Akiva Zamaの百花繚乱  〜注目のフラワーアーティストが提案する“ 花のある生活” vol.3〜 Akiva Zamaの百花繚乱  〜注目のフラワーアーティストが提案する“ 花のある生活” vol.3〜

Akiva Zamaの百花繚乱 〜注目のフラワーアーティストが提案する“ 花のある生活” vol.3〜

Akiva Zamaの百花繚乱?注目のフラワーアーティストが提案する“花のある生活” vol.3?

Akiva Zamaの百花繚乱
?注目のフラワーアーティストが提案する“花のある生活” vol.3?

SHIPS Days

雑誌やCMでモデルとしても活躍する異色のフラワーアーティスト・Akiva Zama氏に、花を身近に楽しむためのヒントをいただく本連載。今回は、10月に長崎のハウステンボスで開催された『世界フラワーガーデンショー2014』での特別展示の全貌をレポートします! 高さ4.5メートルにおよぶ巨大作品で来場者を圧倒したAkiva氏の、表現者としての想いや今後のビジョンとは…?

年10月4日?11月4日に長崎のハウステンボスで行なわれた、世界最大級の花と緑の祭典『世界フラワーガーデンショー2014』。ワールドワイドに活躍中のガーデンデザイナーやフラワーアーティストによる、「庭園」と「花」の世界大会が開催されました。Akivaさんが参加したのは、会場空間を活かした芸術作品を展示する『フラワー特別展示』と来場者へのデモンストレーション。「やりたいことをやり尽くした、人生最大の作品」??そう自身で振り返るほどのチャレンジングな作品とは、一体どのようなものだったのでしょうか。

episode1 コンセプト立案 「5×5メートル」かつてないスケールの作品に挑む。

??『フラワー特別展示』への出展オファーが来た際、テーマなどは決まっていたのですか?

Akiva いいえ、何も(笑)。「5×5×5メートルの空間で何か作品をつくってほしい」というシンプルな依頼でした。ゼロから自由に表現することが大好きな僕にとっては、願ってもないチャンス。その上、ここまで大きな作品は手がけたことがなかったので、とてもワクワクしましたね。僕がフラワーアートで最も大切にしている「季節」と「色彩」を軸に、これから始まる秋を表現しようと思いました。

??前回お話を伺ったとき、フラワーアレンジのポイントは「色に流れをつけること」とおっしゃっていましたね。今回の作品でも「流れ」は意識されましたか?

Akiva はい。秋の風物詩である紅葉は、段階的に色づいた葉の集合体からなる巨大なグラデーションです。そのように、小さな色彩の流れを掛け合わせてひとつの大きな流れをつくることができれば、生命力あふれる作品に仕上がるのではないかと考えました。

??「生命力」。花を「生きている絵の具」と例えていたAkivaさんの作品にぴったりの言葉ですね。

Akiva 小さな生命を集めて巨大な生命を表現する。そんなイメージで辿り着いたのが、「スーパーツリー」をつくるということ。花材にも木を使用して、従来のフラワーアートの概念にとらわれない斬新な作品をつくろうと決めました。スケッチを描いているうちにどんどんインスピレーションが湧いてきて、この時点ですでに「すごいものができるに違いない」と確信しましたね。

episode2 制作開始 制作期間は3日。1日12時間以上、作品づくりに没頭する。

??膨大な量の花材を使用したと思いますが、一体どのくらい…?

Akiva 合計1000本くらいでしょうか。枯れずに会場まで届くかどうかが最初の難関でしたが、そこは無事にクリア。北海道の友人から取り寄せたナナカマドをはじめ、センダン、ツルウメモドキ、ドウダンツツジ、グロリオサなど、枝・葉・実・花を織り交ぜて用意しました。花材をさすオアシスは、なんと250個。高さ2.2メートルほどの脚4本に、水を含んで重くなったオアシスを載せ、そこに1000本もの花材を生けるわけですから、バランスが少しでも崩れれば命取りになります。1本生けては脚立を降りて全体をチェックして…を延々と繰り返しました。

??大変な重労働ですね…! 朝から晩まで作業していたのですか。

Akiva 朝9時にスタートして、作業時間は12時間以上。それを3日間続けました。大変ではありましたが、イメージが形になっていく喜びと興奮のほうが大きかったです。あと、ハウステンボスはレストランがどこもすごく美味しいんですよ。世界各地の料理がいただけるので、食事は毎回楽しみでした(笑)。

??制作過程でこだわった部分はありますか?

Akiva オアシスを入れた桶は実もので囲い、脚はサンゴミズキと黄金ミズキで囲って、資材を完全に隠しました。こうしたディテールが作品の完成度を大きく左右するので、妥協はしません。作品を見てくれる人にその世界観に完全に浸ってもらうことも、フラワーアーティストとしての大切な使命だと思っています。

episode3 完成?展示 花を知らない人にも「感動」が伝わるフラワーアートを。

??完成した瞬間の、率直な感想をお聞かせください。

Akiva 想像を遥かに超えるものができた、と思いました。制作過程で花材1本1本は目にしていても、それらがすべて合わさると相互作用が生じて、予想外の仕上がりになることはよくあります。バンドやオーケストラが奏でる音楽に似た感覚ですね。今回の場合はスケールが大きかった分、相乗効果もいつもより大きかったのでしょう。作品をご覧いただいた方々からも感嘆の声をいただき、大成功でした。

??タイトルは『autumn blume』。宙に浮いているようにも見える、幻想的なフォルムが印象に残ります。

Akiva 本来なら、これだけの重さを支えるには、脚を交差させて組んだり本数を増やしたりする必要があります。でもイメージを形にするために、どうしても4本だけで骨組みをつくりたかった。上に乗ってみたり懸垂してみたりしながら(笑)重量に耐えうる組み方を編み出し、この宙に浮いたようなフォルムを実現することができました。

??今回の展示を通じて、新たな発見はありましたか?

Akiva 自分の表現したかったことが明確になりました。僕は、花をあまり知らない人でも思わず感動してしまうような、圧倒的なフラワーアートを追求したい。今回のようにスケールの大きな作品をつくることは、見る人を圧倒させるためのひとつの手段として非常に有効だと感じましたね。「自分はこういう作品をつくれるんだ」という自信にもなりました。僕のフラワーアートを通じて一人でも多くの方が花に関心を持ってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

SHIPS MAG読者のみなさんに向けて、『autumn blume』のミニチュアver.を特別につくっていただきました。本番でも登場したドウダンツツジをメインに、落ち着いたピンク色が美しいペッパーベリーをアクセントとして使用しています。ドウダンツツジの自然な色づきを活かすことで、2種類のみの花材でもこんなに表情のあるアレンジに仕上がるんですね!

Florist Akiva Zama
アメリカ、シアトル出身。2007年に日本に帰国し、アーティストである母の影響でフラワーデザインを独学で学び、モデル活動をしながら、本格的にフラワーデザインの仕事に取り組み始める。2010年からは、Florist講師として全国各地を回り、人々にフラワーデザインの楽しさを伝える活動をスタートさせる。
2013から店舗経営もはじめ、全国各地での講習会やウエディングショーでのデモンストレーション、「フローリスト」への掲載、ベルギー出身の有名デザイナーであるダニエル・オスト氏のイベント時に通訳兼アシスタントを務めるなど、様々な分野で手腕を発揮。フラワーデザイナーの傍ら、ファッション雑誌やCMなどでモデルとしても活躍中。

【Akiva Zama web site】 http://akivazama.com/
【Akiva Zama Flower Workshop information】 http://akivazama.com/workshop/