話題のシューズブランドのデザイナーを直撃!
モダン×オーセンティック=Zespa
SHIPS MEN
2009年の立ち上げ当時から注目が集まり、大きな話題を呼んだ「Zespa(ゼスパ)」。このほど東京に上陸した大型の展示会MANに合わせて、デザイナー、ジョナサン・アグリフォグリオ氏が来日を果たした。エスパドリーユを起点にした靴作りから始まり、今は洗練されたメンズスニーカーが数多くラインナップする同ブランド。パリ発信ならではのエスプリの効いたデザインやその魅力について、率直な質問を投げかけてみた。
??来日は今回が初めてですか?
ジョナサン 日本は今回が初めてです。普段はヨーロッパかアメリカの展示会で日本の取引先のバイヤーやプレスの方々とは会っていました。MANという展示会がパリとニューヨークの後、今回は東京でも開催されたので、やっと来る機会に恵まれたんです。日本に来ることができて本当に良かったです。
????そもそもどんなきっかけがあって「Zespa」を始められたんですか?
ジョナサン 理由はいろいろあります。そもそも物作りのアイデアは沢山あったのですが、自分たちはそれを表現する方法を探していました。その頭の中をカタチにした一つの方法がこの「Zespa」というプロジェクトなのです。多面的な自分たちのアイデアを固めるだけでなく、作り上げた物の美しさとともに、グラフィックなどにもこだわるということも念頭に置いていました。それらすべてのアイデアに責任を持って、社会にアプローチしたかったのです。
????ブランドのコンセプトを端的に教えてください?
ジョナサン コンセプトというより、このブランドに対して常々考えていることは、ユーザーに対して“完璧にバランスの取れた”商品を提供するということです。品質、美しさ、価格、生産方法など、製品に関わるすべての面で、うまくバランスがとれるように心がけています。
????生産をフランス国内にこだわるのは、どんな理由があるのでしょうか?
ジョナサン いろいろな理由がありますね。一番は、フランスがすばらしい文化を持っている国であるという思いがあります。そしてこのプロジェクトを始めるにあたって靴の生産背景を探しているときに、国内で特別な物を作りたいという思いに共感し、それを手助けしてくれるすばらしい人たちとの出会いがありました。それも大きな理由の一つです。コレクションの物作りのすべてをフランス製にこだわり抜いているブランドは、「Zespa」だけだと思いますよ。
????「Zespa」の物作りで最も重きを置いているところは?
ジョナサン すばらしい靴が完成するのは、デザイン画が描き終わったときではないんです。それは始まりに過ぎません。全体のバランス、形、それぞれの素材の特徴、色、革、ソールやシューレースなどすべてを見なくてはいけません。個々に対するシンプルな気配りが、靴にインパクトを与えます。ゆえに、それらすべての工程を大切にしています。
????今季の「Zespa」を取り入れたおすすめのコーディネートを教えてください。
ジョナサン 「Zespa」の靴は、ベーシックなスタイルから最先端のトレンドまで、いろいろな装いに取り入れやすいのが大きな特徴であり魅力だと思っています。思い思いのスタイルを楽しんでいただきたいです。
????近年のスニーカーブームの再燃で、トレンドとなっているスポーツブランドにまた勢いを感じます。それについて何か思うことはありますか?
ジョナサン スニーカーは、面白い素材や新しいアイデアを提案していくことが重要だと思います。しかし、現代のシーンでは復刻モデルに人気が集まっているように感じます。それはとても興味深いことです。
????「カルヴェン」とのコラボレーションは、とてもインパクトがありましたが、そこにはどんな経緯があったのでしょうか?
ジョナサン シーズンごとにコツコツと型を増やしていくのが自分たちの物作りのスタイルですが、「カルヴェン」からアプローチがあった時は面白い提案だったので、すぐさまプロジェクトを進めました。シェイプやシルエットは自分たちの得意とする「Zespa」ならではのものを生かして、アッパーのプリントやデザインを「カルヴェン」に担当していただきました。とてもユニークなものができあがったと思います。
????今後のプランや目標があれば教えてください。
ジョナサン 「Zespa」の靴は、素材使いやデザインにモダニティ、生産背景や物作りそのものにはオーセンティックな手法を盛り込んでいます。それがブランドとしてのアイデンティティだと思っています。そのスタイルは変えずに今後も追求していくつもりです。もちろん、有意義で面白いコラボレーションなどの企画もトライしていく予定です。
無駄を削ぎ落としたような「Zespa」のデザインは、汎用性が高いだけでなく上品さが漂う。元々はエスパドリーユからプロダクトがスタートしただけあって、足へのフィットも心地よく、ボリュームも最小限に抑えられているのが特徴だ。緻密なソール縫いが可能なフランス国内の工場で、1足1足丹念に作られている。現在はコレクションの70%がスニーカー、30%がドレスシューズというバランス。世界的にもスニーカーの復権が叫ばれる今、ファッション業界内での評価も非常に高く、最も注目を集めるブランドの一つだ。
WHAT’s Zespa?
「Zespa」は、今回初来日を果たしたジョナサン・アグリフォグリオ氏と、ジェレミー・アマル氏、フレデリック・ブラス氏によって2009年にスタートを切った。フランスのプロバンスにあるアートスクール、Nationale Sup?rieure d’Arts et M?tiersを卒業した3人が、今までにないバランスの取れたシューズを作るべく始動させた画期的なシューズブランドだ。ブランド設立当初はエスパドリーユのみを作っていたが、現在はメンズ、ウィメンズともにスニーカーを中心に展開している。近年、「カルヴェン」や「ツモリチサト」とのコラボレーションで話題となり、その洗練されたデザインとフランス生産にこだわったハイレベルな物作りがファッション業界のみならず多方面で絶賛された。充実度を増すメンズのラインナップは、今世界中のバイヤーやショップから注目を集めている。