ユーズドウエアを独自目線で斬る  CORONA の世界観に注目! ユーズドウエアを独自目線で斬る  CORONA の世界観に注目!

ユーズドウエアを独自目線で斬る CORONA の世界観に注目!

ユーズドウエアを独自目線で斬る CORONAの世界観に注目!

SHIPS JET BLUE

アメリカを中心としたユーズドウエアにインスピレーションを得ながら、ワーク、ミリタリー、アウトドアテイストを軸にしたアイテムを展開するCORONA。スタートは2006年だが、すでに人気は抜群。ユーティリティウエアを現代的に解釈した気鋭ブランドとして高い注目を集めている! 今季シップス ジェットブルーでは初展開で、さらに別注アイテムもリリース。見る人、着る人を惹き付けてやまない服の魅力はどのように生まれるのか!? デザイナーの西英昭さんにインタビューを敢行した。

??西さんと言えば、人気ブランドPOST O’ALLS(ポストオーバーオールズ)を立ち上げた方のひとりとしても知られていますが、そこを離れご自身のブランドを始めるに至ったきっかけは何だったのでしょうか?

単純にPOST O’ALLSとはまた違ったアプローチで服を作りたいと思ったのがきっかけです。CORONAのメインコンセプトは現代の“ユーティリティウエア”。ワーク、ミリタリー、アウトドアがベースですね。主にアメリカの古着にインスピレーションを得ています。もともとファッションじゃないものをファッションとして着る、というのが自分の中のテーマにあって、往々にしてそれがワークやミリタリーであったりするんですが、素材も含め機能的に便利な部分を、自分が着たいと思える形に落とし込んでいくのがブランドの方向ですね。

??ある種オーセンティックなユーティリティウエアを自分の中で再構築するということですね。具体的にはどのようにアプローチしているんですか?

“??風”ではないものを作るっていうのが基本的な考え方なんです。ユーズドウエアをモチーフにしてはいますが、例えば“●●年代の●●ジャケット風”といった感じで具体的なアイテムに寄せて作るのではなく、ジャケットだったら「こういうポケットがこのあたりに付いていて、襟はこういう形にしよう」っていうビジョンがある。そしてそれを自分のフィット感に落とし込んでいく。ストレートにリプロダクトすることもありますが、それはベイカーパンツやM65ジャケットなどのデザインをし直す必要のないもの。基本的には自分の設計でやっています。

??ユーティリティウエアを自分の中でしっかり消化した上で、新しく組み立て直している。それはあくまで“ファッション”として作り直しているのでしょうか? それともあくまで現代の“ユーティリティウエア”として?

どっちもですね。ユーティリティウエアを謳っている以上、いろんな人に溶け込んでいろんな風に着られるというのが根底。そこを押さえつつ、それをファッションとして落とし込むという感じです。ミリタリーといってもそれを着て戦うわけではないですし(笑)、ファッションだけ追求していては、それはユーティリティウエアではないので。その両面を兼ね備えたというところが原点にはあります。

??現代的なライフスタイルにフィットしたユーティリティウエアである上で、ファッションでもある。

もちろん、普段着るという意味ではファッションですよね。ただもともとファッション用にデザインしたのもではないものをベースにしているので、いわゆる流行の“ファッション”流れとは違ったりする。そこに違和感があるんだけど、そういう違和感を楽しむために自分たちはブランドもやっているし、だからこそ古着が好きなんですね。

??デザインする上で具体的にこだわっている部分はありますか?

例えばM65ジャケットですが、これをファッション的に作るブランドはたくさんありますよね。日本人は身体が小さいから肩が狭くなって、腕が細くなって、身幅が狭くなる。全体的にコンパクトな設計になるのが基本だと思います。多分それが“ファッション”用に作りかえたものだと思うのですが、僕がM65ジャケットが好きなところは、やっぱり袖が太くて、プリーツが入っていて、ざっくり下に何枚も重ねられるようなあの感じが好きなんですね。そういう本来の魅力をベースに再現するというのがあるので、そこが具体的な違いなんじゃないかなと思います。そのもの本来の着た感じの良さを外さない。そこを大きく変えたりすると、結局何を表現したいのかが分からなくなってくるので。

??やはり西さんのファッションの原体験はヴィンテージにあるのでしょうか?

ヴィンテージというよりは古着ですね。希少価値の高いコアなものが好きというわけではなく、単純に古着が好きなんです。

??古着の魅力とはどこにあるのでしょうか?

