パリ、日常のワードローブ、MELINDA GLOSS(メリンダ グロス)
この秋冬シーズンより、SHIPSで新たに展開するメンズブランドMELINDA GLOSS(メリンダ グロス)。フランスらしいコンサバティブなスタイルでありながらも、2013AWシーズンにはパリコレクションでランウェイを行うなど、ハイファッションに通じるモダンデザインを有した新感覚のブランドだ。また、フランス製にこだわりテーラードからベーシックウエアまでパリのワードローブを提案し続けている。今回はデザイナーである、マシューとレミのふたりが来日していると聞き、早速取材をおこなった。
――マシューさんは生粋のパリジャンで、レミさんは由緒正しきボルドーの出身なんですよね? おふたりはどのように知り合ったのですか
マシュー お互い幼少時代から友人だったんだよ。それと、僕らは哲学を学んでいたという共通点があって。お互い、哲学とファッションをつなげることで美しい環境を作りたいという思いに共感したんだ。
――哲学からのインスピレーションというのはどのようなものなのですか?
マシュー 哲学というのは、常に人に対してどの道が正しいのかを問うているんだ。そういう生き方やスピリットという面で影響を受けているよ。哲学者で言えば、ニーチェやジョルジュ・バタイユとかかな。
――おふたりともそれぞれこだわりが強そうですが、ふたりでやろうと思ったのは何故なのですか?
レミ 本当に近い友人たちとスタートしたいという思いが強かったんだよね。ニットなどはイタリアのヴェネチアで生産もしているけど、基本的にフランス製にこだわっているのもそういう意味があるんだ。
マシュー フランス国内の工場で生産するのは、仲間たちとの強い関係性を保つうえで重要なことなんだよ。
レミ あと、ふたりでうまくやっていくために必要なのは会話だと思う。常にアイデアを投げかけて、会話のキャッチボールを大事にしているよ。そのなかでいい意味を見つけている。そこにふたりでやることの良さがあると思うよ。
――哲学とファッションをミックスするうえで、メンズファッションを選んだ理由はどこにあったのでしょうか
マシュー 自分たちと似たライフスタイル、アイデンティティーを持った人たちに着て欲しかったからだね。僕らのワードローブは見たときの印象と、実際に着てみたときの印象が違うのが特徴といえる。スタイルはモダンだけど、根底にはフランスの伝統が息づいていたり、本物のパリジャン、パリのワードローブを感じて欲しいと思う。
――日本の感想はいかがですか
マシュー日本はまったく異なった文化があるのが面白いね。日本人は伝統的でしっかりとしたアイデンティティーがありながらも、常にいろんなところからピックアップして取り入れているのが面白い。日本のファッションもすごく楽しいよ。
レミ僕は3度目だけど、最初に来たときは、モダンと伝統が混在している国だなと感じたよ。
マシュー僕は今回が初めてで、九州や関西を回りながら10日間かけて東京に来たんだ。もっと日本の田舎にステイしてみたいね。京都や神戸、東京もすごく楽しいけど、田舎の山や自然もキレイだったよ。
――フランスのショップはすごく洗練されていて、かっこいいですね。
マシューありがとう。新しいお店はもともと銀行だったんだ。だから、基本的には鉄やアルミの空間なんだけど、そこにウッドや植物を加えることでコントラストが出るようにしたんだ。
――今シーズンのテーマやコンセプトを教えてください
マシュー アートとミリタリーを合わせたコレクションになっているよ。アート面では、画家のウィレム・デ・クーニングからインスパイアされているね。
――今後、何かやってみたいことはありますか
マシュー今年7月、「パリシネマ」という映画フェスティバルにMELINDA GLOSSとして参加するんだ。以前も、映画監督のマイケル・チミノを招聘して、ショートフィルムの上映会をポンピドゥセンターでやったりしていて。そういう文化的なことをいろいろやっていきたいね。あと、僕の家は代々コニャックを作っていたので、コニャックのイベントができたらいいなと思うよ。
――今日はありがとうございました。