SHIPSと人
スタイリスト壽村太一さんが語るNAVY
昨年の秋冬から、SHIPSのカタログでスタイリングを担当している人気スタイリストの壽村太一さん。インタビューや取材は苦手だと語る壽村さんですが、これまでのお仕事やNAVYにまつわる面白い話をいろいろと伺いました。
ーーいまや雑誌や俳優さんのスタイリングなどでご活躍ですが、いつ頃からスタイリストを目指そうと思われたのですか。
壽村 なりたいと思ったのは、25とか26歳ですね。
ーーそうなんですか、でもこの世界では遅めのほうですよね。それまでは何をされていたんですか。
壽村 遊んでました(笑)。バイトしたり、ニュージーランドやバンコク、カンボジアなどの諸外国にいたり、日本の地方都市にいたりして。それを5?6年やっていましたね。
ーー昔からファッションはお好きだったわけですよね?
壽村 洋服は好きでしたけど、服飾の学校に行っているわけでもなかったですし。なんとなく、友だちの勧めでスタイリストになろうかなと。
ーーほぉ。それはどんな感じで勧められたのですか。
壽村 スタイリストやってみれば? って…、これホントの話なんです(笑)。でも、遊んでいる頃に知り合った友だちだったので、すんなり納得できたのかもしれないですね。友達も服が好きだったので。
ーーそこからどう行動されたんですか。
壽村 何をしていいかもわからなかったので、まずコマフォト(雑誌の『コマーシャル・フォト』)の求人欄を見て、誰に師事したいというのも無かったので、フリーのアシスタント事務所に入ったんです。そこに1年間くらい在籍して、それからは知り合いのスタイリストさんから直接お仕事もらうフリーのアシスタントをやっていました。そのときに大西陽一さんに出会って、僕のことをいろいろと面倒見てくれたんです。その2年後くらいに独立して、いま8年目くらいですね。
ーー結構珍しいコースですね。好きなファッションは、スタイリストになる前と後で変化がありましたか。
壽村 いま37歳なんですけど、世代的にはストリートの服が全盛で僕も好きでしたね。でも、スタイリストの大西さんがドレスがメインの方で、そこでドレスの楽しさを教わりました。いまでも着ている服のテイストは変わらないですけど、洋服の見方は変わった気がします。自分の服に関しては、いつも同じような格好をしていると奥さんにダラしないと言われてしまうんで、そこだけは気を付けています(笑)
ーーNAVYについてのお話も伺いたいのですが、まずは壽村さんのお好きな色を教えてください。
壽村 好きな色は青ですね。リースしていても青っぽい服を集めがちで。
ーーすると、NAVYは近いですね。コーディネートを組むときにNAVYを使うことも多いと思いますが、壽村さんにとってはどんな色だったりしますか?
壽村 ドレスでもカジュアルでも、ベースになる色だと思いますね。そこから色を足していくというか。NAVYに限ったことではないですが、コーディネートを組んでいるとき「絵を描いているみたいだね」とよく言われるんですよ。たぶん、自分が好きな色だから組みやすいんだと思うんですけど、スーツにしてもネクタイにしても、ついNAVYのものを選びがちです。たぶん、NAVYって着る人を程よくまとめてくれる色だと思うんです。時々没個性になる人もいますが。
ーーそれはどんな感じの人ですか。
壽村 う?ん、何となくこの人はNAVY顔じゃないなっていうのはありますね。そういう場合は黒が似合う人だったりするんですよ。アタマも良くてカラダも内面も強そうな感じというか。
ーーでは、逆にNAVYってどんな人のイメージがありますか。
壽村 知的で優しい人のイメージが強いですね。黒とは違うアタマの良さというか、柔軟な感じ。
ーーNAVYはトーンもいろいろありますが、使い分けなどはしていますか。
壽村 アイテムによって変わるので一言では難しいですね。でも、仕事ではNAVYのワントーンで組んだり、グラデーションにしてみたりとかはしますね。スーツでもワントーンでタイドアップしなければカジュアルになるし、ベルベットのボウタイなどをすればフォーマルになる。使いやすい色ですよ。
ーーなるほど。では、NAVYの挿し色としておすすめの色は?
ーーいま個人的に欲しいNAVYのアイテムはありますか。
壽村 いま欲しいのはNAVYのウェストンのローファーですね。あと、今日被っているようなフォルムのNAVYのハット。一般的に黒が多いアイテムに、NAVYがあるとつい買いたくなるんですよ。紺ブレも最近また気になります。そういえば、今シーズンのSHIPSのNAVYスーツも良かったですね。
ーーSHIPSのイメージって、これまでどんな感じでしたか。
壽村 カジュアルよりもドレスっぽいイメージがありましたね。あと、昔から子ども服をやっていて、セレクトがかわいいっていう印象が強いです。
ーーそういえば、壽村さんは子ども服のスタイリングもやられていますよね。そのときは気分のモードを変えるんですか。
壽村 いや、まったく。大人と同じ感覚でやりますね。子どもは何でも合わせられるのが魅力ですけど、それでもサイズ感や色の組み合わせが大事なんです。子どもでもサイズが合ったスーツはビシっときまるんですよ。
ーーでは最後に、今後やってみたい仕事を教えてください。
壽村 う?ん、楽しく仕事ができればいいかな。
ーーそれが一番ですね! 今日はありがとうございました。
壽村太一
1976年生まれ。アシスタントとしてさまざまなスタイリストと仕事をこなし、最終的に大西陽一氏に師事。05年に独立し、07年に(株)虎禅を設立。大手企業の広告や、雑誌、芸能人のスタイリングなど幅広く活躍中。