 ／AURALEE
ーーこのこだわりがわかる人に着て欲しいですよね。
岩井 そういうわけではないんです。商品が並んでいて何となくいいなとか、シルエットがかわいいなとか、そういう感じで手に取って欲しいんです。あんまり押し付けがましくしたくなくて。これだけうんちくを言っておいてなんですけど（笑）
ーーなるほど。「なんとなくいいな」っていう風合いを出すには、それだけこだわりが必要ってことなんですね。
岩井 そうなんです。見てもらってわかるように、突拍子もないデザインがあるわけではない分、細部のこだわりにはかなり気を使っています。デザインは日々の生活のなかで感じたものを表現していて。「そろそろこんな感じのシルエットやデザインはどうかな？」と提案している感じですね。
ーー「AURALLE（オーラリー）」をどう着こなして欲しいなど、何かイメージはありますか。
岩井 毎日着てもらいたいので、いろいろなブランドと合わせられるようなものにしたくて。こういうスタイルっていうより、古着とかいろいろなものと混ぜてうまく着る人に取り入れてほしいですね。
ーー1st.シーズンから、メンズとウィメンズを同時に立ち上げられましたが。
岩井 両方好きなので半々で作っています。素材はほとんど共通なのですが、メンズとウィメンズで完全に分けて考えていて。一見デザインが同じように見えても、シルエットが大きく違ったりしていますね。おかげさまで、取り扱い店舗や数量、媒体での取り上げられ方などもちょうど半々くらい。それはすごく嬉しいですね。ウィメンズがここまで反応あったことは自分としても意外でした。
ーーシーズンコンセプトは今後も掲げない方針ですか。
岩井 毎シーズン何となくこんな感じというのはあるんですけど、次の秋冬も明確なシーズンテーマは決めずにやるつもりです。今後はどうなるかはわかりませんけど（笑）
ーー今日はお忙しいなかありがとうございました。
AURALEE（オーラリー）
http://auralee.jp/