やっぱり人と違うスタイルが手に入るということでしょうか。自分が若い頃(年代)はヨーロッパのインポートものやデザイナーズものが一般的には流行だったので、それとは違うスタイルを楽しみたいというのがはじまりでしたね。やっぱり人とは違う格好がしたいじゃないですか。

???古着は今も買い集めたり、ストックしたりしているのでしょうか?

そうですね。ただ、さっきも言ったように、「??年代の??」とかそういう価値観で見てはいません。このシャツの襟の感じがいいなとか、カフスがおもしろいなとか、シルエットが珍しいなとか、そういう感じで集めています。それらを自分の中で消化して、デザインのアイデアへと落とし込んでいく。いわゆる名品と呼ばれるヴィンテージアイテムはたくさんあると思いますが、それを基準に自分たちが何かを表現できるとは思っていないんです。例えばヴィンテージのサンプルがあって、お金と縫う人がいれば、明日から誰でもそれを再現できる時代。でもそれではパーソナルなものは表現できませんから。そうじゃないとやっている意味がない気がするんです。

???シーズン毎に作り出すラインナップには何かテーマなどはあるのでしょうか?

基本的に新しいものをばんばん出していくブランドではないので、そんなに毎回見新しいものを作っているわけではありません。例えばジャケットなどは、基本的なデザインは同じ。ですがやっぱり気分ってその時々で変わりますよね。そのときのフィーリングで少しずつ修正していく感じです。丈が短くなったり、シルエットが若干変わったり。

???根っこの部分はキープしながらも、ディテールを変化させていく。

好きなものは変わらないけど気分は変わる。ディテールに固執するのではなく、それがあるならそれに合ったものの方がいいですから。

???時代感なども意識されますか?

基本的にはしていません。自分たちが普段着ている古着に合わせて着るというのがコンセプトなので、流行はあまり意識しないですね。服自体に流行性がなくても、組み合わせ次第でどのようにも表現できる。それがひとつの特徴であるとも思っています。例えば今はトラッドやプレッピースタイルがトレンドですが、僕は実際にそのカルチャーを通っていないので、かじる程度しか知らないんです。そういう人間がイギリスの何百年も歴史あるメーカーのものをまねてみても意味がないんじゃないかと僕は思う。だからそういうものに合わせられる別な何か。そういう風に考える方が自然だと思うんです。

???そういって意味でも現代にフィットした“ユーティリティウエア”という感じがありますね。

なんていうか、固まったセオリーみたいなものがないんですね。自分たちが好きなものを正直に作る。そのときどきの“気分”を素直に受け入れる。そうするとモノの本質的な魅力が表現できると思うし、おのずと時代にマッチするエッセンスも入ってくる。それをまた、それぞれが自分の解釈で楽しんでもらえればと思っています。


CORONAのラインナップの中でも人気の高いコート。ダスターコートと呼ばれる昔のドライビングコートをベースにデザインしたもので、シルエットや襟の仕様、袖などをモディファイすることで、現代的に着こなしやすい、バランスのいいスタイルに仕上げている。

コート¥38,000(+TAX) /CORONA


今季の新作である「スタンダードフィールドジャケットライト」。80年代のファティーグジャケットがベース。生地が薄く裏地もないので着心地が軽快。シャツ感覚で着られる仕上がりだ。フィットもコンパクトにモディファイすることでルックスはスマート。

ジャケット¥35,000(+TAX) /CORONA


「スタンダードフィールドジャケットライト」と同じコンセプトのカーゴパンツ。使用している生地は同じで軽やか。もともと股上が浅めでシルエットはテーパード。野暮ったく見えないバランスがいい。ポケットはあえて配色にアレンジして遊び心もプラス。

パンツ ¥26,000(+TAX) /CORONA


今季はSHIPS GENERAL SUPLLYの別注アイテムも展開。70年代のスタンダードなオックスフォードのボタンダウンシャツがベース。マチ付きの胸ポケットがついたスポーツシャツタイプだ。どんなスタイルにも合わせやすいまさにユーティリティアイテム。

シャツ ¥15,000(+TAX) /CORONA × SHIPS

西 英昭


POST O’ALLS(ポストオーバーオールズ)の立ち上げをへて、2006年に自身のブランドCORONAをスタート。アメリカを中心とした古着カルチャーに精通。コレクターとしても知られており、アメリカンカジュアルスタイルを表現する第一人者としても業界内で知名度が高い。