小沢宏さんが語る今季のカップルストーリー
〜LOVEatingに込めた、男女の素敵な距離感〜
2013年春夏のSHIPS MEN & WOMEN合作シーズンカタログが遂に完成! SHIPSでは、レーベル35周年となった前シーズンに引き続き、今回もショートムービーを制作。ここではディレクターである小沢宏さんに、「LOVEating」と名付けられたカタログ巻頭のファッションストーリー&ショートムービーの世界観を語って貰いました。
――今回のカップルストーリーには、「LOVEating」というタイトルが付けられていますが、そこに至った経緯を教えてもらえますか?
小沢 男女がくっつき過ぎず、それでいて他人行儀ではない「いい関係」をストーリーで表現したかったんですよね。また、僕のイメージするSHIPSは、「王道感」というかシックな魅力がある。そこを加味したときに生まれたのが、食べるという行為だったんですよ。「食」って3大欲求のひとつだし、それを共にすることはプライベートをオープンにすることだと思うんです。そこから生まれた造語が「LOVEating」であり、SHIPSらしい大人の距離感が表現できるものだったんです。
――撮影をするにあたって、どんなことを心がけたのですか?
小沢 条件としては、自分が行ったことのあるお店で、美味しく、内装もよく、シーンのバリエーションが撮れるところで探しました。
――前回に引き続きムービーも制作されました。写真と映像はやはり違うものだったりしますか?
小沢 ムービーは00年代の中盤にもやったことがあるんです。でも、その頃はスチール(写真)とムービーは別物という意識が僕のなかにありましたね。最近はカメラでもムービーが撮れるようになったこともあって、境界線が曖昧になった気がします。写真の連続したものが映像になるという感じ。今はフォトグラファーがムービーを撮ることも多いですし、そのほうがファッション的な映像になる気がするんですよね。気心の知れたフォトグラファーだと、意思疎通の面がラクだということも大きいです。
――食事のシーンが一枚だけある写真はよくありますが、「食+ファッション」という切り口だけで構成しているはユニークですね。
小沢 シーンとしては、コーヒーを楽しんでいるときの服、ディナーを楽しむときの服、深夜にお酒を一杯楽しむときの服といった感じで、シチュエーションごとで親和性の高いコーディネートになっています。昼間や夜、深夜、そこでどんなものを食べるかでスタイルを変化させることは皆さんも無意識にやられていると思うんですよね。でも、先ほども言ったようにSHIPSには「王道感」や「安心感」というようなイメージがあるので、僕としては「やり過ぎないこと」をルールにしています。そのなかで、トレンド性やファッション性をどの程度効かすのかが大事なところです。
――「LOVEating」をディレクションするにあたり、難しかった点はどこですか?
小沢 男性と女性が一緒に登場するファッション写真や映像というのはよくありますが、通常はどちらかがメインでどちらかがサブなんです。でも、このカタログは男女兼用の一冊なので、50:50魅せなくてはいけない点が難しかったですね。どちらかに偏ることなく魅せるという点では、トライアルなカタログになっていると思います。
――メンズとウィメンズではテーマも違いますし、各カテゴリーをうまく構成しながら統一感を出すのは大変だったのではないですか?
小沢 SHIPSと一言にいってもさまざまな要素がありますからね。統一感を出すには、ひとつ横串を通すことが重要だと思っています。今回でいえば、メンズもウィメンズも色を使ったアイテムが多かったので、「軽やかさ」を横串にしました。うんちくを語るより、ひと目でいいなと思えるテンションの高いものにしたかったですね。ムービーはもちろん、カタログも見応えのあるものに仕上がったので、是非あわせてチェックしてみてください!
小沢 宏
1964年生まれ、長野県出身。大学在学中に雑誌POPEYEの編集アシスタントになり、その後スタイリストとして独立。1995年にフューチャーインを立ち上げる。スタイリスト業と平行して、2003年よりメンズのアパレルブランドのNumero Unoをスタート。デザイナーとしても活躍中。SHIPSではシーズンカタログのディレクションを務めている
http://www.futureinn-tokyo.com/