スタイリスト秋山貴紀さんの『スニーカーのすすめ』
メンズノンノをはじめメンズファッション誌を中心に活躍するスタイリストの秋山さんは、自他ともに認めるスニーカーラバー。トレードマークはバッシュだ。曰く、「今の若い人たちにも、スニーカーでもっと遊んでほしいと思っている」のだそう。何が彼をそこまで魅了するのか!? 秋山流、スニーカーのすゝめ。
――今回はお持ちのスニーカーの中でもお気に入りを選抜して持ってきてもらいましたが、なかでもとっておきのものってあるんですか?
秋山 どれも分け隔てなく好きなのでどれがとっておきってこともないのですが、強いて言うならやっぱりエアジョーダンシリーズかな。もともとバスケをやっていたので、やっぱりバッシュに思い入れが強いんですよね。
――いつくらいからスニーカーにはまっているんですか?
秋山 中学生くらいです。ファッションに興味を持ち始めたのもスニーカーがきっかけでした。でも当時はそんなにお金も自由に使えないですから、好きとはいえ数はあまり持ってはいなかったんです。実際仕事をするようになってからなんですよ、ここまで熱心に集めだしたのは。
――ちなみにどれくらい持っているんですか?
秋山 でもそれほどでもないですよ。今日は半分くらい持ってきたので、全部で50足くらいかな。ガチのスニーカーフリークに比べれば少ないですよね。
――それでもこれだけあると収納も大変ですね……。
秋山 そうなんですよ。もう置き場所もなくてそろそろ買うのを控えようと思うんですが、いいものが目に入るとやっぱり買ってしまう。困ったものです(笑)。
――好きなスニーカーのジャンルはあるんですか?
秋山 今はローテク系よりもハイテク系が好きですね。昔はもっぱらローテクスニーカーだったんですが今はバッシュが多いかな。その方が自分のスタイルにしっくりくるんです。
――スニーカーって結構うんちくも深いジャンルじゃないですか。やっぱり秋山さんもモノありき? それともあくまでファッションとして捉えているんですか?
秋山 僕の場合はやっぱりファッションかな。ヴィンテージものとかもチェックはしますし、復刻ではなくオリジナルのものも欲しいと思うんですが、ヴィンテージだとやっぱり味が強すぎて古着とかと合わせたくなっちゃうんですよね。でもそれって今の自分のスタイルじゃないので手を出さないようにしています。それに買ったらとことん履くので、あまり貴重なもの過ぎても気が引けちゃいますしね。
――スニーカーに限らず、モノフェチな部分ってあります?
秋山 そういうところはあるかもしれませんね。でも同時に飽きっぽいので蒐集が続かないことも多いです。スニーカーは毎日履くものなので昔から今までずっと続いていますが。
――となるとやっぱりアンテナは高くして、情報はマメに集めているんですか?
秋山 そうですね。ネットとか雑誌とか。例えばナイキでいうと“ノンフューチャー”って言ってあまり情報を事前に出さないものも多いんですよね。だからいろんな手段で情報は集めています。僕のPCのトップページはスニーカーのサイトだったりしますから(笑)。
――「これは欲しい!」って思うツボはあるんですか?
秋山 何でしょうね。特にこれと定まった基準はないですが……ナイキが多いといえば多いですね。やっぱりナイキのスニーカーって購買意欲を掻き立てるものがあるんですよね。
――でもそんな風にスニーカーに“ハマる”感覚って秋山さんの世代か、ちょっと下くらいまでですよね。
秋山 そうなんですよね。今の若い子たちはあまりスニーカーを知らないというか、興味があまりないみたいで。それってちょっと寂しいですよね。最近はニューバランスが多いですが、もっといろいろあっていいと思うんです。個人的には若い子らにもっとスニーカーを好きになってほしいなって思っています。
――お気に入りをいくつか紹介してもらえますか?
秋山 この中で愛着があるのはNハリウッドとコンバースのコラボスニーカー。アシスタントのとき毎日これ履いていたんですよね。だからなかなか捨てられなくて。その流れで最近買ったのがNハリウッドのスウェードのチャックテイラー。コンバースのスニーカーはどんなスタイルにも合わせやすいからいいんですよね。
あとはヴァンズのスニーカー。特にシュプリームとのコラボラインのような派手なデザインが好きですね。定番ものもすごく好きなんですが、僕はスケーターじゃないんでこれくらいの遊びがあった方が自分っぽいのかなと。ファッションとしてヴァンズを履いている感じのほうが本当っぽいと思うんです。
――ニューバランスはどうですか?
秋山 やっぱり履いていて楽って言うのが一番大きいかな。本当に機能性が素晴らしい。リースで一日中歩いてもニューバランスだとあまり疲れないんですよ。それにトレンドにもマッチしていますから使いやすいですよね。
――今日はせっかくたくさんお持ちいただいたので、SHIPS JET BLUEの服を使ってスニーカーのコーディネイト術を教えてもらっていいですか!?
秋山 もちろん。じゃあ僕がイチ押しのバッシュでいくつか組んでみます。
ブルーのバッシュに合わせて、あえて全身をブルーでまとめてコーディネイトしてみました。こうすればバッシュだけが浮いてしまうことも無いし、上手く着こなしに馴染ませることができると思います。それとバッシュはそれ自体がデザイン性が強いので、ワントーンの着こなしでも埋もれずに適度な存在感を出してくれる。パンツはロールアップして抜け感を出しながら着こなしてほしいです。
パーカ ?28','350 / Battenwear
シャツ ?9','975 / SHIPS GENERAL SUPPLY
パンツ ?11','550 / SHIPS GENERAL SUPPLY
ニットキャップ ?1','890 / SHIPS JET BLUE
こっちは逆にコーディネイトはシンプルに、バッシュでアクセントを効かせたコーディネイトです。きれい目の服を靴でハズすというアプローチです。パンツはやっぱりロールアップで。ベロが見えるくらいがバランスがいいと思います。ワントーンで合わせても良いし、色をきかせても良いしっていうのがスニーカーの面白いところだと思います。革靴だとこういう風に色をきかせるのは難しいですから。
カーディガン ?11','550 / SHIPS JET BLUE
シャツ ?9','975 / SHIPS GENERAL SUPPLY
パンツ ?9','975 / SHIPS JET BLUE
キャップ ?4','725 / SHIPS JET BLUE
ジャケットを使ってちょっとトラッドテイストよりに。そこをスニーカーでハズしたスタイリングです。ここでニューバランスを合わせるのが今のセオリーだと思うのですが、バッシュだとまた印象が変わりますよね。コレがいいんです。個人的にはこういう風に使ってほしいなと。
ジャケット ?40','950 / soe shirts
カットソー ?5','985 / SHIPS GENERAL SUPPLY
パンツ ?21','000 / Battenwear
キャップ ?6','930 / Ebbets Field Flannels
秋山貴紀
メンズノンノなどのメンズファアッション誌を中心に活躍する実力派スタイリスト。スポーツテイストを取り入れた、リアルだけど新しさのあるスタイリングに定評あり。活躍の場を広げつつある、今注目のクリエイターだ。